マグノリグナンとは、モクレン科植物ホオノキの樹皮などに多く含有される「フェノール性二量体」という構造を持つ「マグノロール」というポリフェノールの美白効果に着目して開発された成分。
開発元はカネボウ化粧品。13年の年月をかけて開発し、マグノロールを安定化させたのが「マグノリグナン」です。
一般的な美白成分とは違うアプローチによりメラニンを抑制する働きがあります。
マグノリグナンは、優れた美白効果が確認されたことから2005年に医薬部外品の有効成分として厚生労働省に認められています。
マグノリグナンの美白効果
シミの正体はメラニン色素の沈着によるもの。
そのメラニンは、紫外線や皮膚の炎症、物理的な刺激によってメラノサイトが活性化し、そこで作られたチロシナーゼという酸化酵素がアミノ酸のチロシンをメラニンに作り変えることで作られます。
マグノリグナンはメラニンを合成するチロシナーゼという酵素の成熟を阻害し、メラニンの合成を抑制して、美白効果をもたらします。
その結果、シミ予防につながり、またすでにあるシミも薄くすることが期待できます。
チロシナーゼ阻害ではない
多くの美白成分における美白メカニズムは、メラニンを合成するチロシナーゼの働きを抑制するといった作用のものです。
代表的なものはアルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ビタミンC誘導体、プラセンタエキスなどがあります。
マグノリグナンは、メラニン色素を合成するチロシナーゼそのものをブロックするのではなく、チロシナーゼの成長自体を阻害し、美白作用を示します。
「チロシナーゼの成熟阻害」という他とは違う美白メカニズムによってシミやくすみのない透明感のある白い肌へと導きます。
どんなシミに効くのか?
シミといってもいろいろな種類があります。
代表的なものは、老人性のシミ(一般的な加齢しみ)、そばかす、肝斑、炎症後色素沈着の4つです。
マグノリグナンは、このうち加齢しみや肝斑、炎症後色素沈着に効きます。そして一番効くのが炎症後色素沈着です。
例えば、炎症が強いニキビや毛嚢炎などで現れる色素沈着に効果を発揮します。
ただ、境界がはっきりとした加齢シミは肌細胞の老化、つまりターンオーバー異常が原因なので、少し効きにくいかもしれません。
マグノリグナンは肝斑にも効果がある
マグノリグナンは肝斑(かんぱん)という女性特有のシミにも効果があることがわかっています。
肝斑とは、特に30代~50代の女性の顔の頬にモヤモヤとできる特殊なシミです。
妊娠中やピル服用時に発生しやすいことから女性ホルモンのバランスが変化することで発生するのではないかと考えられているものです。
その肝斑というシミには「トラネキサム酸」が有効だとよく言われるのですが、マグノリグナンにも高い効果があるとされます。
ただし、肝斑は女性ホルモンが絡んだ難しいシミなので、たいていは化粧品成分だけでキレイになるものではありません。
マグノリグナンの注意点や副作用
比較的安全な成分
マグノリグナンは、「マグノロール」というポリフェノールを、有効かつ安全に使用できるように開発された成分です。
開発から長い年月がたっていて、大きな皮膚障害などの報告がないので、ほとんどの人は安心して使えると思います。
なお、強い赤みやかゆみが現れるアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を引き起こすケースはまれだと思います。
肌に合わない場合は使用を中止する
人によってはマグノリグナンが肌に合わないこともあるかもしれません。
もし化粧品を使用して異常が起きたら使用を中止して下さい。
そして、かぶれて悪化してしまった場合は皮膚科を受診したほうがいいです。主にステロイド外用薬が処方されたりします。
他にも、スタデルム軟膏やフエナゾール軟膏などのステロイドではない消炎薬が処方されます。
化粧品でかぶれ続けるとこんな肌になってしまう
「化粧品がもったいないから」などの理由で、合わないコスメを使い続けていると以下の画像ような色素沈着を起こしてしまうことがあります。
写真は色素沈着型化粧品皮膚炎という症状で、かつては女子顔面黒皮症といわれていたものです。
細かな接触皮膚炎を起こし続けることで、しだいにまばらなシミができてしまった状態。
こういったシミはメラニンが皮膚の深い位置に入り込んでいるので、薄くなるまで年単位の時間がかかったり、また自然には治らないことも。
なので、使った後にヒリヒリしたり、鏡を見て赤みが出たりしたら使用を止めたほうがいいです。
なお、治りにくいシミを早く改善したという場合はレーザートーニングというレーザー治療が一番有効です。
ロドデノールのような白斑を起こす副作用は起こらない?
マグノリグナンと同じようにカネボウ化粧品が開発した美白成分にロドデノールという成分があります。
ロドデノールは白樺の樹皮やメグスリノキなどに多く含まれ、チロシナーゼを強力に阻害して美白作用をもたらす成分。
ところが、その成分は白斑という皮膚のメラニンが抜けてしまう副作用が問題となった過去があります。画像はロドデノールの白斑被害のもの。
症状が確認された人数は5702人で、一般の化粧品では最大級でした。
そのため、ロドデノールは現在は販売中止となっていますが、では、マグノリグナンには白斑のような副作用はないのでしょうか。
結論から言えば、マグノリグナンによる白斑被害は現在まで報告されていないようです。
他の成分が合わないかも
マグノリグナンは、一般的な美白成分とは異なるアプローチで美白作用をもたらします。
そのため、相乗効果をもたらすためにマグノリグナンと違う働きをもつ他の美白成分と一緒に配合されていたりします。
その場合、もし化粧品で赤くなったり、かゆくなったりしたら、どの成分が問題なのか特定が難しいかもしれません。
いずれにしても肌に合わないのなら、その化粧品を使い続けてはいけません。
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