アンコア(ブリッジセラピー)がニキビ跡クレーターに効果的? 副作用と注意点

アンコア(ブリッジセラピー) アンコア(ブリッジセラピー)とは、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)の特性を応用したCO2フラクショナルレーザー治療をいいます。

フラクショナルとは「分散的」という意味があります。皮膚に対して面的ではなく点的に照射するのがフラクショナルレーザーです。

分散的に皮膚に対して極微細なダメージを与え、そのダメージを修復するために放出される成長因子(細胞増殖因子)を利用してコラーゲン増生や皮膚の生まれ変わりを促します。

自然治癒力を活かした治療といえます。

なお、アンコアは、アメリカ医療機器メーカーのルミナス社が開発した治療器で、アンコアを使用した治療名を「ブリッジセラピー」といいます。ルミナス社はレーザー脱毛器を開発するメーカーとしても非常に有名です。

ニキビ跡がクレーターになる仕組み

ニキビは塞がった毛穴の内部でアクネ菌が増加し、それを免疫が異常だと判断することで腫れを引き起こします。

そしてアクネ菌の増加を抑制するために白血球(好中球)が活性酸素を発生させてアクネ菌を攻撃します。

活性酸素によってアクネ菌は死滅して炎症は治まっていくのですが、一方で活性酸素は皮膚に対して強烈なダメージを与え、コラーゲンを硬く萎縮させて瘢痕を形成することがあります。

それによって皮膚が部分的に凹んだように見えるのがニキビ跡クレーターです。

ニキビ痕クレーターは、炎症の度合いや、アレルギー、肌質などの影響で形成されやすいとされます。

その瘢痕を正常化する治療の一つがフラクショナルCO2レーザーです。

アンコアの効果「作用原理」

フラクショナルレーザーの原理 アンコアは炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を応用したレーザー治療。

炭酸ガスレーザーの波長(10600nm:ナノメートル)は、水に非常に吸収されやすい性質があり、肌に含まれる水分に吸収されて皮膚を蒸散(削る)ことができます。

その炭酸ガスレーザーの性質を応用し、皮膚に対してフラクショナル(分散的)に照射し、肉眼では確認できないような極微細な穴を意図的に開けていきます。

その後、その微細な穴を修復するために成長因子が放出されて線維芽細胞が増加し、それによってコラーゲン増生や皮膚の生まれ変わりが促されます。(線維芽細胞は真皮層でコラーゲンやエラスチンなどを合成・分解する細胞です)。

ニキビ跡クレーターは、炎症ダメージによって皮膚が瘢痕化して萎縮してしまった状態です。

皮膚の入れ替えを促すことで凹みの原因となる瘢痕を正常化し、さらにコラーゲンを増加させることで皮膚をデコボコのない平坦な状態に導きます。

皮膚を正常化するため、一度ニキビ痕が改善されたら再発することはありません。

アンコアには3種類の照射方法がある

  • 浅い深さで、やや広い面積を照射。
  • 狭い微小の面積で、深い照射。
  • 上記の両方を併せ持った照射。

肌の症状・状態によって照射方法が使い分けられます。一般に、深いにきび跡の場合は深い層にまで及ぶ照射になります。

アンコア(ブリッジセラピー)の効果まとめ

CO2フラクショナルレーザーによるニキビ跡治療
  • 皮膚にダメージを与え、その後の成長因子の放出によってコラーゲン増生が促される。
  • 成長因子の放出によって新しい皮膚との入れ替えが促進され、一度の治療で10%以上の皮膚の入れ替えが期待できる。
  • 皮膚の入れ替えとコラーゲン増生によって、萎縮した皮膚が正常化し、ニキビ跡クレーターが改善する。
  • 皮膚の入れ替えであるため、一度にきび跡が改善したら再発のリスクはない。

適応症状

  • ニキビ跡クレーター(陥没した皮膚の凹み)。
  • しわ、小じわ、特に目元のシワ。総合的なエイジングケア。
  • 毛穴の開き、キメの乱れ。
  • 傷跡(外傷跡、ヤケド跡)。
  • 肥厚性瘢痕、成熟瘢痕。(真性ケロイドは不可)
  • 妊娠線、肉われ。

施術内容とアフターケア

治療内容・施術の流れ

Step1カウンセリングで肌状態を診断。

Step2施術前は洗顔・クレンジングで肌の汚れを落とす。

Step3皮膚に局所麻酔をかける。(麻酔クリームで30~40分ほど)

Step4アンコアレーザー照射。麻酔をしていても強い痛みを感じることがあります。

Step5患者の希望により、オプションで成長因子を含んだ美溶液を塗布する。(レーザー照射後は皮膚に穴があいて有効成分の浸透が良くなっているためです)。

Step6肌をクールダウンさせて終了。

Step7施術後は基本的にお化粧はできません。肌に負担になるようなことは禁物です。

施術の動画

以下の動画はアンコアを照射時のもの。皮膚に穴が開いていく瞬間の映像です。オザキクリニックのYouTube。

レーザー照射により、等間隔で白くプツプツした穴があきます。これはCO2レーザーの蒸散作用によるもの。肉眼では見えませんが、微細に皮膚を削っています。

アンコア照射時の写真

皮膚を削るのですが、その穴はとてもわずかなものなので、跡になることなくコラーゲン増加や皮膚の入れ替えが実現できます。

ただ、肌が弱い人は内出血や色素沈着を起こしたりすることがあります。(そもそも肌が弱い人はこの治療は適していません)。

アフターケア

フラクショナルレーザー後の点状のカサブタの画像
  • 施術後から数日は特に皮膚に負担をかけないようにしましょう。お化粧も控えるべきです。
  • ブリッジセラピーを行った後から数日かけて点状のカサブタができるようになりますが、これを無理に剥がさないようにしましょう。
  • 治療後は特に保湿をしっかり行いましょう。肌の水分量が高くなることで皮膚の再生力が高くなります。
  • 紫外線を浴びないようにしましょう。また、日焼け止めを塗ることやそれを落とすのも肌の負担になることがあります。

治療時間の目安

治療時間は麻酔を含めると全体的に1時間程度です。

治療回数の目安

アンコアの効果には個人差がありますが、ニキビ跡クレーターが平坦な状態になるには一つの目安として3回以上の治療を重ねる必要があります。

深い凹みの場合、多くは5回以上の治療が必要です。それでも改善率は完璧なものではないです。

なお、治療の間隔は2~3か月以上が目安です。頻繁に行うとトラブルをまねきます。

治療料金の目安

アンコアの治療料金は、顔の部分的な施術で1回あたり5~10万円前後が目安です。

副作用や注意点

  • アンコアは極微細ですが皮膚を蒸散(削る)させるため、施術後にはダウンタイムがあります。炎症性色素沈着を起こす可能性もあります。
  • 体質によってはケロイド・肥厚性瘢痕を起こすことがありますのでケロイド体質の人は控えるべきです。CO2レーザーは熱を発生させてダメージが強くなりすぎるのが欠点です。
  • アンコア施術後に皮膚が赤みを帯びることがほとんどです。目安として治療後から約2~3日間続きます。
  • 顔が真っ赤になるので、広く覆えるマスクを買い置きしておくと良いでしょう。
  • 仕事や生活に余裕がある時に行うのが理想です。
  • 強い日焼け、肌荒れ、アトピー性皮膚炎、肌が薄い人や弱い人、糖尿病などの症状がある場合、治療が受けられないケースがあります。
  • 妊娠中は治療は受けられません。