デルモゾールGクリーム(軟膏)のニキビ改善効果。使い方や副作用の対処について

デルモゾールGクリームと軟膏の画像 デルモゾールGクリームは、ステロイドと抗生物質の2つの有効成分が含まれた皮膚科で処方される塗り薬です。リンデロンVGという外用薬のジェネリック医薬品となります。

クリームタイプの他に、デルモゾールG軟膏やデルモゾールGローションがあります。

この塗り薬は、ステロイドの消炎作用と、抗生物質の殺菌作用のダブルの効果によって細菌が原因となる皮膚病の予防や改善に効果があります。

そして、細菌に効くお薬であるためニキビにも効果があります。実際に使ってみると他の治療薬にはないような即効性を得られることも多いです。

ただし、ステロイドを含むお薬であるため副作用に注意しなければいけません。

今回は、デルモゾールGクリームが効果があるニキビと治療効果、使い方や副作用などを詳しく解説していきます。

デルモゾールGの効果

デルモゾールGの効果は、ベタメタゾンというステロイドとゲンタマイシンという抗生物質の2種類の成分によるものです。

ベタメタゾンというステロイドは消炎効果や免疫抑制作用があり、皮膚の免疫反応を素早く抑えて炎症や腫れを治します。このベタメタゾンは若干作用が強く、ステロイドの強度でいうと5段階中3番目のストロングクラス(やや強いレベル)に当たります。

そして、ゲンタマイシンは、アミノグリコシド系の抗生物質で、細菌のタンパク質の合成を阻害してニキビの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌などの皮膚に存在する細菌を殺菌します。

細菌には効果がありますが、真菌(カビ)やウイルスなどには効果がありません。そのため、身体に発生するなんらかの「できもの」すべてに効くわけではありません。

適応する症状

炎症が強い毛嚢炎の画像 デルモゾールGは、主に毛嚢炎やとびひ、おでき、耳せつなどの細菌による炎症性疾患に対して使用されます。また、まれに抗真菌薬と組み合わせて脂漏性皮膚炎に用いられることがあります。

ニキビには劇的な効果が得られることも多いですが、処方されることは少ないです。理由は、患者側がステロイドの性質を理解せずに使い続けてしまうケースがあるためです。

他には、レーザー脱毛やヤケド、強い日焼け後の感染症を予防する目的でも使用されたりします。

一方でデルモゾールGクリームは、カンジダ、マラセチア毛包炎などの真菌(カビ)が原因となる皮膚病や、ヘルペスや帯状疱疹などのウイルスが原因となる皮膚病には効きません。

デルモゾールGのニキビへの効果

デルモゾールGに含まれるゲンタマイシン(抗生物質)は、ニキビの原因となるアクネ菌という細菌に対して殺菌的に働きます。

なお、このゲンタマイシンという成分を主成分とした「ゲンタシンクリーム(軟膏)」という薬は、ニキビ治療に古くから使用されてきた歴史があります。

そして、デルモゾールGは抗生物質と共にステロイドを配合していて、ステロイドがもつ消炎作用や免疫抑制作用によってニキビの炎症を素早く抑制します。ダブルの効果でニキビに対して強力に効いていきます。

ところが、ステロイド薬には免疫を抑える働きがあり、使いつづけるとかえって病原となる細菌の増加を促してしまうケースや、ニキビの治りを悪くしてしまう可能性もあるため、ステロイドの長期使用や副作用には注意しなければいけません。

ステロイドの強さと副作用

ステロイド外用薬の強度ランク デルモゾールGクリームに含まれるベタメタゾンというステロイドの強さは、5段階中3番目の強度です。やや強い(ストロング)クラスとなります。

ステロイド薬を使い続けることによる副作用は、皮膚が薄くなる、バリア機能が弱くなる、毛細血管が拡張する、感染症にかかりやすくなる、ニキビや体毛が増える、などの副作用が現れることがありますが、ストロングレベル(やや強い)のステロイドは、顔に使用する場合は2週間以内であれば副作用の心配はないとされるレベルです。

ステロイド薬は限定的に使用すれば副作用の心配はほとんどないため、デルモゾールGのようなお薬でも短期的であればニキビに対して使って良いのです。

ただし、長期使用を避けて集中的に使う必要があります。にきび治療の場合は1週間以内が理想です。

そして、デルモゾールGのようなステロイド薬をニキビに使う場合は、使っていいニキビと、使ってはいけないニキビがあります。

ニキビに使う場合のポイント

炎症ニキビの初期段階に使用する

赤ニキビの画像 赤く炎症したニキビの初期段階であればデルモゾールGクリームが効果があります。塗れば、赤いニキビでも2~4日くらいで治ると思います。

ただし、ニキビの腫れが長引いているものや、悪化している状態には使用しないようにしましょう。

何度も繰り返し使わないようにする

一度、デルモゾールGを使って赤ニキビが通常よりも早く治ると、それを何度も続けてしまいがちです。ところが、このお薬をニキビ治療薬の主役として何度も使うことはおすすめできません。

理由は、抗生物質は使いつづけると耐性菌を生じて薬が効きにくくなることがあるためです。また、ステロイドを何度も使うとニキビの回復が悪化したり、ニキビの炎症そのものが悪化してしまうことがあるためです。

ニキビが繰り返しできてしまうようなニキビ体質の人は、市販薬やニキビ専用の治療薬をお医者さんに処方してもらって下さい。

白ニキビや黒ニキビには使わない

黒ニキビと白ニキビの画像 デルモゾールGクリーム(軟膏)は、黒ニキビなどの炎症性がないニキビや、白ニキビなどの炎症性が低いニキビには使ってはいけません。

このお薬に含まれる抗生物質には、耐性菌を生み出して薬が効きにくくなってしまうことがあるため、軽いニキビには使わないのが原則です。

アトピー性皮膚炎と併発したニキビ

アトピー性皮膚炎の画像 アトピー性皮膚炎の治療は一般にステロイドの外用治療を行いますが、それと同時にニキビが発生した場合にはデルモゾールのような「ステロイド+抗生物質」といったお薬が有効な場合があります。

