皮膚科のニキビ処方薬「塗り薬・飲み薬」まとめ。保険適用で処方頻度が多い順

お薬 ニキビというと症状が軽いものから重度のものまで様々ありますが、ニキビが深刻化した場合は跡を残さないためにも早めに皮膚科を受診して積極的に治療を受けるのが理想的です。

ニキビに効く治療というと様々な方法があるのですが、一般的な皮膚科では、ほとんどが保険適用内の処方薬がすすめられています。

そこで今回は、保険が効く一般的なニキビ処方薬の塗り薬と、抗生物質やビタミン剤、漢方薬などの飲み薬を処方頻度が多い順にご紹介していきます。

保険が効くニキビ外用薬(塗り薬)のまとめ

ベピオゲル2.5%

ベピオゲルの画像 薬品分類ニキビ菌(嫌気性菌)に対する殺菌薬
処方頻度かなり多い
薬の値段1本(15g)で約1800円、保険適用(3割負担)で約550円ほど。

ベピオゲルは過酸化ベンゾイルという酸化剤を主成分としたニキビ専用の塗り薬です。保険適用薬です。

ベピオゲルのニキビへの効能は酸素(フリーラジカル)を発生させることにあります。ニキビの原因菌であるアクネ菌は嫌気性菌という酸素(空気)を嫌う性質があり、酸素がある環境では死滅してしまうのですが、ベピオゲルを肌に塗ると、分解の過程で酸素を発生させ、ニキビ原因菌を殺菌します。

また、角質の結合をゆるめる作用もあり、有効成分が病巣に届きやすくなるメリットがあります。さらに、ピーリング作用も有し、厚い角質を剥がして毛穴つまりを解消する働きがあります。

そして、ベピオゲルには抗生物質のような耐性菌を生み出す欠点がありません。そのため、長く使い続けることができる利点があります。

ベピオゲルは皮膚科における赤ニキビ薬としてよく処方されますが、一方で皮膚に対して刺激性が強い欠点があります。副作用は全体の4割に現われると報告されています。

その副作用は主に刺激感、ヒリヒリ感や赤み、かゆみ、乾燥などです。そのため、皮膚が弱い人には不向きな外用薬だといえます。

ディフェリンゲル0.1%

ディフェリンゲル(アダパレン)の画像 薬品分類外用レチノイド製剤
処方頻度かなり多い
薬の価格1本(15g)で約1800円、3割負担(保険適用)で約550円くらい。

ディフェリンゲルはアダパレンを主成分とした保険が効くニキビ塗り薬です。この薬をニキビ治療の第一選択肢として処方する皮膚科医はとても多いです。スタンダードな薬といえます。

アダパレンは皮膚内のレチノイン酸受容体に作用し、ターンオーバーを抑制することで、ニキビの発生や悪化を予防します。

ニキビは増加した皮脂による刺激などで角質肥厚を起こし、毛穴が詰まることで引き起こされますが、ディフェリンは皮膚が厚くなる現象そのものを抑えますので、ニキビができにくくなるのです。また、アダパレンには緩やかに角質を剥がす作用もあります。

ただし、ディフェリンゲルには病原菌を死滅させるような殺菌作用はないので、腫れが強い赤ニキビに対してはやや即効性に欠けます。

そして、この薬の最大の欠点は、薬が効いてくるほど副作用が強く現われることです。臨床試験では、使用後に約8割にヒリヒリ感、刺激感、赤み、かゆみ、乾燥などの症状が現われると報告されています。

肌細胞が作られる現象をコントロールし、その結果皮膚が薄くなるので、必然的に刺激に弱くなります。薬の効果を得るには副作用の発生は、ある程度は仕方ないことだといえます。

エピデュオゲル

エピデュオゲルの画像 薬品分類外用レチノイド製剤+嫌気性菌殺菌剤
処方頻度多い
薬の値段製品1つ(15g)あたり約2400円、保険適用(3割負担)で約720円。

エピデュオゲルは、ディフェリンゲルの主成分であるアダパレン0.1%と、ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイル2.5%を組み合わせた保険適用のニキビ治療薬です。

アダパレンはターンオーバーを抑制する働きがあり、皮膚が厚くなってニキビが進行する現象を抑えます。そして過酸化ベンゾイルは酸化剤として酸素を嫌うニキビ菌(アクネ菌)を殺菌します。

