クロマイP軟膏ASはニキビに使っていい?効果と使い方、副作用の対処について

クロマイP軟膏ASの画像 クロマイP軟膏ASは、第一三共から販売されている2種類の抗生物質とステロイド薬を配合する市販の外用薬です。ステロイドを含むため指定第2類医薬品となります。

ステロイドと抗生物質を組み合わせることで、細菌が原因となる毛嚢炎やおでき(せつ)、とびひなどの炎症性(化膿性)皮膚疾患を素早く治すことができます。また、細菌による感染症を予防する目的でも使うことができます。

そして、ステロイドと共に抗生物質を配合しているため、にきびに使うと他の治療薬にはない即効性が得られることもあります。

ただし、ステロイドは長く使い続けるほど副作用の問題が表面化するため、性質を理解して上手に使用しなければいけません。

ここではクロマイP軟膏ASのニキビへの効果とステロイドの副作用、使い方などを詳しく解説していきます。

効果

クロマイP軟膏ASの効果は以下の3種類の有効成分によってもたらされます。

  • クロラムフェニコール(抗生物質)・・・100g中2g(1g中20mg)
  • フラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)・・・100g中0.5g(1g中0.005mg)
  • プレドニゾロン(ステロイド)・・・100g中0.3g(1g中0.003mg)
  • によってもたらされます。

有効成分1クロラムフェニコール

クロマイP軟膏ASの有効成分一つ、クロラムフェニコールは抗生物質です。製品100g中2g(1g中20mg)配合されます。

この抗生物質は、病原となる細菌のタンパク質の合成を阻害して菌の増加を抑制します。クロラムフェニコールはニキビの原因となるアクネ菌や、化膿した皮膚炎の原因となる黄色ブドウ球菌などに対して良く効きます。

細菌に対して良い抗菌作用を示しますが、一方で真菌(カビ)やウイルスには効果がありません。

有効成分2フラジオマイシン硫酸塩

フラジオマイシン硫酸塩は、アミノグリコシド系の抗生物質です。製品100g中0.5g(1g中0.005mg)配合します。

フラジオマイシンは、細菌のたんぱく質の合成を阻害して病原菌を殺菌します。

ニキビの原因菌であるアクネ菌や黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に対して殺菌的に作用します。一方で、真菌(カビ)やウイルスには効果がありません。

黄色ブドウ球菌という細菌は病原性が強く、ニキビや毛嚢炎を強く悪化させる原因となりますが、クロマイP軟膏ASに配合されるクロラムフェニコールとフラジオマイシンの2種類の抗生物質は、その黄色ブドウ球菌に対して高い抗菌作用を示し、素早く炎症を治します。

有効成分3プレドニゾロン

クロマイP軟膏ASにはプレドニゾロンというステロイド薬が配合されます。製品100g中0.3g(1g中0.003mg)配合します。

ステロイドは体内にも存在する副腎皮質ホルモンをもとに作られた成分で、消炎効果や免疫抑制作用があり、炎症を悪化させる免疫反応を抑えて腫れを治します。

ステロイドの問題として使い続けると副作用が現われる問題があります。主に、毛細血管拡張による赤み、皮膚が薄くなる、感染症にかかりやすくなる、ニキビ、多毛などの副作用がでてくることがあります。

ステロイド外用薬の強度ランク ところが、プレドニゾロンはステロイドの中でも最も作用が弱いレベルの5段階中5群(ウィーク:弱い)であり、作用がとても弱いため副作用のリスクもとても低いです。

顔に使用する場合でも4~5日間ほどの使用期間であれば特に強い副作用が現れる心配はないです。短期間の使用であれば、ニキビの治りを悪くしてしまうような心配も少ないです。

適応する症状

毛嚢炎の画像 製造メーカーによると、クロマイP軟膏ASは、化膿した毛嚢炎、おでき(せつ)、めんちょう(顔に発生したおでき)、とびひなどに適応するとされています。

また、湿疹やあせも、かぶれ、しもやけ、虫刺され、脂漏性皮膚炎などが悪化して化膿した場合にも使用できます。化膿した皮膚疾患の多くは黄色ブドウ球菌が関係していますが、この薬はその菌に良く効きます。

他にも、ムダ毛処理やレーザー脱毛後に発生する毛嚢炎(赤いブツブツ)の予防目的でも使えます。そして、上手に使えばニキビにも使用できます。

赤ニキビに使用する

赤ニキビの画像 ニキビに対してクロマイP軟膏ASを使う場合は、炎症が強い赤ニキビや化膿したニキビに使って下さい。たくさんニキビができるような肌ではなく、ポツポツと赤ニキビができるような状態に適しています。

抗生物質を使い続けると耐性菌を生じて薬が効きにくくなることがあるため、白(黒)ニキビなどの軽い症状には使わないのが原則です。

そして、顔だけではなく、背中や胸(デコルテ)、首、腕、脚などの炎症ニキビにも使えます。また、かゆいニキビやアトピー性皮膚炎と同時に発生したニキビや毛嚢炎などにも使えます。

