炎症後色素沈着の原因と治療方法|炎症性色素沈着を予防するには?

炎症後色素沈着の画像
炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)とは、皮膚が炎症を起こし、炎症が治まった後に発生する茶色のモヤモヤとしたシミのことです。

例えば、ニキビや帯状疱疹、アレルギー性接触皮膚炎といった症状で発生し、皮膚が炎症を起こせば一部分を除き全身どこでも発生する可能性があります。

特に、日本人を含む黄色人種はもともとメラニンを作り出す能力が高いので、炎症後の色素沈着を起こしやすい傾向があります。

炎症後色素沈着の原因と特徴

原因は?

皮膚の炎症によって活性酸素が発生して、メラニン色素を作り出すメラノサイトが刺激を受け、チロシナーゼという酸化酵素を活性させます。

そして、チロシナーゼがアミノ酸のチロシンをメラニンに作り変えることでメラニン色素が合成されます。そのメラニン色素が残った状態が炎症後色素沈着で、皮膚の炎症が治まって赤みが引いてから現れます。

皮膚が炎症を起こす症状

ニキビ、虫さされ、極端な日焼け(サンバーン)、火傷(やけど)、アトピー性皮膚炎、湿疹、毛嚢炎(毛包炎)、あせも、アレルギー性皮膚炎、化粧品かぶれなどによって発生することが多いです。また、レーザー治療後にも炎症後色素沈着を起こすことがあります。

発生しやすい部位

ニキビの場合は、顔、背中にできやすい。怪我をしやすい腕や脚も色素沈着を引き起こしやすいといえます。また、ムダ毛処理後の毛嚢炎の場合も、腕や足にできることがほとんどです。

形状や色は?

炎症や外傷が起こった形でシミとなって残ります。色は薄い褐色~褐色~黒褐色です。色や形状は炎症の度合いによって異なります。

その他の特徴

  • 炎症後色素沈着は、放っておいても消えていくことがある。
  • 炎症の度合いが大きいほど色素沈着がひどくなり、色素沈着が消えるまで数年かかることもあります。
  • 日焼けするとシミが悪化する。
  • 比較的に美白化粧品などで消えやすい。
  • 新陳代謝が活発であれば、特に治療しなくても消えることが多い。
  • ターンオーバーが乱れていると、色素沈着が長引いてしまう。

主な治療方法

  • 美白剤・美白化粧品。
  • ビタミンC内服。
  • トラネキサム酸。
  • ケミカルピーリング
  • イオン導入。

炎症が治って1年以上経過して色素沈着が残る場合は、Qスイッチ・レーザー、IPL(フォトフェイシャル)なども有効です。炎症が治ってすぐにレーザー治療などを行うと、かえって色素沈着を悪化させてしまう可能性があります。

炎症後色素沈着は、月日の経過とともに改善していきますので、レーザー治療などはシミが確実に残ってしまった段階で行う必要があります。

炎症性色素沈着の治療法

美白剤・美白化粧品


炎症性色素沈着には、美白化粧品が非常に有効です。シミができてから美白スキンケアが早ければ早いほど効果があります。

美白成分には、ビタミンC誘導体、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、トラネキサム酸、リノール酸、マグノリグナン、プラセンタエキス、ハイドロキノンなどが有効です。その中でも特に、ビタミンC誘導体やハイドロキノンは炎症性色素沈着に高い効果があります。

トラネキサム酸

トラネキサム酸には抗炎症作用があり、皮膚の炎症を抑制する働きがあります。また、メラニン色素の生成を促す物質の発生を抑制し、皮膚炎によるメラニン色素の合成を阻害します。

トラネキサム酸は、従来は止血剤として用いられていましたが、近年では美容目的でも積極的に用いられるようになりました。

ビタミンCの内服

ビタミンCはメラニン色素の合成を抑制する働きがあります。そして、メラニン色素そのものを薄くする作用も確認されています。

シミ治療を行う期間中は、ビタミンCを服用することで色素沈着がより早く改善できると思います。特に、ビタミンCは炎症後色素沈着の改善よりも、予防する効果に優れています。

そのため、例えば慢性的なニキビなどに悩む人は、色素沈着の予防としてビタミンCを飲んだほうがいいです。

他にも、炎症を抑制したり、肌の新陳代謝を促す作用、コラーゲンの合成を促進する作用など、様々な美容効果が高いビタミンです。

ビタミンCは果物類や野菜類に多く含まれています。代表的なものは以下の通り。

ビタミンCを多く含む果物(食べる部分100g当たり)

いちご:66mg、キウイフルーツ:65mg、グレープフルーツ:38mg、みかん:32mg、オレンジ:48mg、レモン:98mg

ビタミンCを多く含む野菜(食べる部分の100gあたり)

キャベツ:45mg、かぼちゃ:41mg、こまつな:36mg、ほうれんそう:35mg、モロヘイヤ:65mg、春菊:20mg、大根の葉:53mg、トマト:19mg、青ピーマン:76mg、赤ピーマン:170mg

また、ビタミンCはサプリメントを利用するのも一つの方法です。

ビタミンCの一日の所要量は100mgで、シミ治療の場合は300~1000mgが目安です。

ビタミンCは摂りすぎると場合によっては軟便、下痢、腹痛などを引き起こすことがあります。これはビタミンCの強い酸度が腸管を刺激するためです。

水溶性ビタミンですので、余分にとった分は尿と一緒に出ていきます。そのため、1000mg以上摂取してもあまり意味がないようです。

ケミカルピーリング

ピーリング治療の画像
炎症後色素沈着には、ケミカルピーリングが速効性があります。ピーリングとはフルーツ酸(AHA)などを使用して古い角質を剥がし、ターンオーバーを促す美容法です。

ピーリングによってメラニンを含んだ皮膚細胞が次々と表面に押し上げられ、メラニンの排出を促します。また、ピーリングによって美白成分の浸透を高める効果があります。ピーリングと美白化粧品はセットで行うと相乗効果を得られるはずです。

イオン導入

イオン導入の画像
イオン導入とは、微弱な電流を用いて有効成分を肌の奥にまで届ける美容法です。

ビタミンC誘導体やプラセンタエキスなどが用いられ、それらの成分の効果を劇的に高めることができるといわれています。

イオン導入はエステサロンでよく行われているものですが、一部の美容皮膚科でも行っていたりします。クリニックの場合はもちろん自由診療です。金額は3000~5000円くらいでしょうか。いろいろな施術がある美肌コースの一つの治療として行われていたりします。