ニキビ治療薬の中でも最も効果が高い薬の一つであり、海外では最も使用される外用薬となっています。

非常に即効性が高い薬なのですが、副作用の発生率も非常に高い欠点があります。

主成分であるアダパレンと過酸化ベンゾイルは、共に癖の強い成分なので、かなり高い確率でヒリヒリ、赤み、かゆみ、刺激感、乾燥などの副作用が現われる可能性があります。

そのため、肌が弱い人には適していません。また、ディフェリンゲルやベピオゲルのどちらかでかぶれたことがある人も使用してはいけません。

デュアック配合ゲル

デュアック配合ゲルの画像 薬品分類嫌気性菌殺菌薬+抗生物質
処方頻度多い
薬の値段製品1つ(10g)あたり約1500円、保険適用(3割負担)で約460円。

デュアック配合ゲルは、過酸化ベンゾイル3%(ベピオゲルの主成分)と、クリンダマイシン1%(リンコマイシン系抗生物質)の2つを主成分とした保険適用の塗り薬です。(合剤)

2つの成分を組み合わせることで強力にニキビの炎症を治します。強めのお薬なので、軽度のニキビではなく、炎症が強い赤ニキビ、化膿ニキビに有効です。

抗生物質には薬剤耐性の問題があり、使い続けると薬が効きにくくなる問題があるのですが、過酸化ベンゾイルという殺菌成分を組み合わせることで耐性菌を生じるリスクが大きく軽減するメリットがあります。ただし、耐性菌の出現の確率はゼロではないです。

そして、このお薬は副作用を起こしやすい過酸化ベンゾイルを配合するので、肌が弱い人には使いづらいかもしれません。副作用の発生率は約30%といわれています。

症状が重いニキビ患者に対し、デュアック配合ゲルを第一選択肢として処方するお医者さんは多いです。

イオウカンフルローション

イオウカンフルローションの画像 薬品分類殺菌、角質軟化、消炎剤
処方頻度多い(医師による)
薬の価格1mlあたり約2.5円。製品50mlで約125円、3割負担(保険適用)で40円くらい。

イオウカンフルローションは、イオウ(硫黄)とカンフル剤を主成分とした塗り薬です。古くからある保険が効くにきび治療薬です。

イオウは殺菌作用や角質柔軟作用がある成分で、ニキビ菌を殺菌しながらニキビの芯や膿がでやすいように角質を柔らかくします。(なお、イオウはクレアラシルやビフナイトといった市販薬などにおいても、広く使用される成分です)。

そして、カンフル剤は消炎薬です。ニキビの炎症をしずめ、腫れや赤みを治します。ただし、このカンフル剤の抗炎症作用はとても緩やかです。

イオウカンフルローションのメリットは、抗生物質のような耐性菌によって薬が効きにくくなる現象がないので長期的に使用できるところです。

耐性菌が出ないことや、昔からあるニキビ治療薬なので、ベテランの皮膚科医ほどイオウカンフルローションを積極的に処方することが多いです。

短所について言えば、イオウには皮膚を乾燥させる作用があるため、皮脂分泌が少なくて乾燥しやすい肌質の人には不向きだといえます。

そういう事情により、思春期ニキビのような皮脂分泌が多い時期のニキビに対して処方されることが多いです。

ゼビアックスローション

ゼビアックスローションの画像 薬品分類外用抗菌薬
処方頻度やや多い
薬の値段製品1本(10g)あたり約800円、保険適用(3割負担)で約240円。

ゼビアックスローションは、オゼノキサシンというキノロン系抗菌薬の塗り薬です。細菌のDNAの複製を阻害してニキビ菌に対して殺菌的に作用します。

この系統のお薬は幅広い細菌に効果があります。にきびの原因菌であるアクネ菌や、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌などの皮膚の化膿をもたらす細菌にも効きます。また、抗菌力でいえばアクアチムよりも高い抗菌作用があるとされます。

ゼビアックスローションは単体で処方されることもありますが、皮膚科医の判断により、ディフェリンゲルやベピオゲルなどのにきび薬と一緒に処方されることがあります。これは他の塗り薬と組み合わせて使うことで、相乗効果が期待できるためです。

