ビタミン「誘導体」がサプリメント(健康食品)に配合されない理由

ビタミン剤 健康志向が強まる現代社会で、ビタミン剤などのサプリメントを日常的に摂取している人が増えているといいます。多くのメーカーからビタミン剤が販売されていますが、消費者はビタミン剤を選ぶ基準として、「ブランド(メーカーの信用性)」、「値段(価格)」、「ビタミンの配合量」を注視しているといいます。

ただし、同じビタミンが配合されていても厳密には成分構造に違いがあることも多く、例えば「ビタミン誘導体」という少し違う形にして販売されている商品も存在します。今回はその「ビタミン誘導体」についてです。

ビタミン誘導体とは?「通常のビタミンとの違い」

ビタミンC 誘導体とは、化合物の一部が変化したものをいいます。例えば、ビタミンの場合では、そのビタミンの構造の一部を改変させたものがビタミンの誘導体ということになります。構造を変える目的は、ビタミンの効能、吸収性、安定性などの有効性を高めるためです。

ビタミンの場合では、ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンやビタミンEなどの脂溶性ビタミンが「誘導体」という形で配合されることが多いです。水溶性ビタミンは摂取してもすぐに排出されてしまい、体内に長くとどまりにくいため、持続的な効果を得る目的で誘導体という形にされます。

ビタミン誘導体は医薬品扱い?

にきび治療のポイント ビタミンを「誘導体」という形で配合される場合、通常は「医薬品」という扱いになります。ビタミン誘導体は、安全性や吸収性を高めるなどの目的で製薬会社が開発したものがほとんどですが、一般的なビタミンと違って使用経験が未熟で、効果や副作用などの情報が限られているため、基本的に「医薬品」としてのみ配合が許可されています。

例えば有名な健康食品メーカーであるDHC、ファンケル、ネイチャーメイド、Asahiディアナチュラなどが販売している一般的なビタミンサプリメントは、医薬品ではなく「健康補助食品」として販売しているため、ビタミンは配合されていてもビタミン誘導体という形では配合されていません。

具体的にどんなビタミン誘導体がある?

フルスルチアミン(ビタミンB1誘導体)

ビタミンB1のイラスト フルスルチアミンは、ビタミンB1(チアミン)とニンニクなどに含まれるアリシンが結合したアリチアミンの誘導体です。ビタミンB1はそのままでは吸収されにくい欠点がありますが、アリシンと結合してアリチアミンに変化すると吸収性が高くなります。

そのアリチアミンの独特なニンニク臭を改善したものがフルスルチアミンです。フルスルチアミンは武田薬品が開発し、商品では「アリナミンA」などのアリナミンシリーズに配合されます。

リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2誘導体)

ビタミンB2の画像 リボフラビン酪酸エステルは、ビタミンB2(リボフラビン)に酪酸を結合させることで脂溶性にして持続性を高めたビタミンB2誘導体です。通常は水溶性ビタミンであるビタミンB2は水に溶けやすいため多く服用しても尿と共に排出されてしまいますが、リボフラビン酪酸エステルは脂溶性を高めて体内に長くとどまって効果を発揮します。

ビタミンB2は、肌の健康に重要なビタミンで、不足するとニキビ・脂性肌(オイリー肌)、湿疹、脂漏性皮膚炎、口内炎などをまねくことがあります。ニキビ治療にビタミンB2製剤を積極的に処方する医師も多いくらい重要なビタミンです。

これらのほかにも様々なビタミン誘導体が存在し、様々な製薬メーカーから販売されています。

ビタミンC誘導体の化粧水・化粧品

ビタミンC配合の化粧水は、基本的にビタミンC誘導体という形で配合されています。その理由は、ビタミンC(アスコルビン酸)のままでは性質上、不安定で肌に刺激を与えてしまうことや、肌に浸透されにくい欠点があるためです。ビタミンCを誘導体という形にすることでビタミンCを安定させ、肌深くに浸透しやすくなります。

水溶性ビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体ローション 水溶性ビタミンC誘導体は主に化粧水に配合されます。水溶性ビタミンC誘導体にはいくつかの種類がありますが、多くはビタミンCをリン酸と結合させた「リン酸アスコルビルMg(マグネシウム)」や「リン酸アスコルビルNa(ナトリウム)」などの水溶性ビタミンC誘導体が使用されます。(リン酸は水溶性です)。皮膚に塗布すると、生体がもつホスファターゼという酵素によって結合がほどかれてビタミンCが肌の奥まで浸透します。

水溶性ビタミンC誘導体は、皮脂分泌抑制、皮脂の酸化抑制、ニキビ跡色素沈着の予防などの効果があり、皮脂が多いニキビ肌の治療によく用いられます。

脂溶性ビタミンC誘導体

脂溶性ビタミンC誘導体は、ビタミンCにパルミチン酸(脂肪酸の一つ)を結合させた「パルミチン酸アスコルビル」や、ビタミンCにイソパルミチン酸(脂肪酸の一つ)を結合させた「テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(略称:VCIP)」が有名です。皮膚に塗布すると生体がもつ酵素によって結合がほどけて皮膚に浸透します。