トレチノインによるシミ治療「色素沈着」に効く美白効果と副作用は?

トレチノインの画像 トレチノイン(レチノイン酸)とは、生理活性がビタミンA(レチノール)の約50~100倍といわれるビタミンA誘導体の一種で、人間の血液中にも微量存在するものです。

トレチノインは皮膚細胞の核内受容体に作用して、角質を剥がし、表皮角化細胞の細胞分裂・増殖を促してターンオーバーを促進させる働きがあります。

その作用により、主にニキビ治療薬や、メラニンの排出を促す目的で美白剤として用いられます。アメリカではニキビ治療薬として広く認識されているものです。

今回はトレチノインのシミに対する効果や、副作用の対処について解説していきます。

トレチノイン(レチノイン酸)の効果と薬理作用

  • 角質を剥がす作用がある。(ピーリング作用)
  • 皮膚細胞の核内受容体に作用して、表皮角化細胞の細胞分裂と増殖を促し、ターンオーバーを促進させる働きがあります。通常、ターンオーバーは28日周期だといわれますが、トレチノイン使用時は倍の14日(2週間)周期になります。
  • 皮脂腺の活動を抑制して皮脂分泌を抑える。
  • コラーゲンやヒアルロン酸など生成を高めて小じわの改善を促します。(ただし、アンチエイジングとしては劇的な効果はありません)。

トレチノインの反応が強い部位

トレチノインが強く反応する身体の部位の画像 トレチノインはカラダの部位によって反応に違いがあります。

特に強く反応するのは、乳首、脇、おへそ周辺、陰部、肛門周辺などで、特に陰部や肛門周辺は特に強い反応がでるため、使用してはいけません。

また、粘膜部位にも強い反応がでます。目や口を2~3cm以上避けて使用してください。

乳首の黒ずみを明るくする美容治療においても、トレチノインがハイドロキノンとの併用で使用されることがあります。

乳首は他の部位よりも強い反応がでるため、トレチノインの作用により皮膚が赤くなって敏感な状態になり、下着が乳首に触れることでも痛みを感じることがあります。

通常よりも濃度を下げたりするなどの工夫が必要です。

シミ治療におけるトレチノインの理想的な濃度とは?

トレチノインの一般的に0.01~0.1%濃度のものが使用されます。

0.1%濃度
強い作用がでる濃度です。最初にこの濃度のトレチノイン軟膏を使用すると、塗布した部分にヒリヒリ感や強い赤み、ピーリング作用による乾燥を引き起こすことがあります。

0.05%濃度
皮膚のシミ・黒ずみ治療に対して使用するには理想的な濃度です。ただし、体質や部位によっては反応が強すぎたりすることもあるかもしれません。

0.025%濃度
シミ・黒ずみ治療として使用する濃度として理想的な濃度です。赤みや乾燥などの反応を抑えながら効果を得るには、このくらいの濃度から開始したほうが無難だと思います。

0.01%濃度
作用が低いため高い効果は現れにくいですが、皮膚の赤みや乾燥などの反応を抑えて緩やかな効果を得るには理想的な濃度だといえます。

使用開始期には強い反応が出やすく、使用継続によって肌が慣れてきて反応が弱くなり、2週間から1か月くらいすれば赤みや乾燥も落ち着いていきます。また、体質や部位によって反応が異なります。

使用方法

トレチノインやハイドロキノンで消えるシミかどうか確認する

シミには厳密には様々な状態があり、トレチノインやハイドロキノンなどで消せるシミとそうでないシミがあります。

一般的に境界がはっきりしているシミは消えにくいといわれ、境界がぼんやりしているシミには有効だとされます。

わからない場合は、皮膚科医に相談してみるのも良いかもしれません。

トレチノインの単独での使用方法

Step1洗顔して汚れを落とす。(肌に負担のない洗顔料で優しく洗いましょう)。

Step2化粧水などでしっかりと肌を整える。

Step3トレチノイン軟膏をシミの部分に出来るだけはみ出さないように綿棒などを使って塗る。トレチノインを広範囲に塗ると、シミ部分だけではなく塗った部分すべてが赤く反応を起こすことがあります。

