写真はブラジリアンワックス脱毛によって発生した陰部の毛嚢炎です。
ブラジリアンワックスとは、ビキニラインなどアンダーヘア部位のワックス脱毛のこと。
温めたワックス剤を陰部に薄く塗ってのばし、固まったところで陰毛と共に一気に剥がすといった方法です。
ブラジリアンワックス脱毛は、女性がTバックのビキニ水着を着用するために行われるようになった脱毛法とされ、Tバック発祥の国ブラジルから命名されたといわれています。
この脱毛は、毛抜きなどで一本一本処理する方法と違って一気にアンダーヘアを処理することができるメリットがあり、根元から抜いてしまうのでカミソリでは実現できないようなキレイな仕上がりにすることができます。
ところが、この方法を行っているとしだいに色素沈着を起こして黒ずんできたり、毛嚢炎(もうのうえん)というニキビのような赤いブツブツが発生して、逆に汚くなってしまうことがよくあります。
ブラジリアンワックス脱毛による毛嚢炎
ブラジリアンワックス脱毛によって毛嚢炎(もうのうえん)という皮膚炎を起こす可能性があります。
毛嚢炎とは、毛穴の内部(毛包)が傷つくことで、そこから表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入して引き起こされる感染症です。
見た目は小さなニキビのように見えますがにきびではありません。また、まれに化膿して大きく腫れ、おでき(せつ)となってしまうことがあります。大きく腫れた場合は黄色ブドウ球菌が原因となることがほとんどです。
まれに、化膿レンサ球菌という病原性が強い細菌により、ひどく化膿してしまうこともあります。
毛嚢炎が起こった時の対処法
ブラジリアンワックス脱毛を行って、赤くブツブツを起こした場合、それは毛嚢炎(または毛包炎)という症状だと思います。ニキビと似てますが違う症状です。
炎症が軽い場合は、特に何も治療しなくても2~3日ほど経過すれば治っていくことが多いです。
毛嚢炎はニキビのように芯(角栓)が内部にあるわけではなく、単に毛包(毛穴の内部)が傷ついたことで一時的に起こる細菌感染症であるため、多くの場合は深刻になることはありません。
ところが、毛嚢炎はまれに重症化して化膿してしまうことがあります。おでき(せつ)といった皮膚が硬くなるくらい赤く腫れあがった状態になることがあります。
炎症が大きくなりそうな場合は、お薬を塗ってより早めに治療をしたほうがいいです。
陰部は色素沈着を起こしやすく、小さな炎症においても色素沈着として長く残ってしまうことがあるので、早めに薬を塗って炎症を取るようにしましょう。
毛嚢炎に効く市販薬の塗り薬
- テラマイシン軟膏→(オキシテトラサイクリンとポリミキシンBの2種類の抗生物質配合)
- ドルマイシン軟膏→(コリスチンとバシトラシンの2種類の抗生物質配合)
- クロマイN軟膏→(クロラムフェニコールとフラジオマイシンの2種類の抗生剤)
- オロナインH軟膏→(家庭のニキビ薬として有名ですが、主成分のクロルヘキシジングルコン酸塩は毛嚢炎にも効きます)
また、市販のお薬ではフルコートfや、テラコートリル軟膏、ベトネベート軟膏なども毛嚢炎に効きますが、それらはステロイドが含まれるので炎症が軽いレベルのものに使って下さい。
ステロイドの使用は3日くらいまでにしたほうがいいです。ステロイドは優れた消炎作用があるのですが、一方で免疫やターンオーバーを抑制するように働くので、使い続けるほど治りが悪くなることを覚えておいて下さい。
毛嚢炎に対して皮膚科で処方される塗り薬
毛嚢炎に対して皮膚科医は基本的に以下のような抗生物質の塗り薬を処方します。()内は主成分
- ゼビアックスローション(オゼノキサシン)
- アクアチムクリーム(ナジフロキサシン)
- ダラシンTゲル(クリンダマイシン)
- ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン)
重症化している場合は飲み薬が処方されることも
