扁平母斑(へんぺいぼはん)とは、茶色のアザのこと。カラダの様々な場所に平坦的にできるものです。
カフェオレ斑ともいわれます。
この症状は、メラニン色素が皮膚の浅い層に増加して発現し、均一な色調で境界がはっきりしているのが特徴です。
そして、茶アザの中には、主に肩や腰まわりに濃い発毛を伴った「ベッカー母斑」というアザもあります。
また、レックリングハウゼン病という遺伝性の病気を原因とする茶アザもあります。
茶あざ・扁平母斑の原因と特徴
扁平母斑は、皮膚の浅いところでメラニン色素が増加することで引き起こされます。
メラニン色素を作り出す細胞の増殖ではなく、メラニン色素だけの増加によるものです。なので平坦であり、盛り上がりが見られません。
その発生の原因は、詳しくわかっていません。
発症について
扁平母斑は、生まれつきあります。また、生後まもなく発現することもあります。
他にも、思春期から発現する「遅発性扁平母斑(ちはつせいへんぺいぼはん)」という茶アザもあります。
なお、扁平母斑は遺伝性はないとされています。
発生しやすい部位
一部分を除いてほぼ全身に現れる可能性があります。よく見られるのは背中や胸、お腹あたり。
形状・色
茶色、褐色の色素斑。平らで境界がはっきりとしています。大きさは小さいものから大きいものまで様々です。
自然治癒する?
扁平母斑は蒙古斑のように自然消失することはありません。
悪性化の疑いは?
扁平母斑は、生まれつきのものでも遅発性のものでも、通常は皮膚ガンのように悪性化することはないです。
扁平母斑をもつ人は多い
茶あざというと一般的には扁平母斑のことをいいますが、茶アザをもつ人は少なくないのです。
約10~20%の人がこの茶色のアザをもっているといわれます。珍しくないものです。
ベッカー母斑という症状もある
ベッカー母斑とは、主に思春期から生じる大きな茶アザです。遅発性扁平母斑とも呼ばれます。
肩から胸の上部にかけて生ずることが多いのが特徴。まれにお腹や腕や脚に生ずることもあります。
そして、ベッカー母斑の約半数の人が茶アザから発毛がみられます。
ベッカー母斑は強い紫外線を浴びた後に現れることがあり、それはメラノサイト(色素細胞)が紫外線ダメージにより変質してしまうことが大きな原因とされています。
茶アザが多い場合は神経線維腫症1型という病気の疑いがある
「身体のどこかに茶アザがある」
それは特に珍しくないものなのですが、その茶アザが多く存在する場合は、神経線維腫症1型(別名ではレックリングハウゼン病)という遺伝性の病気が疑われます。
その病気は主に神経や皮膚を中心に、人体のあらゆる器官に様々な異常を引き起こす遺伝性の病気で、難病に指定されているものです。
神経線維腫症には1型と2型がありますが、1型の神経線維腫症は特に皮膚に対して顕著に症状が現れ、しみや茶あざ、またはデキモノが全身に現れます。
診断基準は茶アザが6つ以上あるかどうか
一般的な茶アザ(扁平母斑)と、遺伝病であるレックリングハウゼン病による茶アザの診断は、全身に茶アザが6つ以上あるかどうかが一つの目安となっています。
例えば、茶あざが8つ以上ある場合はレックリングハウゼン病が疑われます。
これは統計的に証明されているものです。もし、茶アザがたくさんある場合は専門の病院へ受診して下さい。
レーザー治療が中心
扁平母斑の治療は、一昔前はドライアイスを使った治療が行われていましたが、今はレーザーが中心です。
レーザーにはいろいろなタイプがありますが、扁平母斑のような茶アザには「Qスイッチ」というレーザーが使われます。
Qスイッチ・レーザーとは、高い出力のエネルギーをナノ秒単位という時間で照射できるレーザーをいいます。
極端に短い照射時間であるため、強いエネルギーでも皮膚へのダメージが抑制されるメリットがあります。
Qスイッチレーザーの種類
Qスイッチレーザーは以下のようなものがあります。
Qスイッチ・ルビーレーザー
波長694nm(ナノメートル)のレーザーです。色の濃いものによく反応する波長で、様々な色素性病変に対してよく使用されるレーザーです。
一般的な老人性のシミ治療によく使用されることから、シミ取りレーザーといわれたりします。
扁平母斑では、このルビーレーザーを中心に治療が行われるのが一般的です。
Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー
波長755nmのレーザーです。ルビーレーザーよりもやや波長が長く、皮膚の深部に到達します。
ただ、ルビーレーザーと比べると、メラニンへの反応は少し弱いです。
あらゆる色素性病変に対してルビーレーザーのほうが反応性が高いので、Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーを導入している病院は少ないです。
治療は段階的に行う
まずは1~2回のレーザー治療を行い、再発がないか確認します。そして、その治療効果が認められたらレーザー治療を継続します。
大人になってからでは効果がでないケースが多い
先天性の扁平母斑、つまり生まれつきの茶アザで、それを成人してからレーザー治療を行う場合、再発しやすい問題があります。
レーザーが有効ではない場合(すぐに再発するケース)では、他の方法ではドライアイスや手術などがあります。
ただし、キレイに仕上がるかどうかを考慮すると、ドライアイスや手術という方法が理想的だといえないことも多いです。
早い段階から行うと効果が高い
生まれつき、もしくは生後まもなく発生する扁平母斑は、できるだけ早い時期にレーザー治療を行うと、永久的な効果が得られる確率が高くなります。
これは統計的に確認されているものです。
そのため、乳幼児期からレーザー治療をすすめる医師も増えています。特に顔に茶アザがある場合は早い判断が理想です。
遅発性の場合は効果が高い
遅発性扁平母斑(思春期から発生する茶あざ)は、多くのケースでレーザーが効きます。
治療後は紫外線ケアが必要
レーザー治療後は紫外線対策が必要です。日焼けは再発の原因となりやすいです。
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