トレチノイン酸が日本で認可されない理由

トレチノインの画像 トレチノイン(レチノイン酸の一種)とは、ビタミンA(レチノール)の誘導体で、生理活性がビタミンAの数十倍ある成分です。トレチノインには、角質を剥がす作用や皮膚細胞を増殖する作用などがあり、ニキビ治療やシミ治療などに用いられることがあります。

特に、欧米ではニキビ治療によく用いられるお薬です。ただし、日本では認可されておらず一般的なニキビ治療薬として使用されていないのが現状です。

トレチノインの効果

    トレチノイン(レチノイン酸)
  • 角質を剥がす作用がある。(この作用によって皮膚が乾燥してガサガサになります)。
  • 皮膚細胞を増殖させてターンオーバーを促す。(皮膚の生まれ変わりが通常の約2倍のスピードになります)。
  • 線維芽細胞を増殖させ、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの合成を促す。
  • 皮脂腺の働きを抑制する。(皮脂抑制効果)

角質を剥がしてターンオーバーを促す作用により、毛穴つまりを予防・改善します。また、皮膚の代謝を促すため、シミ治療にも有効な場合があります。(ただし、シミの種類によって効果がないこともあります)。

トレチノインが日本で認可されていない理由とは?

例えばアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)はトレチノインをニキビ治療薬として認可しています。そのため、主に思春期ニキビや重度化したニキビ治療に対してよく使用されていますが、日本では現在でもトレチノインは認可されていません。それには以下のような問題があるためです。

    トレチノイン使用時の赤み
  • トレチノインは皮膚に対して強い反応が現れるため、使い方が難しい場合がある。
  • 低い濃度でも皮膚の場所によっては強烈な反応が現れることがある。
  • トレチノインのようなビタミンA誘導体を妊娠中に使用すると催奇形性(奇形児が生まれる可能性)のリスクが高くなる可能性がある。

催奇形性の問題は内服薬として使用した場合であり、外用薬として使用した場合はそのリスクは極めて低いとされますが、それでも使い方を誤ると深刻な問題をまねく可能性があることが厚生労働省が認可していない理由の一つです。

トレチノインは身体の部位によって強烈な反応を引き起こす

トレチノインが強く反応する身体の部位の画像 トレチノインは、身体の部分によっては劇的な作用を起こすことがあります。例えば、脇下、乳輪、おへそ周囲、陰部、肛門周囲などが反応が現れやすいです。

その中でも陰部や肛門部分は、低い濃度でも強烈な反応を引き起こし、強い痛み、かゆみ、炎症を起こすこともあります。また、眼球・目元、口・唇などの粘膜部分に付着してしまうことでも強烈な反応が現れることがあります。トレチノインが付着した手で目をこすったりするとひどい炎症を起こしてしまうことがあります。

個人が安全に使用することが難しいことが日本で認可されてない理由の一つです。

日本と外国のビタミンA誘導体治療の違い

トレチノインによるニキビ治療は欧米人に適している?

難治性にきび 欧米人(白人種)は比較的に難治性ニキビになりやすい傾向があります。難治性ニキビとは、赤ニキビ・化膿ニキビが繰り返し発生して重症化し、治療が長期に及ぶニキビをいいます。難治性ニキビにはトレチノインのような外用薬が非常に効果的で、アメリカなどでは悪化したニキビ治療に対してトレチノインがよく使用されます。

欧米人の肌質は、日本人と比較して表皮層・角質層が厚いことや、男性ホルモンの分泌が高いことがニキビが重症化しやすい要因かもしれません

日本でも皮膚科でトレチノイン治療が行われる

厚生労働省はトレチノインを認可していませんが、医師の指導のもとでトレチノイン治療を行うことはできます。(自由診療です)。また、個人輸入などでトレチノインを購入して自分で治療を行うことができますが、その場合は副反応に注意しましょう)。

欧米ではニキビ治療にビタミンA誘導体の内服治療も行われる

ロアキュテイン(イソトレチノイン)の画像 日本ではマイナーな治療ですが、欧米の一部の国では重症化したニキビ治療においてビタミンA誘導体の内服治療がよく行われています。イソトレチノインというビタミンA誘導体の内服薬によるにきび治療で、製品名では「ロアキュテイン」や、そのジェネリック医薬品の「アクノティン」「イソトロイン」「イソティーン」などがあります。

イソトレチノインの効果は、皮脂腺縮小(皮脂抑制)、ターンオーバー抑制などで、服用中はニキビが劇的に落ち着いてくることがほとんどです。そして、再発率の減少も期待できます。(再発率は20~30%といわれています)。

ただし、副作用として、憂鬱、不眠、唇や目などの乾燥、抜け毛の増加などの症状が現れることがあります。特に注意すべきは妊娠中に服用すると奇形児が生まれるリスクが劇的に高くなることで、女性の場合は使用が難しいこともあります。身体に負担が大きいニキビ治療法ですが、重症化して改善が難しいにきびの場合ではこの治療が適していることもあります。

イソトレチノイン内服治療は日本でも医師の管理のもとで行うことができますが、患者への負担が大きいためこの治療を行っている病院はとても少ないです。