そして、このお薬は副作用がとても少ないのがメリットです。肌が弱い人、薬剤でかぶれやすい人などにおいても使いやすいです。

この薬の問題点といえば、ゼビアックスローションのような抗菌薬は長期使用や中途半端な使用により耐性菌を生むリスクがあることです。耐性菌が生まれると薬が効かなくなることがあります。

そのため、炎症をしっかりとってから治療を終了する、そして長期的な使用は控える、などのことを守って使う必要があります。

アクアチムクリーム(軟膏・ローション)

アクアチムクリーム、軟膏、ローションの画像 薬品分類外用抗菌薬
処方頻度やや多い
薬の価格製品1本10gあたり約380円。保険適応(3割負担)で110円ほど。

アクアチムクリームは、ナジフロキサシンというキノロン系抗菌薬を主成分とした塗り薬です。ゼビアックスローションと同じ系統で、細菌のDNAの複製を阻害して殺菌作用を示し、ニキビの悪化を抑制して炎症をしずめます。

わりと古くからある抗菌薬で、ニキビ、おでき、とびひなどの細菌が原因となる様々な皮膚感染症に用いられます。ゼビアックスローションと同じように刺激感などの副作用が少ないのが特長です。

そして、アクアチムのような抗菌薬は、長く使い続けるほど耐性菌を生む問題があるので短期的な使用が基本となります。

薬の形状は、クリームタイプの他に、軟膏タイプ、ローションタイプの3種類があります。

また、ジェネリック医薬品に、ナジフロクリーム、ナジフロキサシンクリームなどがあります。基本的にすべて同じ効能です。

ダラシンTゲル(ローション)

ダラシンTゲルとローションの画像 薬品分類外用抗生物質
処方頻度やや多い
薬の値段製品1本10gあたり390円ほど。保険適応(3割負担)で約120円。

ダラシンTゲルは、クリンダマイシンというリンコマイシン系の抗生物質を主成分とした保険適用の塗り薬です。細菌のたんぱく質の合成を阻害することで、ニキビの原因となる細菌を抑制し、より早期に炎症をしずめます。

ニキビ菌に良く効くのですが、抗生物質の中では副作用がやや高めです。かゆみや刺激感などが現われ、アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を起こしてしまう人も少なくないです。

そして、抗生物質であるため長期使用により耐性菌が生じる問題があります。そのため、1か月以内の短期的な使用が基本です。

形状にはダラシンTゲルの他に、ダラシンTローションがあります。また、クリンダマイシンゲルというジェネリック医薬品もあります。

ヒルドイドローション(保湿剤として)

ヒルドイドローションとソフト軟膏の画像 薬品分類保湿剤
処方頻度やや多い
薬の料金製品1本25gあたり約600円。保険適用の3割負担で180円ほど。

ヒルドイドローションはヘパリン類似物質を主成分とした保湿剤です。ヘパリンは体内にも含まれるムコ多糖の一つで、優れた保湿効果がありますが、それに似た成分となります。

このヒルドイドは保湿剤であって、それ自体にはニキビを治す殺菌作用などの効能はないのですが、他のニキビ治療薬による刺激や乾燥を和らげる目的で処方されたりします。保険適応になります。

例えば、ディフェリンゲルやベピオゲル、エピデュオゲル、デュアック配合ゲルなどは、かなりの確率でヒリヒリ感、角質のめくれ、かゆみ、赤みなどが現われますが、そういった塗り薬の刺激を和らげるためにセットでヒルドイドが処方されたりします。

使い方は、例えば保湿としてヒルドイドローションを塗った後に、ディフェリンゲルやベピオゲルを塗るといったように使います。

ヒルドイドはローションタイプ、クリームタイプなどがあります。

ゲンタシン軟膏(クリーム)

ゲンタシンクリームと軟膏の画像 薬品分類外用抗生物質
処方頻度少ない
薬の料金製品1つ10gあたり約120円。3割負担(保険適用)で約40円ほど。

ゲンタシン軟膏は、ゲンタマイシンというアミノグリコシド系の抗生物質を主成分とした保険適応の塗り薬です。細菌のたんぱく質の合成を邪魔することで、殺菌作用を示します。