かゆいニキビのかゆみを抑える

ニキビがかゆい場合は、デルモゾールGクリームのようなステロイド薬が効果があります。ニキビのかゆみは主にアレルギー的な要因により、ヒスタミンという生理活性物質がたくさん発生することで発生します。

そのヒスタミンはニキビの炎症反応を強く悪化させる原因となりますが、ステロイドはヒスタミンを抑えてかゆみや炎症を素早く抑える働きがあるのです。

ニキビによるケロイドの初期段階

ニキビ跡の肥厚性瘢痕の画像 ニキビがひどく悪化すると体質によってはケロイドを起こすことがあります。ケロイドは免疫反応(サイトカインの一種の放出)が過剰になり、コラーゲンが過剰に作られることで発生しますが、デルモゾールGのようなステロイド薬を上手に使えばケロイドの進行を抑えることができます。

顔以外のニキビにも使える?

デルモゾールGクリームは、上手に使うことができれば顔以外の首、背中、胸、腕、お尻などのニキビに対しても使用できるかもしれません。

ただし、抗生物質やステロイドは使い方が難しいことがあるので、塗り忘れてしまうような部分や、確認が難しいような部分への使用は控えたほうがいいかもしれません。

身体のニキビにはベピオゲルというお薬がとても良く効きます。皮膚科で処方してもらって下さい。

ニキビ跡を治す効果はある?

ニキビ跡の赤みや色素沈着の画像 デルモゾールGクリームには、ニキビ跡の赤みや色素沈着を治す効果はありません。クレーターも治りません。細菌による炎症を治して、跡を予防する効果は期待できますが、炎症が治った後は使用してはいけません。

配合されるステロイドには短期的には毛細血管を収縮させる作用があるため、塗ると一時的に皮膚の赤みが消えて肌がキレイになったように見えますが、それは一時的な現象であり、根本的にニキビ跡の赤みが改善しているわけではありません。むしろ使い続けると赤みが悪化します。

悪化することがある

Uゾーンニキビの画像 デルモゾールGクリームや軟膏、ローションなどをニキビに使うと悪化する可能性もあります。その場合は必ず使用中止して皮膚科を受診してそのことを医師に告げて下さい。

ステロイド薬をニキビに使って悪化した場合は、ニキビの治り方が長引いて、赤みや色素沈着といったニキビ跡もひどくなることがあります。

使い方と注意点

薬を塗る画像 デルモゾールGクリームの使い方は、1日1~2回を目安に、洗顔をして肌を清潔にした後に患部に塗ります。ニキビ予防のためとして特に炎症がないような部分に塗ってはいけません。

デルモゾールGはステロイドを含むため、わりと早い段階で効果が現れます。ニキビに使うと翌日には腫れが小さくなっていると思います。

そして、塗った後は紫外線対策をして下さい。使用期間中は紫外線そのものを避けるようにして下さい。

集中的に使用する

細菌のイラスト デルモゾールGに含まれる抗生物質には、細菌が抵抗性を獲得してしまう「耐性菌」を生じる問題があり、使い続けると薬が効きにくくなることがあります。

そのため、長期的な使用を避け、短期間でしっかりと炎症を抑える必要があります。ニキビに使う場合は、1週間以内を目安に集中的に治して下さい。

ベピオゲルと組み合わせる場合の塗る順番

ベピオゲルの画像 デルモゾールGクリームは、皮膚科で処方されるニキビ治療薬のベピオゲルという殺菌薬という塗り薬と組み合わせて使うとより効果的です。

合わせて使う場合の順番は、まずベピオゲルを塗ってからデルモゾールを塗って下さい。

使用上の注意点

症状が改善しない場合やニキビが悪化した場合は必ず使用中止して医師に相談して下さい。お薬の変更が必要です。

保管方法

デルモゾールGクリームの保管場所は、日光や湿気が多いところを避けて冷暗所に保存します。常温保存です。冷蔵庫に保管する必要はありません。

処方してもらうには?

薬剤師が薬を処方する画像 デルモゾールGクリームは、医師の処方箋をもらって薬局で購入して下さい。皮膚症状があれば保険適応です。薬価は1gあたり7.7円です。

ただし、ニキビ治療の場合はデルモゾールではなく、ニキビ専門の塗り薬が処方されることが一般的です。皮膚科ではニキビ治療に対して、ディフェリンゲル、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ゼビアックスローション、アクアチム、ダラシンTゲルなどがよく処方されます。

薬の形状

デルモゾールGクリームと軟膏の画像 デルモゾールGクリームとデルモゾールG軟膏、デルモゾールGローションの3種類があります。

副作用

皮膚の赤みの画像 デルモゾールGクリームの副作用で、一時的なかゆみや刺激感、赤みなどが現れることがあります。ニキビの赤みが増すと悪化したように思えますが、ほとんどは一時的なものなので使い続けて大丈夫です。

特に、ローションタイプやクリームタイプは添加物に乳化剤が多く含まれるため軟膏タイプよりも刺激性があり、肌が弱い人は赤くなったりすることがあると思います。肌が薄くて敏感な人は軟膏タイプが良いでしょう。

赤みやヒリヒリ感が強くて接触皮膚炎(かぶれ)が強い場合は必ず使用中止して下さい。特に、かゆみが強い場合はアレルギーを起こしている可能性があり、使い続けるとニキビが長引いて治りにくくなることがあります。