Step4外出する際は必ず紫外線対策をする。治療中に日焼けしたりすると、かえって色素沈着が悪化する可能性があります。

使用回数や期間

トレチノインは夜のみの使用で十分です。翌朝は刺激性の低い洗顔料で薬剤を落とします。

ただし、トレチノインのみではシミ、黒ずみ、色素沈着に対して思うように効果は得られにくいと思います。治療期間は1~3か月が目安です。

長い期間にわたってトレチノインを使用せず、短期間の使用にとどめます。

トレチノインとハイドロキノンの併用での使用方法

Step1洗顔をして汚れを落とす。(肌に優しい洗顔料で優しく洗いましょう)。

Step2洗顔後、化粧水で肌を整える。

Step3ハイドロキノンをシミを広くはみ出して広範囲に塗布する。(ハイドロキノンは局所的に使用すると、肌に色むらができたりすることがあるため、広範囲に使用します)。

Step4ハイドロキノンが肌に馴染んだ後、トレチノインをシミ部分からできるだけはみ出さないように綿棒を使って塗る。(トレチノインの反応を最小限に抑えるため、シミ部分のみに塗ります)。

Step5その後に外出する際は、必ず紫外線対策をしましょう。

使用回数や期間

ハイドロキノンは原則的に朝・夜の使用です。トレチノインは夜のみの使用で十分です。治療期間は1~3か月が目安です。

ハイドロキノンとトレチノインは長い期間にわたって使用することは控え、短期間の使用にとどめましょう。

トレチノインを購入するには?

トレチノインは、店頭や通信販売などでは販売されておらず、購入するには病院で処方してもらう必要があります。

その場合は保険外診療(自由診療)です。また、個人輸入などで購入する方法もありますが、その場合はすべて自己責任で行う必要があります。

ハイドロキノンを購入するには?

ハイドロキノンは、市販されていますので、店頭や通信販売などでも購入できます。

また、病院によっては美白治療としてハイドロキノンを処方しているところもあります。その場合は自由診療です。

トレチノイン+ハイドロキノンによるシミ治療の注意点

ここではトレチノインとハイドロキノンの副作用をそれぞれ分けて説明します。

トレチノインの副作用や注意点

  • 使用継続とともに反応、効果が弱くなっていきます。これは肌が慣れてくるためです。
  • トレチノイン使用時は、反応によって皮膚がむけることがあります。それを無理に剥がしたり、こすったりしないようにしましょう。
  • 肌が弱い敏感肌の人や、アトピー性皮膚炎の人は、トレチノイン治療は控えるべきです。(アトピー肌は皮膚が薄くバリア機能が弱い傾向があり、トレチノインによってかえってトラブルが起きやすいといえます)。
  • 使用期限が過ぎたものは効果が弱くなります。
  • トレチノイン治療中は、必ず紫外線対策が必要になります。日焼け止めやお化粧が肌への負担になることがありますので、お化粧はパウダータイプのファンデーションのみにしましょう。(パウダーだけで紫外線予防効果があります)。
  • 塗布した部分が予想以上に肌が赤くなったり、乾燥したりすることがあります。顔の広範囲にトレチノインを使用する場合は、時間や仕事などに余裕がある時に行いましょう。
  • 非常に肌が乾燥するため、十分な保湿が必要です。
  • 妊娠中や肌に傷がある人はトレチノイン治療を行うことはできません。

ハイドロキノンの注意点や副作用

  • ハイドロキノンと併用する場合、ハイドロキノンは新鮮なものを使いましょう。劣化したハイドロキノンは刺激性が強く、美白効果も低いです。
  • ハイドロキノンは高濃度になると肌の色素を落とす作用が強くなります。局所的に使用いsていると肌の色にむらができてしまうため、シミの部分にはみ出して広く薄く塗布するようにしましょう。