ベピオゲルのニキビ治療効果。薬の使い方と副作用の対処法

ベピオゲルの画像 ニキビ治療において、皮膚科で処方される効果的な塗り薬の一つに「ベピオゲル2.5%」というお薬があります。

ベピオゲルは過酸化ベンゾイル(BPO:ベンゾイル・パーオキシド)を有効成分としたニキビ外用治療薬で、腫れや炎症を素早く抑制する効果が期待できます。

抗生物質とは違う殺菌作用と、ピーリング作用を有し、耐性菌が生じる問題を意識することなく使えるメリットがあります。

ここではベピオゲルのニキビへの効果や使い方、副作用などを詳しく解説していきます。

ベピオゲルは2014年12月に厚生労働省に承認され、2015年4月から保険適応で処方されるようになりました。

ベピオゲルの効果

ベピオゲルの画像 ベピオゲルの有効成分である過酸化ベンゾイルはニキビの原因菌であるアクネ菌に対して殺菌的に作用します。

では、どのような仕組みでアクネ菌に対して殺菌作用を示すのでしょうか。まずは、ニキビの発生の仕組みからみていきましょう。

ニキビの発生メカニズム

ニキビ発生の仕組み ニキビは主に皮脂が増えることで毛穴がふさがってしまうことで発生します。

皮脂が増加すると、アクネ菌や表皮ブドウ球菌などの微生物が皮脂を分解し、遊離脂肪酸という物質を作り出しますが、それが皮膚を刺激することで毛穴をふさぐように働きます。

さらに遊離脂肪酸による刺激が続いてターンオーバーが進行してしまうと、毛穴が完全にふさがり、毛穴内部でアクネ菌が増加するようになります。

アクネ菌は空気(酸素)がない環境でしか生きられない嫌気性菌であり、毛穴が塞がって酸素がなくなると急激に増加してしまうのです。

急増したアクネ菌を異物と判断して免疫反応が起こり、本格的に炎症を起こすことで赤く腫れたニキビが発生します。

つまり、ニキビは毛穴の密閉によるアクネ菌の増加によって発生するのですが、そのアクネ菌が「酸素を嫌う」という性質を利用した塗り薬がベピオゲルです。

効果1ベピオゲルには殺菌作用がある

過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)のニキビ治療効果の写真 ニキビは塞がった毛穴内部でアクネ菌などの細菌が増加することで発生します。このアクネ菌は嫌気性菌という空気(酸素)を嫌う性質があり、酸素がある環境では死滅してしまいます。

ベピオゲルの有効成分である過酸化ベンゾイルは酸化剤の一つで、皮膚に塗布すると分解の過程で活性酸素を発生し、その活性酸素がアクネ菌に作用して殺菌的に作用します。

アクネ菌が死滅することで炎症反応が治まり、画像のようにニキビの腫れも治っていきます。これがベピオゲルがニキビに効果的な理由です。

また、ベピオゲルによってアクネ菌が減少することで、アクネ菌が皮脂を分解して生じる遊離脂肪酸の減少も期待できます。(遊離脂肪酸は皮膚を刺激してターンオーバーを乱し、角質層を厚くすることで毛穴つまりをまねく原因です)。

遊離脂肪酸が減少することでターンオーバーの進行が抑えられ、毛穴がつまる現象も予防できます。つまりベピオゲルはニキビ予防にもなるわけです。

効果2ピーリング作用がある

ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイルには角質どうしの結合を強化する「コルネオデスモソーム」をゆるめて角質を剥がれやすくする作用があります。

このピーリング作用によって角質肥厚が改善されて毛穴がつまりにくくなります。つまり、ベピオゲルはニキビ予防にもなります。また、角質層のバリア機能がゆるむことで過酸化ベンゾイルが皮膚の奥まで入りやすくなり、高い殺菌作用を示します。

過酸化ベンゾイルは、活性酸素発生による殺菌作用と、ピーリング作用の2つの効能により、ニキビの発生や悪化を改善していきます。

ベピオゲルが有効なニキビの種類

ニキビの種類の写真 ベピオゲル2.5%は、軽度から中程度の白ニキビ、赤ニキビに有効です。顔のニキビだけはなく、背中や胸のニキビなどにも使用できます。

ピーリング作用があるため黒ニキビにも効果があるとされますが、特に炎症を起こしていなければ使用しないほうが良いケースもあります。

反対にベピオゲルは腫れが大きくなったニキビ、化膿ニキビなどの重症化したニキビには適さないケースがあります。

過酸化ベンゾイルには刺激性があり、かゆみが現れたりすることもあるため、炎症や腫れが長引くニキビには使い続けにくいことがあります。炎症ニキビにベピオゲルを使用すると一時的に悪化することもあります。

