日焼け止め化粧品の「SPF」と「PA」の表示の意味とは?

日焼け止めの画像 しわやたるみ、シミといった肌老化の原因の一つが紫外線による影響だといわれています。

紫外線を予防するためには紫外線を浴びないことはもちろん、日差しが強い時はしっかりと日焼け止めを塗ることが重要です。

その日焼け止めは、どのくらいの強さのものを使ったらいいのか。

今回は、UVブロック効果の強さを表す「SPF」と「PA」という表示を詳しく解説していきます。

SPFとPAについて

SPF(Sun Protection factor)

日焼け止めの画像 SPFは、UVB(紫外線B波)によるサンバーン(日焼け後の赤み)の予防効果を数値化したものです。最大値50まであります。

何も紫外線対策をしていない素肌で日焼けが始まる時間を「1」とすると、日焼け止めを塗った場合に、どれくらい日焼けを遅らせることができるかを倍数で数値化したのがSPFです。

例えば何もしない場合に20分で日焼けが始まる場合、SPF10では200分、SPF20では400分、サンバーンを遅らせることができます。

なお、地上に降り注ぐ紫外線にはUVAとUVBがありますが、そのうちUVBは波長が短くてエネルギーが強いため、皮膚へのダメージが強くなります。

そのため、サンスクリーン剤にはUVBのブロック効果を示すSPFの数値が特に重要視されます。

日常生活ではSPF20くらいで充分

日常的に使う日焼け止めならばSPFは10~20くらいで充分です。

一般にSPF50などの数値が高い日焼け止めは、紫外線吸収剤がたくさん含まれていて、肌荒れを起こすリスクがあります。

紫外線吸収剤は化学反応を起こすことで紫外線をブロックするのですが、その化学反応によって接触皮膚炎を起こすことがあるのです。

なお、SPF20くらいのものならば、酸化亜鉛や酸化チタンといった紫外線散乱剤だけのものがほとんどで、紫外線吸収剤が含まれていないものが多いです。

そういったコスメには「ノンケミカル」、「紫外線吸収剤フリー」などと表記されていたりします。

PA(Protection grade of UVA)

PAは、UVA(紫外線A波)のブロック効果を表したものです。

UVAは波長が長く、肌に対するエネルギーは強くありません。ところが波長が長いので肌の奥まで届いて老化現象をもたらします。シミやコラーゲンの劣化によるしわやたるみなどです。

そのUVAのブロック効果の目安がPAで、効果は4段階に分かれています。(ひと昔前では3段階でした)。

  • [PA++++]・・・極めて高い効果がある。
  • [PA+++]・・・非常に高い効果がある。
  • [PA++]・・・高い効果がある。
  • [PA+]・・・効果がある。

一昔前までは日焼け止めというとSPF(UVBブロック指数)が重要視されていました。UVBは短時間で極端な皮膚障害を起こすことがあるためです。

ところが、現在では重要視されていなかったUVAにおいても、長期的には肌老化をまねく要因であることから、「PA」も重要視されるようになりました。

なお、基本的にSPFが高くなるほどPAの数値も高くなります。そのため、SPF50といった日焼け止めはPAも+++だったりします。

UVAとUVBによる肌ダメージの違い

紫外線には波長の違いによりUVA(紫外線A波)、UVB(紫外線B波)、UVC(紫外線C波)の3種類に分類されています。

その中で、地上に降り注ぐ紫外線は、UVAとUVBの2つの紫外線で、UVCはオゾン層に吸収されて通常は地表には降り注いでいません。

UVA(紫外線A波)の特徴

紫外線UVA UVAは、波長が長く、皮膚に対するダメージはあまり強くありません。

ただし、波長が長いため皮膚の深い層にまで到達して、真皮層のコラーゲンやエラスチンなどを変性、劣化させます。

また、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを作り出す線維芽細胞のDNA、ミトコンドリアDNAを損傷させ、長期的に浴び続けると肌老化を促進させる要因と考えられています。

紫外線のほとんどがUVA

地上に降り注ぐ紫外線の90%以上がUVA(残り10%以下がUVB)だといわれており、波長が長いことから雲が多い日でも多く地表に降り注いでいいます。UVBよりも天候の影響を受けません。

窓ガラスを通過する

また、UVAは波長が長いことから窓ガラスを30%ほどの割合で通過します。ただし、ガラスの厚さにもよります。

そのため室内にいても知らないうちにUVAを浴びて光老化が進行している可能性があります。

自動車のガラスを通過する

UVカット仕様の自動車ではない場合、サイドガラスやリアガラスからはUVAが入ってきます。なお、フロントガラスは合わせガラスなので、ほとんど紫外線を通しません。

UVB(紫外線B波)の特徴

紫外線UVB 一方、UVBは、UVAよりも波長が短く、エネルギーが強いため、皮膚へのダメージが非常に強くなります。

日焼け後に強い赤みなどの炎症(サンバーン)を起こすのはこのUVBによるものだと考えられています。

ただし、波長が短いことからUVAのように皮膚の深い層に到達せず、真皮層に対してはダメージを及ぼしません。ですが、表皮に対して強いダメージを与えることが非常に問題です。

表皮へのダメージが強いので表皮細胞の劣化をもたらし、老化性のシミの原因となりやすいです。

地表に届くのは全体的にいえばごくわずか

UVBは地表に降り注ぐ紫外線全体の10%未満しかなく、さらに雲の厚さによって地表に降り注ぐ量が大きく変化します。

量は少ないのですが、やはりエネルギーが強いので問題となるのです。

窓ガラスは通過しない

UVBは、波長が短いことからUVAのように窓ガラスを通過することはありません。自動車の窓ガラスも同様です。波長が短いのでわずかな障害に影響を受けます。