ゲンタシン軟膏はニキビの原因となるアクネ菌やブドウ球菌などによく効きます。昔はよくニキビケアに処方されるお薬でした。

ところが現在では、このゲンタマイシンという抗生物質に耐性菌が増えていて、薬が効きにくいケースが多くなっているため、現在では処方されることが少なくなっています。

薬の形状は、軟膏タイプとクリームタイプがあります。

ニキビ薬でかぶれた場合の塗り薬

ニキビ薬を使ってアレルギーを起こしてしまい、かぶれてしまう人も少なくないです。特にベピオゲルやエピデュオゲル、デュアック配合ゲルなどは刺激性が強いので、かぶれてしまうケースは珍しくないです。

ステロイド薬、ロコイド軟膏とクリームの画像 そのような場合は、抗生物質と一緒にステロイド薬を組み合わせた治療がすすめられたりします。抗生物質でニキビ菌をコントロールし、ステロイドでかぶれを治すという治療です。

例えば、ゼビアックスローションやアクアチム軟膏などと一緒にロコイド軟膏というステロイド剤が処方されたりします。ステロイドの副作用を考慮して、ステロイド剤をワセリン(プロペト)で薄めて処方されることもよくあります。

また、ステロイドと抗生物質を組み合わせた合剤が処方されることもあります。例えば、リンデロンVGというお薬が有名です。それらの治療薬も保険が効きます。市販薬ではフルコートf、ベトネベート軟膏などが有名です。

ニキビと同時にアレルギーを起こした場合は皮膚科医によって治療の考え方が違うことも多いですが、以上は一つの目安にして下さい。

保険が効くニキビ治療のビタミン剤のまとめ

ビタミンB2製剤

フラビタンの画像 ニキビ治療に対してビタミンB2の飲み薬が積極的に処方されることはとても多いです。これはビタミンB2が補酵素として脂質の代謝や肌細胞の再生(ターンオーバーの正常化)に深く関与しているためです。

また、皮脂の分泌を抑える働きや、過酸化脂質の還元作用などがあり、「皮脂による肌への刺激」を軽減します。不足するとニキビ、吹き出物、肌荒れ、口内炎、口角炎、脂漏性湿疹などを引き起こすことがよくあります。

特に、鼻周辺のブツブツやフケが多くなるのはビタミンB2不足が大きく影響します。

皮膚科では、ニキビ治療においては「フラビタン錠」や「FAD錠」というビタミンB2製剤が処方されることが多いです。

いずれの薬においても、ビタミン剤の処方薬は価格的にはかなり安いです。保険も効きます。また、市販のサプリメントでも問題なく代用できます。

ビタミンB6製剤

ピドキサールの画像 ニキビ治療において、ビタミンB2と共にビタミンB6の飲み薬が処方されることも多いです。

ビタミンB6は、補酵素としてたんぱく質の代謝に深く関与していることや、皮膚や粘膜の代謝にも深く関与し、不足すると皮膚炎、肌荒れ、ニキビを引き起こすことがあるためです。

また、ビタミンB6には皮脂をコントロールする作用もあります。美肌には不可欠なビタミンです。

病院で処方されるビタミンB6製剤は、「ピドキサール」やそのジェネリック品の「ピリドキサール錠」、「リボビックス錠」などが処方されます。保険適用です。また、市販サプリでも代用可能です。

ビタミンC製剤

シナール配合錠の画像 ビタミンCは傷の治りを早くしたり、炎症性色素沈着を予防する働きがあります。そのため、皮膚科医によってはニキビ治療においてもビタミンCの内服薬を処方することがあります。

