シミやくすみのない透明感のある肌を維持するには、紫外線対策と同時に日ごろからのバランスの良い食生活が重要です。
偏った食事が続けば当然、肌にも悪影響がありますが、特に砂糖が多く含まれた甘いものばかりを食べていると、シミやしわ、たるみなどの肌老化につながってしまう可能性があります。
甘い物の過剰摂取は腸管カンジダを増やす
砂糖(ショ糖)や果糖が多く含まれる甘い食べ物をたくさん摂取していると、腸管内でカンジダという真菌(カビ)が増加するようになります。性器カンジダ症の原因でもあるカビの一種です。
そのカンジダ菌は腸管内においてプロスタグランジンという生理活性物質を産生することがわかっています。
プロスタグランジンは炎症反応を悪化させる物質で、例えばニキビなどで肌が炎症を起こすときにも、その物質が関与して赤みや腫れをもたらします。
そして、プロスタグランジンは炎症と同時にメラニン色素の合成を促す働きもあります。
つまり、甘い食べ物を多く摂取していると、カンジダ菌が増加して炎症体質が慢性化し、皮膚においても炎症やメラニンの生成が進行するようになる可能性があるということです。
糖分の摂取がそのままシミの増加につながる可能性があります。ニキビや皮膚病などによる色素沈着も治りにくくなったりします。
なお、炎症をもたらすプロスタグランジンを抑える薬は有名な市販薬にもたくさん存在します。例えば、風邪薬によく配合されるイブプロフェン(製品ではイブA錠、エスタックイブなど)や、頭痛や生理痛に使用されるロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)なども、プロスタグランジンを抑制する働きを効能としたお薬です。
抗生物質を長く使ったことがある人は注意
このカンジダ菌による影響は、特に抗生物質を使った期間が長い人に起こりやすいとされます。なぜなら、抗生物質は腸内細菌のバランスを大きく崩してしまうためです。
例えば、胃炎や胃潰瘍治療においてピロリ菌の除菌治療が積極的に行われたりしますが、抗菌薬で胃粘膜に生息するピロリ菌を死滅させるということは腸粘膜の細菌も同時に死滅している可能性があるということです。
つまり、抗生物質は腸内の必要な細菌まで殺してしまう可能性があるのです。そして、一部の細菌が死滅してしまうと、病原性が低い他の細菌の影響力が強くなることがありますが、その一つがカンジダ菌というわけです。
そして、人間の免疫系の約70%が腸管内に集中しているとされますが、その腸内の細菌バランスが乱れることで免疫系も乱れ、アレルギーの原因となってしまうこともあるとされます。(実際にそういった研究も盛んに行われています)。
例えば、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの慢性的な皮膚疾患をかかえる人は砂糖を摂ることで症状が極端に悪化することも多いです。アトピー患者の人は軽度、重度関係なく湿疹が悪化してかゆみがひどくなったりします。
腸内カンジダが増えやすいかどうかの判断は難しいところですが、甘い物をたくさん食べた後に肌荒れが悪化したり、下痢しやすくなったりすればその疑いがあります。
甘い食べ物は老化シミの原因になる?
白砂糖(ショ糖)や果糖などを慢性的に食べすぎると、腸内でカンジダなどの悪玉菌が増加し、結果的に炎症体質になっていきます。
そして、皮膚においても炎症が起こるようになっていきます。(なお、皮膚の炎症だけではなく、例えばヒザに炎症がある人はヒザ痛が悪化したりします)。
皮膚に炎症が起こると活性酸素が発生しますが、その活性酸素は細胞内の不飽和脂肪酸を酸化させ、過酸化脂質へと変化させます。
そして、最終的には細胞内に「リポフスチン」といわれる不溶性色素が作られます。リポフスチンは、大まかにいえば色素をもつ老廃物であり、「老化色素」、「加齢性色素」、「消耗性色素」ともいわれます。
そのリポフスチンの問題は、色素をもつだけではなく、細胞の働きを悪化させてしまうことです。リポフスチンが肌細胞内に定着すると、皮膚のターンオーバーを低下させて老人性のシミや黒ずみ、くすみ、肌の乾燥などの原因になってしまうといわれています。
特に、リポフスチンによるシミは、紫外線や皮脂の酸化などの影響を受ける顔に発生しやすいと考えられます。治りにくいや毛穴の黒ずみなどもリポフスチンが関係しているかもしれません。
また、シワやたるみといった老化現象もリポフスチンが関係しています。
リポフスチンは炎症体質の人ほど発生しやすいので、甘い食べ物で肌荒れが悪化しやすい人は注意しなければいけません。
糖質の過剰摂取は糖化現象を起こす
糖分の摂取が慢性的になると、血中に糖があふれ、カラダの中のたんぱく質と結びついて「糖化」といわれる老化現象を進行させます。
