肌が乾燥すると、ターンオーバー(肌の新陳代謝)が乱れてニキビ肌荒れを引き起こすことがあります。
また、肌の乾燥は皮脂分泌を促してニキビや毛穴トラブルの原因になることがあります。
季節の変化や過剰なスキンケア、また、女性はホルモンバランスの変化によって肌が乾燥しやすくなったりしますので、それによって肌トラブルが増えることもあります。
今回は乾燥によるニキビの原因と保湿スキンケアのポイントをご紹介します。
肌の乾燥とニキビ肌荒れの関係
乾燥によって皮脂が増える
肌が乾燥すると、潤いを高めるために皮脂腺細胞が活発になって皮脂量が増加するようになります。
皮脂分泌が増加することで毛穴周辺の皮膚が厚くなり、毛穴がつまってニキビができやすくなることがあります。
洗顔のしすぎや保湿不足によって肌が乾燥し、かえって皮脂分泌が増加して脂浮きがひどくなることがあります。
また、脂取り紙の使い過ぎでも皮脂分泌が増加してしまうことがあるようです。他にも、ピーリングによって角質層が薄くなることで皮脂が増加することがあります。
肌の乾燥はターンオーバーを乱す
肌の潤いが不足して乾燥すると、未熟な角質細胞を次々と産み出して肌を保護しようとします。その結果、角質が厚くなって毛穴がつまりやすくなり、ニキビが発生することがあります。
また、肌の乾燥は角質層を硬くして皮膚の柔軟性を奪ってしまいます。それによってターンオーバーが乱れてしまうことがあります。
肌の乾燥はバリア機能を弱める
肌が乾燥すると外敵から肌を守るバリア機能が弱くなります。これは特に細胞間脂質の主成分であるセラミドが減少することで顕著に引き起こされます。
皮膚のバリア機能が弱くなると抵抗力が低下して皮膚炎が慢性化したり、ニキビにかゆみが現れて悪化することもあります。
乾燥肌はニキビ跡が治りにくい?
肌の水分量が少ない乾燥した肌は、皮膚細胞の修復力や再生力が低いため、ニキビの回復が遅れたり、ニキビ跡の赤みや色素沈着も治りにくい傾向があります。
肌細胞は水分不足に陥ると活動性が低くなるため、しっかりと保湿して潤いをキープする必要があります。
乾燥肌は毛穴が目立ちやすい
肌の乾燥によって毛穴の開きが目立ちやすくなることがあります。十分な水分が皮膚に存在していれば皮膚がふっくらして毛穴も目立たなくなりますが、乾燥によって皮膚のハリがなくなると開いた毛穴がさらに目立つようになります。
肌の乾燥により、開いた毛穴どうしがつながる「帯状毛穴」という現象も発生しやすくなります。
乾燥肌のニキビの治し方
市販のニキビ治療薬
乾燥によってニキビができた場合は、市販のニキビ治療薬でも十分効果があります。乾燥ニキビは強く腫れることは少ないので、市販のニキビ薬でも良い効果が得られるようです。
市販にきび治療薬には、オロナイン、ピンプリット、クレアラシル、ビフナイトなどがあります。それらの塗り薬は乾燥によって硬くなった皮膚を柔軟にする働きがあります。
ところが、ピンプリット、クレアラシル、ビフナイトなどは角質を剥がす作用があるイオウやレゾルシンが含まれるため、乾燥するような肌質には使いづらいことがあるかもしれません。
その点、オロナインはイオウのような刺激性はないため、乾燥肌に適しているといえます。
皮膚科で処方されるニキビ治療薬
皮膚科でもニキビ治療薬を保険適応で処方してもらうことができます。
主にベピオゲル(殺菌薬)、ディフェリンゲル(ターンオーバー抑制薬)、ダラシンTゲル(抗生物質)、アクアチムクリーム(抗菌薬)、ゼビアックスローション(抗菌薬)などがあります。
ただし、ベピオゲルやディフェリンゲルは、乾燥しやすい肌には刺激性が強すぎるかもしれません。
乾燥によるニキビ肌のスキンケアポイント
乾燥肌の1日の洗顔回数は?