コラーゲンの増加を促し、なめらかな肌へと導きます。また、肌の抵抗力を高めるので、ニキビの他に皮膚感染症に対しても有効です。

製品名でいえばシナール錠などがあります。保険適用です。また、ビタミンCは処方薬だけではなく、市販の医薬品やサプリメントなどでも補うことができます。

抗菌薬・抗生物質の内服薬

薬を飲む画像 抗生物質(抗菌薬)の内服薬は、内側から炎症を引き起こすアクネ菌や黄色ブドウ球菌の増殖を抑制し、ニキビの炎症を早期にしずめる効果があります。

ひどく悪化したニキビ治療によく使用され、にきび改善率は9割強だとされます。ほとんどの人が抗生物質を飲めばにきびが治るということです。

問題は、抗生物質の飲み薬は耐性菌を生じたり、腸内細菌のバランスが変化して下痢などを引き起こす副作用があることです。

抗生物質の外用薬の場合は耐性菌も局所的なものに留まりますが、内服薬の場合は全身に影響する問題があります。

そのため、現在は昔と比べると抗生物質の内服薬の処方頻度は少なくなりました。ただし、赤く腫れたニキビ、化膿ニキビが多発した場合は、仕方なく抗生物質が使用されます。

ニキビ治療に対する抗生剤の選択は皮膚科医によって違いがありますが、ここでは保険適用で処方頻度が多い順に抗生物質をいくつかご紹介します。

ミノサイクリン(ミノマイシン錠)

抗生物質ミノマイシン(ミノサイクリン)の画像 ミノサイクリンはテトラサイクリン系抗生物質の飲み薬です。製品名では、ミノマイシン錠(先発品)、ミノサイクリン錠(ジェネリック医薬品)があります。

このお薬は、細菌のタンパク質合成を阻害して、細菌増殖を抑えます。

ニキビの原因となるアクネ菌や、化膿をもたらす黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌など幅広い細菌に効果があります。毛嚢炎、おでき、めんちょうなどにも使用されます。

ミノサイクリンは、わりと古くからニキビに効く抗生物質として処方されています。皮膚科医の中には、「ニキビ治療といえばコレ」という感覚でミノサイクリンを第一選択肢としているケースも多いです。

なお、ミノサイクリンと同じテトラサイクリン系抗生物質であるビブラマイシン(ドキシサイクリン)というお薬もよくニキビケアに処方される抗生物質として知られています。

ロキシスロマイシン錠(ルリッド錠)

抗生物質ルリッド(ロキシスロマイシン)の画像 ロキシスロマイシンは、マクロライド系抗生物質の内服薬です。製品名でいえば、ロキシスロマイシン錠や、ルリッド錠(先発品)などがあります。

このお薬は、細菌のタンパク質合成を阻害することで、その病原菌の増殖を減少させます。ニキビの原因となるアクネ菌、黄色ブドウ球菌など、様々な細菌に対して広く効きます。

また、抗菌作用だけではなく、ニキビ跡の色素沈着や、クレーター発生の原因となる免疫反応を抑制する働き(広義的に抗炎症作用)があります。そのため、ニキビ治療において第一選択肢として処方する皮膚科医は多いです。

ただし、このロキシスロマイシンのようなマクロライド系抗生物質は、ピロリ菌治療や一部の性病治療など、大事な治療によく使用される系統なので、薬剤耐性菌を生まないためにもニキビ治療には他の系統を使ったほうがいいという指摘もあります。

実際に、この系統のお薬を長く使った歴史がある人は、例えばピロリ菌の一般的な除菌治療に失敗する確率が高くなったりします。

ファロム錠

抗生物質ファロム(ファロペネム)の画像 ファロム錠は、ファロペネムというペネム系抗生物質の飲み薬です。細菌の細胞壁の合成を阻害することで殺菌作用を示します。

ニキビの原因菌だけではなく、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌といった皮膚の強い腫れをもたらす細菌によく効きます。赤ニキビ、腫れの強い毛嚢炎、おでき、めんちょうなどに効果的です。

このペネム系という系統は新しい系統なので、耐性菌が少なく、薬が効きにくい現象が少ないメリットがあります。

日本皮膚科学会におけるニキビ治療のガイドラインにおいて、ファロムはミノサイクリンやロキシスロマイシンなどと同じように推奨されているお薬です。

なお、ニキビ治療における抗生物質の内服治療は1~3か月くらいになります。症状は人それぞれなので期間を定めることは難しいですが、より短期間で治療を終了するのが理想です。抗生物質は耐性菌を生むリスクがあるので、長期的に使い続けることはしないで下さい。

漢方薬が処方されることも多い

漢方薬の画像 ニキビ治療に対して漢方薬が処方されることがあります。漢方薬は保険が効きますし、かなり良い効果も期待できるので、積極的に処方するドクターはわりと多いです。

