老人性色素班(日光性黒子)の原因と治療法

加齢によるシミの画像 老人性色素班(ろうじんせいしきそはん)とは、老化や紫外線の影響によって引き起こされる一般的なシミです。

他にも、「日光黒子(にっこうこくし)」「日光性黒子(にっこうせいこくし)」「日光性色素斑(にっこうせいしきそはん)」などと呼ばれます。

老人性色素班(日光黒子)の原因と特徴

原因とは?

紫外線による影響と肌老化が原因です。紫外線などの影響で色素細胞(メラニン色素を作り出す細胞)や表皮細胞に異常が起こり、部分的にターンオーバーに異常が起きて、シミが排出されずに定着してしまうことで引き起こされると考えられています。

肌老化が始まる30代以降に現れやすいですが、若年層でも紫外線をたくさん浴びることで発生する可能性があります。

形状・色

円形状のシミであることが多い。初期段階は薄い褐色で、しだいに濃くなって拡大することがある。何年か経過するとシミが濃くなってシミの形がはっきりしてくることが多い。

発生しやすい部位

紫外線がよく当たる顔面にできやすく、特に頬のあたりにできやすい。また、手の甲、腕も紫外線に当たるため発生しやすいです。

その他の特徴

  • 紫外線に当たるほど、シミの症状が悪化する。
  • 肌をこすったり、ゴシゴシ洗いなどによる物理的な刺激がシミの症状を悪化させる。
  • 濃くなると美白化粧品では効果を得られにくくなり、レーザー治療や光治療しか改善できなくなります。
  • 何年も経過すると、脂漏性角化症(老人性ゆうぜい)という隆起してイボをともなったシミになることがある。

主な治療方法

  • 美白剤、美白化粧品。
  • イオン導入。
  • ケミカルピーリング
  • ビタミンCの服用。
  • IPL(フォトフェイシャル)
  • レーザー治療(Qスイッチ・レーザー)

老人性色素斑(日光黒子)の治療法

美白化粧品によるシミ消し

老人性色素班は、美白化粧品によって薄くすることができる可能性があります。

しみに効く美白成分には、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、ビタミンC誘導体、プラセンタエキス、油溶性甘草エキス(グラブリジン)、ハイドロキノン、リノール酸、4MSKなどがあります。

ただし、シミが薄い初期段階の状態に対して有効で、シミが濃くなって大きくなったものは美白成分による改善は難しいです。

老人性色素班は皮膚の老化現象をともなっていますので、美白化粧品のみで濃いシミを完全に消すことは、ほとんどの場合は無理です。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングの画像 ケミカルピーリングとは、角質を剥がす作用があるフルーツ酸(AHA)やサリチル酸(BHA)を使用して古い角質を除去し、ターンオーバーを促進させて皮膚の生まれ変わりを促す治療法です。

表皮層に留まっているメラニンの排出を促進させる効果があり、美白剤と併用すると相乗効果を得られます。

フルーツ酸(AHA)にはグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸などがあり、その中でもピーリング剤にはグリコール酸が使用されることが多いです。

ただし、ピーリングは肌が薄くしてしまい、かえって刺激に弱い肌になってしまうことがあります。そして、シミを治すどころかシミができやすくなることもあります。

シミ治療の場合のピーリングは、部分的なものにする必要があります。

また、年齢を重ねるほど肌は薄くなっているので、ピーリングというスキンケアが肌に合わないこともあります。この方法は若い年齢層に適しています。

ビタミンCの内服

シミ治療には、ビタミンCを内服することで内側からのシミの改善が期待できます。

ビタミンCは、メラニン色素の合成を阻害する働きや、活性酸素を消去して肌老化を予防する働き、新陳代謝を活発にする作用、コラーゲン合成を促す働きなどがあり、不足するとシミ、しわ、たるみが進行する要因になります。

美容のためにはビタミンCが不足しないようにする必要があります。

ビタミンCは、イチゴ、キウイフルーツ、アセロラ、グレープフルーツ、オレンジ、レモンなどの果物や、キャベツ、モロヘイヤ、ピーマンなどの野菜類に多く含まれます。

また、サプリメントを利用するのも一つの方法です。ただし、ビタミンCを取りすぎると軟便、下痢、腹痛などを引き起こすこともあります。ビタミンCの一日の所要量は100mgで、シミ治療に有効なビタミンCの量は300~1000mgが目安です。

IPL(フォトフェイシャル)

フォトフェイシャル(IPL)を照射する画像 IPL(フォトフェイシャル)とは、幅広い波長を出すことができる特殊な光を使って、シミ、くすみ、毛穴のたるみ、赤み、毛細血管拡張などの様々な肌トラブルを同時に改善できる光治療です。

シミ治療だけではなく、様々な肌症状を同時に改善できるメリットがあることや、ダウンタイムがないのも魅力の一つです。

ただし、IPLは作用が穏やかであるためシミを一度で消すことが難しく、通常は複数回の治療が必要になります。また、深い層にある色素性病変には不向きです。一般的なシミの場合、3~4週間おきに5回の照射が目安です。

レーザー治療(Qスイッチ・レーザー)

シミが濃くなった場合は、Qスイッチ・レーザー治療が有効です。

Qスイッチ・レーザーとは、高いエネルギーをナノ秒単位という劇的に短い時間で照射できるレーザーで、照射時間が劇的に短縮されることで高い出力でも肌に対するダメージを抑制することができるメリットがあります。

Qスイッチレーザーには以下の3つの種類があります。

Qスイッチ・ルビーレーザー

Qスイッチ・ルビーレーザーの写真 Qスイッチ・ルビーレーザーは、694nm(ナノメートル)の波長をもつレーザーで、シミ取りレーザーとも呼ばれます。

メラニン色素によく反応するのが特徴です。老人性色素斑に対するレーザー治療の場合は、Qスイッチルビーレーザーが使用されることが多いです。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの画像 Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーは、755nmの波長をもつレーザーです。この波長はレーザー脱毛でも使用されるレーザーです。

Qスイッチ・YAGレーザー(ヤグレーザー)

Qスイッチ・ヤグレーザーの写真 Qスイッチ・ヤグレーザーは、1064nmの基本波をもつレーザーで、波長が長いことから皮膚の深い層にまで作用するレーザーです。半分の532nmの波長でも治療することができます。

Qスイッチレーザーにはいくつかの種類がありますが、いずれにしても治療回数は1~2回が目安です。通常は1回でしみを消すことができますが、完全に消えない場合はもう一度行う必要があります。

レーザー照射後は、患部に軟膏を塗布したりします。これにより、皮膚の再生を促し、レーザー照射による炎症後色素沈着を予防することができます。