肌が弱酸性に保たれる仕組み

キレイな肌 健康的な肌は弱酸性に保たれています。弱酸性とはpH値では「中性7.0」より低いもの(例えばpH6.0は弱酸性)をいいます。人間の肌は弱酸性のもとで様々な皮膚常在菌がバランス良く生息している状態が理想的とされます。

一方で、もし肌がアルカリ性(例えばpH8.0)に傾いたままになると、弱酸性のもとでは増加しない雑菌が増殖してしまい、皮膚病の原因になってしまうことがあります。

病原性が弱い雑菌でも増加すれば皮膚病の原因になってしまうことがあるのです。また、肌がアルカリ性のもとでは雑菌の繁殖によって臭い(体臭)がきつくなることもあります。

皮膚が弱酸性に保持される仕組み「メカニズム」

肌を弱酸性に導く成分とは?

女性看護師のアドバイス画像 肌が弱酸性に保たれるのは主に皮脂中に含まれる遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)によるものです。遊離脂肪酸とは、グリセリンと結合していない脂肪酸をいい、皮脂中には主にオレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸などの脂肪酸が多く含まれています。脂肪酸は酸性の物質で、皮膚を健康的な弱酸性に導く働きがあります。

皮脂中にはトリグリセリド(20~30%)、ジグリセリド・モノグリセリド(10%)、遊離脂肪酸(20~30%)、スクワレン(5~10%)、ワックスエステル(20%)、コレステロール(2~5%)、その他(2~3%)など様々な成分が含まれます。遊離脂肪酸は皮脂中の約1/3~1/4を占めます。

遊離脂肪酸は皮膚常在細菌が作り出す

ニキビ治療のポイント 皮脂には約20~30%の遊離脂肪酸が含まれますが、その遊離脂肪酸を作り出すのはアクネ菌、真菌(カビ)、ブドウ球菌などの皮膚に常在菌として生息する微生物によるものです。

それらの微生物は細菌性リパーゼという脂肪分解酵素を分泌して皮脂中のトリグリセリド(中性脂肪)を分解し、遊離脂肪酸を産生する働きがあります。この働きによって作られた遊離脂肪酸が弱酸性の肌を保つ働きを担っています。

ちなみに、遊離脂肪酸は肌を弱酸性に導く一方で、皮膚に対して刺激性があり、ターンオーバーを乱して毛穴つまりを引き起こし、ニキビを誘発する作用があります。皮脂の増加によってニキビができやすくなるのはアクネ菌など常在菌が遊離脂肪酸を多く産生するためです。

乾燥肌・アトピー肌は弱酸性に戻りにくい?

ニキビ治療のポイント 肌を弱酸性に導く遊離脂肪酸は、皮脂の増加によって増えます。それは、アクネ菌、真菌(カビ)、ブドウ球菌などは皮脂をエサにして増加する働きがあるためです。

反対に言えば、皮脂が少ない人は遊離脂肪酸を作り出す能力が低く、肌が弱酸性に戻りにくい傾向があります。乾燥肌やアトピー肌の人はスキンケアによっては健康的な弱酸性の肌を維持することが難しい場合があります。

洗顔や保湿による皮膚pH値の変化

洗顔をすると皮膚はアルカリ性に傾く

洗顔 多くの場合、洗顔をすることによって一時的に肌はアルカリ性に傾きます。これは、洗顔料や石けんなどがアルカリ性の洗浄成分であるためです。

洗顔料の中には「肌と同じ弱酸性の洗顔料」という商品も販売されていますが、それ以外のほとんどの洗顔料というとアルカリ性で作られます。その理由は洗浄力があるためです。

水道水で肌をすすぐと中性に近づく

洗顔とすすぎ 洗顔料や石けんがアルカリ性であるため、洗顔をすると一時的に肌はアルカリ性に傾きます。そして、水道水ですすぐと肌はほぼ中性に近づきます。

これは水道水が中性(pH7.0)に近いためです。(ただし、地域によって水道水のpH値に違いがあります)。

洗顔後はしばらくして肌が弱酸性に戻ってくる

ポイント 洗顔によって一時的にアルカリ性に傾いたり、水道水ですすいだりすることで中性に近づいたりしますが、洗顔後にそのままにしておけば、しだいに肌は弱酸性に戻ってきます。

これは、洗顔後に皮脂が増加することでそれと共に皮膚常在菌も増加し、常在菌が皮脂を分解して遊離脂肪酸を産生することで肌が弱酸性に戻ってくるためです。

一度肌のpH値が傾いても自然に弱酸性の状態に戻ってくる能力を「アルカリ中和能」といい、早い人では洗顔後10~20分ほど、皮脂が少ない乾燥肌の場合は1時間以上かけて弱酸性に戻っていきます。

化粧水によって素早く弱酸性に戻る

保湿 洗顔によって一時的に中性~アルカリ性に傾いても化粧水を使用することで素早く弱酸性の肌に戻ります。化粧水は基本的に肌と同じ弱酸性で作られており、化粧水の使用によって素早く弱酸性の肌へ整えることができます。

化粧水を弱酸性にするには酸性成分の配合が必要ですが、それにはクエン酸などが使用されることが多いです。クエン酸は一般的な化粧品においては「pH調整剤」として配合されることがほとんどです。市販されている化粧水は、ごくまれにアルカリ性の化粧水も存在しますが、特に「弱酸性」と表記されていなくても弱酸性で作られています。