肌の乾燥によってニキビができやすい人は、1日あたりの洗顔回数は1~2回が理想です。朝は水やお湯を使った洗顔で、夜は石鹸洗顔といったように肌の調子を見ながら洗顔回数を調整して下さい。
いずれにしても皮脂は時間の経過とともに酸化するため、1日1回は石鹸や洗顔料を使って洗顔して下さい。
乾燥肌に適した洗顔を
乾燥ニキビを予防する理想的な洗顔は、肌の潤いを守りながら余計な皮脂汚れを落とすことです。
必要以上に皮脂膜をとらないようにするには、洗顔料は脱脂力が強い洗顔フォームではなく、固形石鹸などの低刺激性のものを使用しましょう。
そして、石鹸をたくさん泡立ててキメ細かい泡を豊富に作り、それをクッションのように利用して肌に刺激を与えないように洗います。
肌をこすったりすると、角質が剥がれてバリア機能が低下し、それをカバーするためにかえって皮脂が増加することがあります。洗いすぎによってもニキビができることがあるので注意して下さい。
キメ細かい泡は、一度石鹸で手を簡単に洗っておくことで豊富な泡が作りやすくなります。また、ドラッグストアなどで販売されている「泡立てネット」を利用するのも一つの方法です。
オイルタイプのクレンジングは避ける
オイルタイプのクレンジング料は皮脂膜を極端に奪ってしまい、肌の乾燥をまねいて皮脂分泌を促してしまうことがあります。
乾燥ニキビのお化粧落としは、クリームタイプや乳液タイプ、水溶性ジェルタイプなどが理想です。シートタイプは刺激性が強く、さらに毛穴の中まで汚れが落ちにくい欠点があります。
洗顔後には化粧水で水分補給
乾燥によってニキビができる人は洗顔後の保湿が必要です。洗顔によって皮脂汚れだけではなく、セラミドや天然保湿因子(NMF)なども失われますので、保湿によって失った保湿成分を補って下さい。
特に乾燥しやすい人は肌が健康的な弱酸性に戻りにくいので、化粧水を使ってください。(化粧水は基本的に弱酸性で作られています)。
化粧水はアミノ酸を中心とした化粧水が理想です。アミノ酸は肌の保湿機能の2割を担う天然保湿因子の主要成分です。
ニキビができやすい人はさっぱりタイプ、乾燥しやすい人はしっとりタイプを選びます。乾燥によってかえって皮脂分泌が増加することもあるため、余計な皮脂を抑えるためにも洗顔後は素早く化粧水で潤いを与えてあげましょう。
乾燥が気になるところはオイルフリーの美容液
多くの人は混合肌といわれる肌質だといわれています。どんな人でも脂っぽい部分もあれば乾燥しやすい部分もあるので、部分によっては化粧水にプラスして美容液などでさらに保湿してあげましょう。
当然、ニキビができる人はオイルフリーの美容液が理想的です。ニキビを誘発しにくい成分で作られたノンコメドジェニック処方の美容液であれば安心して使用できます。
保湿をしすぎないことも大切
化粧水や美容液などでベタベタ保湿すると、皮膚がふやけてしまい、かえってターンオーバーが乱れてニキビを引き起こすことがあります。
オイルフリーの化粧水などでも使いすぎには注意して下さい。特に保湿成分としてよく配合されるグリセリンやソルビトールなどはアクネ菌(にきび原因菌)の増加を促す作用があるため注意して下さい。
加湿器で部屋の乾燥対策
肌が乾燥しやすい人は加湿器を利用して部屋の湿度を高めてあげましょう。日本の冬は乾燥しやすく、特に東京を中心とした関東圏の冬は日本の中でも特に湿度が低くなり、湿度20%を下回ることも少なくありません。
理想の部屋の湿度は60%前後だと言われるため、そのレベルを目標に加湿器を活用してみましょう。
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