海外版プロアクティブの有効成分

アメリカ版プロアクティブ ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイルは、海外版プロアクティブや海外版クレアラシルなどにも配合されています。過酸化ベンゾイルは日本では医師の処方箋が必要ですが、海外では市販品への配合が認められている国が多いです。

日本で販売されているプロアクティブやクレアラシルは、過酸化ベンゾイルとは違う成分(例えばサリチル酸やイオウなど)が配合されています。

ベピオゲルの利点

抗生物質・抗菌剤のような耐性菌を生じにくい

ニキビ治療で使用される抗菌薬(抗生物質)の画像 皮膚科で処方されるニキビ治療薬の塗り薬に、「ダラシンTゲル」や「アクアチムクリーム」、「ゼビアックスローション」などがあります。

それらは抗菌薬を主成分とした治療薬で、ニキビ悪化の原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌の増加を抑え、炎症を治すことができますが、一方で抗菌薬は耐性菌を生じるリスクがあります。

耐性菌とは、薬剤を投与しても生きられるように変化して耐性(抵抗性)を獲得した菌をいいます。耐性菌が生じると抗生物質が効かなくなってくる可能性があります。実際に、ニキビに対してダラシンTゲルなどを使い続けると、だんだん効きづらくなってくることがあります。

一方、ベピオゲルは抗生物質ではない殺菌剤です。酸素を発生させてアクネ菌が生きにくい環境へと導くという作用で、抗生物質・抗菌薬のような耐性菌を生じる心配はありません。

耐性菌を生じるリスクがないため、抗生物質のように使い続けると効きづらくなるといった現象がなくなります。長期的に使用したり、繰り返し使用することができるのがベピオゲルのメリットです。

耐性菌の出現を防ぐ

過酸化ベンゾイルは抗菌薬(抗生物質)と組み合わせて使用されることがありますが、過酸化ベンゾイルを合わせて使用すると抗菌薬による耐性菌の出現を軽減させることができるといわれています。

耐性菌にも効く

ニキビ治療において抗生物質が効きにくい耐性菌が増えているといいます。過酸化ベンゾイルは抗菌薬に抵抗性をもつ耐性菌に対しても問題なく効果を発揮します。これは抗菌薬耐性を獲得したニキビ菌(アクネ菌)においても酸素を嫌う性質であることには変わらないためです。

べピオゲルとアダパレンの併用

ディフェリンゲル(アダパレン)の画像 べピオゲルと同時にディフェリンゲル(一般名:アダパレン)というニキビ治療薬を併用すると、さらに高い治療効果が期待できます。

ディフェリンゲルは、皮膚内のレチノイン酸受容体に作用してターンオーバーを抑制する作用があり、それによって毛穴がふさがれる現象が抑制されます。

そのディフェリンゲルの効能に、べピオゲルの殺菌作用とピーリング作用が加わることで角質肥厚が進んだ炎症ニキビに対して高い効果が期待できます。

ただし、べピオゲルとディフェリンゲルには皮膚の赤みやヒリヒリ感、かゆみなどの似たような副作用が現れやすく、組み合わせることでそれらの副作用が増強される欠点もあります。

ディフェリンゲルのターンオーバー抑制効果と、べピオゲルの殺菌、ピーリング作用が加わると、一時的に肌が薄くなって刺激に弱い状態になってしまうことがあります。

肌が強い人であれば問題ないかもしれませんが、肌が弱い人であれば、かえってニキビ跡の赤みやモヤモヤしたシミが濃く残ってしまうことも考えられます。

塗り方と使用方法

薬を塗る画像 ベピオゲルの使い方は、1日1回、洗顔後にニキビに対して適量塗ります。赤ニキビの場合は、ややニキビからはみ出して広めに塗ります。塗った後は紫外線に当たらないようにしましょう。紫外線を浴びない夜に使用するのが理想です。