ニキビ体質の人は皮膚科の処方薬が理想

繰り返し炎症ニキビができるような体質の人は、クロマイP軟膏ASよりも皮膚科で処方されるニキビ専用の塗り薬がおすすめです。クロマイP軟膏ASはステロイドを含むため、手軽に長く使いづらい欠点があるためです。

皮膚科のニキビ治療薬は、従来とは違って耐性菌の出現などを心配することなく使える外用薬も増えていますので、オイリー肌でニキビ体質の場合は皮膚科のもとで治療するのが理想です。

皮膚科で処方される主なニキビ治療薬の画像 皮膚科で処方される塗り薬は、ベピオゲル、ディフェリンゲル、エピデュオゲル、デュアック配合ゲル、ゼビアックス、アクアチム、ダラシンTゲルなどがあります。

また、悪化したニキビが多発している場合は、抗生物質の内服薬が即効性があります。その飲み薬にはルリッド錠(ロキシスロマイシン)、ミノマイシン(ミノサイクリン)、ファロム(ファロペネム)などがあり、90%以上の人がそれで改善に向かいます

ニキビ跡を治す効果はある?

ニキビ跡の種類の写真 クロマイP軟膏Aには、すでに発生しているニキビ跡の炎症性色素沈着や毛細血管による赤みなどを治す効果はありません。クレーター状の凹みなどにも効果はないです。

この塗り薬はステロイドを含みますが、ステロイドの一時的な作用で毛細血管を収縮させる働きがあるので、塗れば赤みやモヤモヤした黒ずみが取れて跡が治ったように見えることがありますが、それは根本的にニキビ跡が治っているわけではありません。

ニキビが悪化する場合は添加物が原因?

クロマイP軟膏ASは、添加物としてゲル化炭化水素という油性基剤を含みます。ゲル化炭化水素とは、流動パラフィン(主成分が炭化水素)をポリエチレンでゲル化した基剤です。

油性基剤であるため、ジュクジュクした化膿疾患にも使用できますが、一方で脂性肌タイプのニキビに使うと悪化してしまう可能性があります。オイリー肌でニキビがたくさんできるような人は、ニキビ治療薬の主役として使わないほうがいいと思います。

使い方

薬を塗る画像 クロマイP軟膏ASの使い方は、洗顔、クレンジングによって肌をキレイにして、化粧水などで保湿をした後に患部に塗ります。使用回数は1日1~3回が目安です。

そして、塗った後は紫外線対策をして下さい。ニキビ肌に日焼けは厳禁です。

毛嚢炎やニキビの場合は1~3日くらい使えば、腫れが小さくなったと実感できるはずです。

治療期間の目安

クロマイP軟膏ASの使用期間は、1つのニキビあたり1~2週間以内が目安です。抗生物質やステロイドを含むため、長々と使ってはいけません。

そして、抗生物質は長く使うほど薬が効きづらくなる「耐性菌(抵抗性をもった菌)」を生じる問題があるため、ニキビに使う場合は短期間で集中的に使用し、炎症をしっかりと治してから治療終了するのが基本です。

短期的に上手に使用すれば耐性菌を生じるリスクが劇的に少なくなります。

使用の注意点

目に入らないように注意して下さい。

そして、このお薬は細菌による化膿した皮膚炎に効果がありますが、カンジダ症やマラセチア毛包炎、水虫などのカビが原因となる症状には効きません。(細菌とカビは性質が違います)。

また、ウイルスが原因となるヘルペスや帯状疱疹などにも効果がありません。細菌が原因の症状に使って下さい。

どこで買えばいい?

クロマイP軟膏ASは、一般的なドラッグストアなどで購入できます。通販などでも買えます。
【Amazon】クロマイ-P軟膏AS 6g

保管方法

クロマイP軟膏ASは常温保管が基本です。直射日光や湿気をさけて冷暗所に保存します。特に冷蔵庫に入れる必要はないです。

副作用

クロマイP軟膏ASの副作用は、かゆみや赤み、ヒリヒリした刺激感などが現われることがあります。

どんな薬にも若干の刺激性があり、少しくらいは赤くなったりするものなので、副作用が軽い場合はそのまま使い続けて問題ないです。

この塗り薬は軟膏タイプなので刺激性は少ないほうですが、もし強いかゆみや刺激感が現われたらアレルギー性の接触皮膚炎(かぶれ)を起こしている可能性があります。その場合は使用中止して医師にみてもらって下さい。

かゆみがあるのにニキビに使い続けると悪化してしまうことがあります。

そして、クロマイP軟膏をニキビに使い続けて効果が得られなかったり、むしろ悪化した場合は必ず使用中止して下さい。使い続けるとニキビが治りにくくなることがあります。