反対に、漢方薬の効果に疑問をもっている皮膚科医や、また、漢方のことに詳しくない医師もわりと多いです。

漢方薬は「ニキビ菌を殺菌する」といったようなピンポイントの効果はないので、抗生物質などと比べると基本的に即効性は低いです。

ただし、長い時間をかけて飲み続けることで、しだいにニキビができる体質を変える「体質改善」をもたらす効果が期待できます。

ニキビ治療の場合は保険が効くので、もし何をやってもニキビが治らない、または抗生物質の飲み薬に抵抗があるなどの人は一度漢方の効能を試してみて下さい。

それでは、症状が強いニキビ治療の漢方薬を処方頻度の多い順にご紹介します。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

十味敗毒湯(漢方薬)の画像 十味敗毒湯は、皮膚の腫れや化膿、赤みやかゆみなどを軽減する漢方薬です。ニキビ治療において皮膚科医が最も処方する漢方薬の一つです。

十味敗毒湯は10種類の生薬(荊芥、防風、柴胡、桔梗、川きゅう、茯苓、甘草、生姜、樸そく、独活)で成り立ち、それらの生薬には、膿の排出を促す効果、熱を冷まして炎症を抑える効果、血行を促してニキビ跡の色素沈着や赤みを薄くする効果などがあります。

体力が中程度の人に適した漢方薬ですが、基本的に炎症した赤いニキビが多発している人ならば効果が期待できます。

この十味敗毒湯は、抗生物質を使ったときのような即効性が得られるケースもあります。ハマる人にはかなり良い効果が得られます。

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

清上防風湯(漢方薬)の画像 清上防風湯は、熱をしずめて炎症部の腫れを治す漢方薬です。十味敗毒湯と同じくらいよく処方されます。

12種類の生薬(防風、薄荷、荊芥、連翹、黄連、黄ごん、山梔子、桔梗、川きゅう、白シ、枳実、甘草)で構成されています。それらの生薬の効能は主に、熱発散と消炎作用です。

体力が高くてエネルギーを作り出す能力が高い人、皮脂が多い人などに適しています。そのため、例えば10代から20代前半の悪化したニキビ治療に使用されることが多いです。また、背中ニキビや胸のニキビといった顔以外の症状にも有効です。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

(漢方薬)の画像 荊芥連翹湯は、病巣が悪化しやすい体質を改善する漢方薬です。ニキビや毛嚢炎などが慢性的に化膿しやすいような人の体質改善をもたらします。

17種類の生薬(黄ごん、黄柏、黄連、桔梗、枳実、荊芥、柴胡、山梔子、地黄、芍薬、川きゅう、当帰、薄荷、白し、防風、連翹、甘草)で構成され、それらは炎症の熱を冷ます、ニキビの膿を散らす、血流を改善するなどの効能があります。

皮膚病の他に、蓄膿症、慢性鼻炎などにも効果が認められています。体力が中程度でやや血行が悪いような人に適しています。

排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)

排膿散及湯(漢方薬)の画像 排膿散及湯は、その名の通り膿(うみ)の排出を促す漢方薬です。皮膚の腫れや赤みを軽減して治りをサポートします。

排膿散及湯は、6種類の生薬(桔梗、枳実、芍薬、大棗、生姜、甘草)で構成され、それらの生薬は主に膿の排出を促す、炎症や痛みを抑えるなどの効能があります。

化膿性のニキビや毛嚢炎が多発した時のほか、歯肉炎や歯槽膿漏などにも効果があります。

体力が高い低いに関わらず、どんな体質においても使用できる漢方薬です。

女性のみに適応する漢方薬

女性特有のホルモンバランスの乱れを改善する目的で漢方薬が処方されることがあります。

その漢方薬は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の3つです。

それらは女性3大漢方薬といわれています。場合によっては保険が効く可能性がありますので、お医者さんに相談して下さい。

自由診療の治療薬にはどんなものがある?

