シミに効く食品成分 トマトに含まれるリコピンの美白効果とは?

リコピンとは、トマトなどに含まれるカロテノイドの一種です。

強力な抗酸化作用をもち、老化や生活習慣病を予防する効果があるといわれます。

そのリコピンには肌においてもメリットがあり、日焼けなどによる老化性のシミや、炎症による色素沈着を予防する効果があることがわかっています。

今回は、トマトに含まれるリコピンやベータカロテンの美肌効果について。

リコピンの美容と健康効果について

トマトに含まれるリコピンの抗酸化能力はどれくらいあるのか?

活性酸素の一種である「一重項酸素」を消去する能力においては、β-カロテンの約2倍、ビタミンEの約100倍ほどの抗酸化パワーがあるといわれています。

突出して高い抗酸化パワーが美肌や長寿をもたらす理由です。

活性酸素を無毒化する

人間の老化現象を引き起こす原因の一つが活性酸素だとされます。その活性酸素には、以下の4つの種類があります。

  • スーパーオキシドラジカル
  • ヒドロキシラジカル
  • 過酸化水素
  • 一重項酸素

このうち、紫外線を浴びると発生するのが一重項酸素です。

一重項酸素は肌細胞にダメージを与え、メラノサイトを活性化させてメラニン色素の生成を促し、シミやくすみを引き起こす要因となります。

リコピンは、その一重項酸素を消去する作用に優れていて、紫外線で発生する一重項酸素を消去して無毒化し、メラニン色素の生成を抑制します。

そして、日焼け後のシミを予防することができます。

また、メラニンが作られにくくなるので、ターンオーバーが活発な時期ならば、リコピンをとり続けることで、すでにあるシミも薄くなっていく可能性もあります。

炎症による活性酸素の害を抑える

紫外線だけではなく、ニキビや毛嚢炎、アトピーなどの肌の炎症においても活性酸素が発生します。

リコピンは皮膚の炎症で発生する活性酸素にも抗酸化パワーを発揮し、炎症後色素沈着を抑えるように働きます。

また、炎症が続くと肌細胞内の損傷により老化性のくっきりとしたシミが発生することがありますが、そのシミの予防にも有効です。

過酸化脂質を抑制する

紫外線を浴びると、皮脂中の不飽和脂肪酸の酸化がすすみ、過酸化脂質に変化します。

また、特に紫外線を浴びなくても、皮脂は空気に触れることで酸化し、しだいに刺激性が強い物質へと変化します。

皮脂の酸化は、ニキビや脂漏性皮膚炎、毛穴の黒ずみなどの原因となるのですが、リコピンを摂取していれば、皮脂の酸化スピードを遅らせることができるとされます。

つまり、ニキビなどの皮脂が原因となる肌トラブルを予防できるということです。

動脈硬化を予防する

血中コレステロールが酸化されると、コレステロールが血管壁にこびりついて動脈硬化を引き起こします。

動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞の原因となるものです。

トマトに含まれるリコピンには血中コレステロールの酸化を防止し、動脈硬化を予防することがわかっています。

トマトの消費量が多い国ほど寿命が長いというような話しもありますが、リコピンが細胞や血管年齢を若く保ってくれることが関係していると考えられています。

トマトにはベータカロテンも多く含まれる

リコピンは主にトマトに多く含まれますが、そのトマトにはリコピンだけではなくβカロテン(ベータカロテン)も多く含まれます。

ベータカロテンとは、リコピンと同じカロテノイドの一種で、ビタミンEの約50倍もの抗酸化力がある物質です。

ベータカロテンも日焼けや炎症によるシミを予防する

日焼けや皮膚の炎症が起こると、メラニン色素がたくさん作られます。

ベータカロテンを充分に摂取していると、日焼けや炎症によるメラニン生成を予防できるとされます。

リコピンと共にダブルでメラニン抑制に働きます。

ビタミンAとしての働き

ベータカロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されるプロビタミンAという性質をもちます。

つまり、「ベータカロテン=ビタミンA」と考えることができます。

ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康を保持する働きがあり、シミを予防するには不可欠なビタミンです。

過剰症の心配はない

ベータカロテンは多めに摂取しても必要な分だけビタミンAに変換され、残ったベータカロテンは抗酸化物質として働きます。

基本的に過剰症の心配がないとされるので、シミを改善したい場合は積極的に摂取しましょう。

リコピン摂取のポイント

リコピンを多く含む食品

リコピンは以下のような食品に多く含まれています。

  • トマト:3.0mg(100g中)
  • ミニトマト:8.1mg(100g中)
  • トマトジュース:15.0mg(100ml中)
  • スイカ:3.2mg(100g中)

なお、同じ量を食べる場合は、トマトよりもミニトマトのほうがリコピンやビタミンの含有量は多いです。特にトマトの皮といった赤い色素部分に栄養が集中しています。

1日の理想的な摂取量は?

人間にとってリコピンは必須の物質ではないので、特に1日の必要摂取量は定められていませんが、一般に健康や美肌を維持するためには1日に10〜20mgくらいを目安にリコピンをとったほうがいいとされます。

例えば、リコピンを1日に10mg摂取するには、普通のトマトでは2~3個、ミニトマトなら7~10個くらい必要になります。

リコピンは油料理と一緒に摂取すると吸収が高くなる

オリーブオイルの画像 リコピンは脂溶性の成分です。水溶性ではなく油に溶ける性質があります。

そのため、油料理や油分の多い食品と共に摂取すると吸収が高くなります。

例えば、生のトマトを食べるときは、単独で食べるよりもオリーブオイルやドレッシングをかけて食べるほうがリコピンの吸収率は上がります。

一方、空腹時にトマトだけ(リコピンだけ)を摂取しても吸収率は悪いです。

トマトを加熱したほうがリコピンの吸収率が高くなる

トマトを加熱調理すると細胞壁が壊れることでリコピンがにじみ出てくるようになります。

それによってリコピンが吸収率がアップするようです。

サプリメントでもOK

「毎日トマトを食べることはできない」、「そもそもトマトが嫌い」

そういった人はサプリメントを利用するのも一つの方法です。

サプリの場合は食後が基本

そして、リコピンサプリを飲む場合は脂溶性なので食後に飲んで下さい。空腹時に飲んでも効果は低いです。

赤いトマトほどリコピンが多い

トマトの画像 リコピンとベータカロテンは赤い色素をしています。そしてトマトの赤みが強いものほどリコピンやベータカロテンを多く含んでいます。

そのため、スーパーでトマトを買うときは熟した赤いトマト(完熟トマト)を選ぶようにしましょう。

リコピンはビタミンCと同時に摂取すると相乗効果がある

リコピンはビタミンCとともに摂取すると抗酸化作用が高くなります。

ビタミンCの画像 ビタミンCにもリコピンと同じように抗酸化パワーをもつので、同じ効能をもつリコピンの働きをサポートしてくれます。

ビタミンCは、果物ではアセロラ、キウイフルーツ、グレープフルーツ、イチゴ、オレンジ、レモンなどに多く含まれます。

また、緑黄色野菜では、ほうれんそう、ブロッコリー、モロヘイヤ、ピーマンなどに多く含まれています。

胃の働きが悪い人は注意

リコピンは胃酸を抑制する働きがあります。そのため、消化機能が低下している人は、トマトをたくさん食べると消化不良を起こすかもしれません。

また、トマトの種は消化されにくいので、胃が弱い人は種を取り除いて食べたほうがいいかもしれません。