また、症状が多発している場合や悪化しておできのような状態になっていたら、抗生物質の飲み薬が処方されることもあるかもしれません。
抗生剤はミノマイシン(ミノサイクリン)、ファロム、ビブラマイシン、ロキシスロマイシン(ルリッド錠)などがあります。どの抗生剤を使うかはお医者さんによって違いますが、基本的に処方されたお薬であればどれを使っても効果に大きな差はないと思います。
皮膚を切開することもある
ひどく腫れて膿んでしまった場合は、抗生物質の服用と共に、病変部を切開して膿を出し、洗浄する治療を行ったほうが早く治るケースがあります。
糖尿病などの軽い免疫不全を起こしている場合には、毛嚢炎がひどく進行してしまう可能性があるので注意しないといけません。
色素沈着のリスク
ブラジリアンワックス脱毛を繰り返し行っていると、色素沈着を起こす可能性があります。
皮膚が刺激を受けるとメラニン色素が作られますが、そのメラニン色素がターンオーバーによって剥がれず残ってしまうと、しだいに皮膚が黒ずんでくるようになります。
そして、陰部の皮膚は特に色素沈着を起こしやすい欠点があり、その黒ずみが残ってしまいやすい場所です。
そのため、一度、わずかな炎症を起こしただけでもその跡が消えないといったことがよくあります。(でもそれは肌質によります)。
そもそも、日本人の肌質は欧米人と違ってメラニン色素が多く、さらに表皮が薄くてデリケートであるため、ブラジリアンワックス脱毛という方法は基本的に適していないといわれています。
ハイドロキノンで陰部の黒ずみを治せる?
陰部の色素沈着はハイドロキノンという美白剤の使用が有効です。これは毛嚢炎による炎症後色素沈着にも効きます。
ビタミンC誘導体やプラセンタエキス、ルミキシルなどのいろいろな美白成分がある中で、ハイドロキノンの美白力は突出しています。
なぜなら、ハイドロキノンはメラニン抑制作用と共に、強力な漂白作用があるためです。また、メラニン色素を作り出す細胞の働きをも抑制するので短期間で肌を薄くできる可能性があります。
かなり高い効果が期待できますが、一方でハイドロキノンは酸化が進行しやすく、劣化と共に刺激性が増大する問題があります。そのため、常に新鮮なハイドロキノンを使用しないといけません。
また、もともとアレルギーのリスクが高いことや、成分そのものに細胞毒性も確認されているので、肌が弱い人には向かないケースもあります。
なお、毛嚢炎による炎症後色素沈着を治したい場合は、炎症が完全に落ち着いて1か月以上経過してからハイドロキノンを使って下さい。
理由はハイドロキノンそのものにも刺激性があり、炎症がくすぶってる途中でかぶれたりすると、かなり色素沈着がひどくなるためです。
ちなみに、ハイドロキノンはトレチノインというターンオーバーを促進する成分と組み合わせて使用すると色素沈着の改善が早くなることができますが、陰部へのトレチノインの使用は激しい反応をもたらす欠点があるので使ってはいけません。
レーザートーニングも有効
陰部に定着してしまった色素沈着は、レーザートーニングという方法で改善が期待できます。
普通のレーザーは皮膚に対してダメージが強い欠点があり、特に陰部のような色素が多い部分になると、レーザーのダメージで炎症後色素沈着を起こす可能性があります。
一方、レーザートーニングはレーザー光線そのものに均一性があって肌に対するダメージが低く、さらに低出力で照射する方法であるため、陰部のようなデリケートな部分においても優しく作用します。痛みも我慢できるレベルです。
繰り返し行うことでじょじょにメラニンを落としていき、陰部の黒ずみを改善していくことができるのです。
レーザートーニングの欠点といえば、効果が弱いので何度も治療を行う必要があることです。だいたい5回以上は受けないとシミが薄くなってると実感できないこともよくあります。
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