タンパク質と結びついた糖は細胞を変質させたり、コラーゲンなどを劣化させる原因となります。そして、血中に糖質が増加しすぎるとたんぱく質の合成が低下したりします。
タンパク質は細胞や様々な酵素の働きには不可欠な存在で、その働きが低下することは老化の加速を意味します。美容面も健康面にとっても頻繁な糖分の過剰摂取は好ましくありません。
慢性的な糖分摂取は成長ホルモンの分泌を悪化させる
成長ホルモンはヒトの身体の成長を促すホルモンです。タンパク質の合成や細胞の再生を促し、新陳代謝を活性化する役割があるのですが、間食などによって血糖値が高い状態が続くと成長ホルモンの分泌が悪くなってしまう問題があります。
血糖値と成長ホルモンは反比例するのですが、特に問題は睡眠時です。
成長ホルモンは特に睡眠時に多く分泌されるので、睡眠前に血糖値が高いままになっているとその分泌が悪化し、肌のターンオーバーが低下するようになります。それが慢性的になれば、シミやしわなどの肌老化につながってくる可能性があります。
甘い食べ物を慢性的に食べると感染症を起こしやすくなる
間食などで慢性的に甘い食べ物を摂取すると、血糖値が高い状態が長く続くようになります。
血液中に糖がドロドロと溢れている状態が続くのですが、その状態が続くと免疫バランスが乱れるようになり、感染症を起こしやすくなります。
例えば、風邪をひきやすくなったり、傷が化膿しやすくなったりします。
免疫が乱れると、皮膚においてはムダ毛処理後によく多発する毛嚢炎(もうのうえん)という感染症にかかりやすくなります。
毛嚢炎は主に黄色ブドウ球菌という細菌感染によって発生する症状ですが、免疫バランスが乱れると悪化しやすくなって治りにくくります。
毛嚢炎はエイズ患者や糖尿病患者などが長引く傾向にありますが、同時に甘いお菓子や果物ばかりを摂取している場合においても似たような現象が起こることがあります。
また、糖分の過剰摂取は血中のカルシウムイオンを減少させますので疲れやすくなったり、筋肉痛が治りにくくなったりするようになります。(従来は筋肉痛の原因は乳酸だといわれていましたが、カルシウムイオンの減少だということが明らかになっています)
砂糖によるシミを減らすには全体的に甘い物を減らす工夫を
果物やお菓子などの甘い物の摂取を控えることがシミや肌荒れ、しわ、たるみなどの肌老化を予防するポイントです。
基本的に甘い食べ物というのは砂糖(しょ糖)や果糖が含まれますので肌が不安定な時は控えたほうがいいでしょう。果物も果糖やショ糖が多く含まれますので、食べすぎには注意して下さい。
そして、今までの料理の味付けを少し工夫してみるのも一つの方法です。例えば、今まで砂糖を使って味付けしていた料理を、蜂蜜(はちみつ)に変えたりすれば全体的な糖分の量を減らすことができます。ハチミツは強い甘さをもたらす果糖が多いためです。
また、蜂蜜はビタミン、ミネラル、各種アミノ酸などの様々な栄養成分が含まれ、美容や健康的にも良いはずです。
他にも、例えばコーヒーに入れる砂糖をミルクに変えたりすれば、糖の摂取量を減らせるはずです。ミルクに含まれる乳糖は甘さは少ないですが、一方で脂肪分が多いためまろやかさがあります。
炭水化物を組み合わせて食べないようにする
例えば、ご飯にラーメンやうどん、お好み焼きといった糖質類ばかりを組み合わせた食事をしていると、糖化現象を進行させる要因となります。
日本人は歴史的に炭水化物(白米)ばかりに依存した食卓事情があるので、その感覚で炭水化物ばかりを食べているような人は糖化現象が進行している可能性があります。
食事の時は炭水化物は最後に食べる
食事をするときは、野菜類や肉、魚、豆類などから先に食べて、炭水化物は後に食べるようにしましょう。
これにより血糖値の急上昇を抑制され、体の糖化といわれる老化現象を抑制することができます。特に甘い食べ物は食事の最後に食べたほうが良いでしょう。そして、甘い食べ物はほどほどにします。
- ピーリングを10年続けた肌はどうなる?過剰ニキビケア体験談
- 面疔(めんちょう)の原因&治し方まとめ。最も効く皮膚科の薬や市販薬は?
- 皮膚の表皮・真皮・角質層の厚さは何ミリ?各部位の厚みと層数まとめ
- ベピオゲルのにきび減少率と副作用、ヒリヒリする痛みやかゆみの対処についても解説
- メガネ跡の黒ずみ・色素沈着を治す方法は? 予防法と治療方法
- 目・眼球のしみ(結膜母斑)の治療方法とは? 原因と治し方
- 皮膚科のニキビ処方薬「塗り薬・飲み薬」まとめ。保険適用で処方頻度が多い順
- アダパレンゲルの赤ニキビ減少率と副作用。ヒリヒリや皮むけ、かゆみの対処について
- ニキビを潰す方法。ニキビの芯を出す器具と潰していいニキビ写真一覧
- デュアック配合ゲルのニキビ減少率と副作用。痛みやアレルギーのかゆみ対処について