  • 早く治したいからとして1日に何度も塗ったり、分厚く塗ったりしてはいけません。
  • ベピオゲルはピーリング作用があるため毛穴がつまってニキビが炎症を起こしそうな部分にも塗っても大丈夫です。ただし、ニキビができそうにないような部分に「予防目的」で塗り続けるのはおすすめできません。
  • ベピオゲルには角質を剥がす作用があるため、肌が弱い人は最初は薄く塗って様子をみるとよいかもしれません。
  • 目や唇の周囲も避けましょう。口や目の周りに付着してしまうと口角炎・眼瞼炎を起こすリスクが報告されています。
  • べピオゲルは粘膜や傷口などには使用してはいけません。
  • アトピー肌や肌荒れが進行している状態にも不向きです。
  • 薬剤でかぶれ、湿疹、かゆみなどのアレルギーをおこした経験がある人はベピオゲルの使用は注意します。
  • ベピオゲルには漂白作用があります。これは主成分が酸化剤であることが理由ですが、髪の毛や衣類に付着すると変色してしまう可能性があります。

使用期間の目安

ベピオゲルの使用期間は特に定められていません。治るまで使い続けることができます。ただし、ベピオゲルにはピーリング作用や角質のバリア機能を低下させる作用があるため、何も炎症がないのに使い続けるのは避けましょう。

保管方法

ベピオゲルは、しっかりとキャップを閉めて、直射日光の当たらない冷暗所に保管します。25度以下の環境で保管するのが理想だとされます。また、夏場などの暖かくなる時期は冷蔵庫保管が理想です。過酸化ベンゾイルは酸化剤ですので、熱や光によって分解が進みます。環境や時間の経過とともに成分が変化してしまいますので保存方法には気を配って下さい。

処方してもらうには?

薬剤師が薬を処方する画像 ベピオゲルを購入するには医師の処方箋が必要です。皮膚科を受診して処方してもらいましょう。保険適応です。

通販などで過酸化ベンゾイルを主成分とした海外のニキビ治療薬が販売されていることがありますが、最初は皮膚科医のもとで治療したほうが無難です。

ちなみに、海外では過酸化ベンゾイル2.5%濃度だけではなく、5%や10%濃度が販売されていたりします。5~10%濃度では2.5%と比べて効果に差はなく、さらに5~10%濃度では2.5%濃度よりも副作用が強いとされます。

ベピオゲルの副作用

ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)でかぶれた画像 ベピオゲルは、国内の臨床試験において、使用者の約43%に何らかの副作用が現れることが確認されています。この副作用のレベルはとても高いです。

べピオゲルの主な副作用は、皮膚(表皮)が剥がれる・粉をふく(18.6%)、刺激感・ヒリヒリ感(14.0%)、皮膚の赤み(13.8%)、乾燥(7.4%)などです。

これらの副作用はベピオゲルの有効成分である過酸化ベンゾイルが角質細胞の結合をゆるめ、角質層のバリア機能を乱す作用や、角質を剥がすピーリング作用があるためです。

皮膚が厚くて肌が強い人は副作用は現れにくいですが、肌が弱い人や敏感肌の人はべピオゲルで刺激感や赤みなどの副作用が現れやすいようです。化粧水で肌を整えてから使用すると角質が粉をふいたりすることがなくなります。

角質の剥がれや皮膚の赤みなどの副作用は薬が効いている証拠であるともいえるため、少しくらいの刺激感や皮膚の剥離であれば問題ありません。使い続けることで肌が慣れてきます。

ただし、べピオゲルによって強い刺激が続いたり、ニキビにかゆみが現れたりすると、ニキビ跡の赤みや色素沈着(しみ)がかえってひどくなってしまう可能性もあります。特にかゆみが現れた場合はアレルギーの可能性もあるため、使用を中止して皮膚科医に相談しましょう。

ベピオゲルは危険物?

医師によるカウンセリング ベピオゲルの有効成分である過酸化ベンゾイル(BPO)は、消防法のもとで危険物として指定されています。(第5類 自己反応性物質、第1種自己反応性物質)。ところが、ベピオゲルに含まれる過酸化ベンゾイルの濃度はとても低い2.5%濃度で、とても危険物とはいえないレベルの濃度です。

例えば化粧品によく配合されるエタノールでも濃度が高いと細胞毒性や発火の危険性がありますが、化粧品に配合される低い濃度ではそのリスクはなくなります。

過酸化ベンゾイルの濃度が高くなると危険性が高くなるのは事実ですが、ベピオゲルのようなゲル状で低い濃度であれば「危険物」としての性質はなくなります。

過酸化ベンゾイルは、皮膚に塗ると、時間の経過とともに皮膚内に吸収され、その後はすみやかに安息香酸、馬尿酸へ代謝されます。そして、ほぼすべてが尿となって出ていきます。肌にとどまって皮膚細胞に影響を与え続けることはありません。