Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーによるシミ治療の効果と副作用

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの画像 Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーとは、アレキサンドライトを触媒とした瞬間的に高いエネルギーで照射できるレーザーです。

主にシミ、ソバカス、あざ、タトゥーなどの色素性病変に対して効果を発揮します。

今回は、アレキサンドライトレーザーの効果の仕組みや治療内容、注意点などを詳しく解説していきます。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの効果について

アレキサンドライトレーザーの波長は755nm(ナノメートル)です。その波長の特性について、わかりやすく画像を作ってみました。

シミや色素性病変に使用されるレーザーの吸収レベル

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの755nmの波長は、比較的にメラニン色素などの黒い部分によく吸収されます。

そして、ヘモグロビンなどの赤い部分に反応しにくく、血管などの組織に対してダメージが少ない特徴があります。

694nmの波長をもつルビーレーザーよりも波長が長いため、より皮膚の深い部分にまで届くメリットがあります。

また、ルビーレーザーよりも黒い色素に吸収されにくいため、メラニン色素が多い日本人の肌色にもダメージが少ないといえます。

ナノ秒レベルの瞬間的な照射を実現

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの「Qスイッチ」とは、ナノ秒単位という瞬間的に照射することができる装置をいいます。

レーザー光線が皮膚に当たる時間がナノ秒という非常に短いものであるため、高いエネルギーでも肌に対するダメージが少ないメリットがあります。

レーザーによって炎症を起こして、かえって色素沈着が悪化してしまったという現象が抑えられるのです。

導入している病院は少ない

Qスイッチタイプのレーザーというと以下の3種類あります。

  • ルビーレーザー(694nm)
  • アレキサンドライトレーザー(755nm)
  • ヤグレーザー(1064nm)

シミ消しレーザーとしてよく使用されるのがルビーレーザー(694nm)です。その波長はメラニンによく吸収されるため、確実性が高いのです。

そして、ヤグレーザー(1064nm)もよく使用されます。それは他のレーザーと比べてやや波長が長いので、皮膚の奥まで届きやすく、肌の深部の色素性病変に対応するためです。

その2つと比べると、アレキサンドライトレーザーは特別な利点が少ないです。なので開発メーカーや導入している病院は少ないです。

肝斑には対応しない

肝斑の画像 Qスイッチレーザーは、多くのシミに対応しますが、肝斑(かんぱん)というシミには適していません。

肝斑(かんぱん)とは女性の頬にできるモヤモヤとしたシミ。ホルモンバランスが変化することで発生しやすくなるとされるものです。

この肝斑に対してはQスイッチ・アレキサンドライトレーザーを使用するとかえって悪化することが知られています。肝斑というシミは特殊な性質があるためです。

なお、肝斑に対してはレーザートーニングなどの他の治療がすすめられます。

効果

  • 選択的に黒色の色素の反応する性質により、様々な色素性病変に対して作用する。
  • レーザー照射によって破壊されたメラニン色素は、表皮層ではターンオーバーによって排出され、真皮層のメラニンはマクロファージによって処理されます。
  • 日本人の肌質に適した波長をもち、ダメージが抑制されている。
  • ルビーレーザーと比較すると、レーザー照射後の色素沈着、瘢痕、色素脱色などのリスクが少ない。
  • 黒い部分に反応して毛根部(毛球部、毛乳頭、毛母細胞など)を破壊することから、脱毛レーザーとしても使用される。

キレイに治療が終了したときの写真

以下は老人性のシミ、医学的には老人性色素斑に対するQスイッチ・アレキサンドライトレーザー治療後の写真。

レーザーによるシミ消し治療後の写真

キレイにメラニンの沈着が取れています。レーザー治療は照射後のアフターケアでずいぶん仕上がりが違ったりしますが、きちんとケアすることで悪化することなくシミは消えます。

適応症状

  • メラニン色素による色素性病変。一般的なしみ、老人性色素斑(日光性黒子)、そばかす(雀卵斑)。
  • 状態によっては、光線性花弁状色素斑、炎症後色素沈着、外傷性色素沈着などにも適応します。
  • 太田母斑などの青あざに効きます。濃い色素に有効です。薄いあざ、例えば扁平母斑などの茶色のアザにはやや効きにくいです。
  • ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
  • 盛り上がりのない平らなホクロ。
  • タトゥー(刺青)、アートメイク。

治療について

病院におけるQスイッチレーザー治療は以下のようにすすみます。

Step1カウンセリング。色素性病変の診断。

Step2洗顔、クレンジングによって肌の汚れを落とす。お化粧が残っているとレーザーの効果がしっかり得られません。

Step3照射部位を冷やす。(冷やすことでレーザー照射時の痛みが緩和されます)。必要な場合は表面麻酔をする。

Step4目を保護するための、ゴーグル、シールドを装着する。

Step5レーザー照射。ゴムでパチッと弾かれたような痛みがあります。

Step6照射部位を冷やす。照射部位は熱をもっているので冷やしてクールダウンさせます。

Step7照射部位に保護テープを貼って終了。

アフターケア

  • 施術後は皮膚が赤くなり、しだいに瘡蓋(かさぶた)ができます。そのかさぶたが自然に剥がれるまで軟膏と保護テープによって湿潤状態を維持する必要があります。(この処置によって患部がより早く綺麗に治ります)。
  • カサブタを無理に剥がしたりしないようにしましょう。無理やり剥がしたりすれば跡が残りやすくなります。
  • かさぶたが自然にとれると、皮膚はピンク色になります。そして、時間の経過とともに元の肌色に回復していきます。この時期は、特に紫外線や物理的な刺激を与えないようにしましょう。

治療時間

小さなシミの場合は、数分で終わります。広範囲にわたるタトゥー除去の場合はさらに時間を要します。

また、広範囲になると麻酔をする時間が必要になることがあります。(麻酔は30分前後です)。

治療回数の目安

単純なシミ治療の場合は、1回の治療で改善します。ただし、場合によってはシミが再発することがあります。

その場合は期間をあけて再度治療します。

アザやタトゥー治療の場合は、ほとんどの場合は複数回の治療が必要です。浅い部分の小さな刺青の場合は1回で良い場合もあります。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの副作用や注意点

  • 施術前も施術後も紫外線を浴びないようにしましょう。レーザーは黒い色に吸収されるので日焼け肌には治療ができないことがあります。また、治療後に日焼けしてしまうと、色素沈着を起こす可能性があります。
  • 妊娠中では、女性ホルモンの影響によって治療後の色素沈着がひどくなることがあるため、通常は治療を控えたほうが無難です。
  • アトピー性皮膚炎などで症状の悪化リスクがある場合は治療を控えたほうがいいかもしれません。
  • 治療後に一時的にシミが濃くなることがありますが、しだいに薄くなっていくはずです。
  • シミの種類によってはレーザー治療後にかえってシミが濃くなってしまうケースがあります。特に肝斑といわれるシミにはQスイッチ・アレキサンドライトレーザーは適さないとされています。