ここからは、保険は効きませんが、自由診療(10割負担)のもとでニキビへの効果が認められている外用薬や内服薬をご紹介します。

トレチノイン(外用薬)

トレチノインの画像 トレチノインは、ビタミンA誘導体を主成分とした塗り薬です。日本では認可されていませんが、海外では重症ニキビによく使用されたりします。日本でも自由診療のもとで処方することができます。

このトレチノインを塗布すると、皮膚内のレチノイン酸受容体に働いて、皮膚の剥離、ターンオーバーの促進などをもたらします。

角質を剥がすので、毛穴のつまりを解消し、ニキビの芯や膿の排出を促します。また、ターンオーバーを促すのでニキビ跡の色素沈着(モヤモヤしたシミ)の治りもよくします。

また、皮脂を抑える効果もあるので、ニキビが新たに発生しにくくなります。他にも、コラーゲン増加などの効果もあります。とても浅いクレーター状の凹みであればトレチノインでの改善が期待できます。

ニキビ肌に総合的に効くのがトレチノインのメリットですが、ただし、高い効果を得ようとするほど激しい反応が現れる欠点があります。赤みや角質のはがれ、紫外線に弱くなるなどの問題が起こります。

そして、角質を剥がしてターンオーバーを促すという薬理効果なので、使いすぎれば肌老化(肌が薄くなる現象)を促す危険性があります。

イソトレチノイン(ロアキュテイン)

ロアキュテイン(イソトレチノイン)の画像 イソトレチノイン(製品名:ロアキュテイン)は、ビタミンA誘導体を主成分とした内服のニキビ治療薬です。

海外では若い時期の重症ニキビ治療においてよく使われたりします。日本でも自由診療という形で、医師のもとで治療を行うことができます。

このイソトレチノインの内服の効果は、皮脂抑制作用、ターンオーバー抑制作用、抗炎症作用などがあり、重症のニキビ治療に総合的に効きます。

この治療を行えば、本当に皮脂が出なくなります。脂性肌だった人が乾燥を感じるようになることもあります。

劇的な効果が期待できるお薬ですが、ビタミンA誘導体の内服治療は様々な副作用が現われる欠点があります。粘膜の乾燥、抜け毛の増加、体力低下、日光過敏、うつ、頭痛など、副作用はいろいろです。

日常生活に影響があるようなお薬なので広く行われるような治療ではないですが、化膿ニキビが多発したような状態がどうやっても治らない場合に使用されたりします。

低用量ピル

マーベロン28(ピル)の画像 ピルはエストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンがバランスよく含まれたお薬です。

一般にピルは経口避妊薬として認識されていますが、副効果として女性のニキビにも効きます。ピルがニキビに効果があるのは以下の理由です。

  • ピルに含まれるエストロゲンは性ホルモン結合グロブリンというタンパク質を増やし、それが男性ホルモンと結合することで男性ホルモンを抑制します。
  • ピルによって女性ホルモンを補うことで、性腺刺激ホルモンも抑制され、最終的に卵巣から分泌される男性ホルモンも抑えることができます。
  • プロゲステロンという女性ホルモンは皮脂分泌を促す作用があり、生理前ニキビの原因と考えられていますが、ピルを飲むことで最終的に体内のプロゲステロン量を抑えることにつながり、それによって皮脂抑制→ニキビ改善をもたらします。

海外の報告によると、ピルによるニキビ改善率は約70%だといわれています。「どうしてもニキビが治らない」、そんな女性は一度ピルを試してみてください。自由診療ですが試す価値はあります。

ピルの副作用として初期段階に頭痛や吐き気がでることがあります。血が固まりやすくなる作用があり、深刻な場合は血栓症を起こす可能性があるので注意して下さい。

ニキビケアに処方されるピルは製品でいえば、マーベロン、ファボワール、ヤーズ、トリキュラー、ラベルフィーユなどがあります。

スピロノラクトン

スピロノラクトンの画像 スピロノラクトン(製品名:アルダクトンA)は、男性ホルモンのレセプター(受容体)を阻害して、その作用をブロックする飲み薬です。

男性ホルモンは皮脂腺に働いて皮脂量を増やしますが、そのレセプターをブロックして皮脂を減らし、ニキビ改善へとつなげます。

この治療を行えば、ほとんどのケースで皮脂の減少を実感できます。女性に対する治療であり、ピルと一緒に使用されることがあります。

ピルと併用すれば確実性が高いとされます。ニキビ治療の場合は保険は効きません。ただし、この治療を積極的に行っている皮膚科は少ないです。