お化粧・ファンデーションが脂漏性皮膚炎の原因になる理由

一般に皮脂が多い人はニキビができやすいとされます。そして、皮脂が多い肌質の人が油分の多いファンデーションを使えば、一気にニキビが多発してしまうことがあります。

お化粧によって毛穴がつまり、ニキビを引き起こすのはよくあることですが、ニキビではなく脂漏性皮膚炎という皮膚病を引きこしてしまうこともあります。

今回はファンデーションが脂漏性湿疹を引き起こす原因と対処法を解説していきます。

脂漏性皮膚炎とは?

脂漏性皮膚炎の画像 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、角質が剥がれてフケが発生するような慢性的な炎症が起こる皮膚病です。脂漏性湿疹とも呼ばれます。

炎症が続いて進行するとガサガサに見えたり、赤みを帯びてかゆみが現れることがあります。

原因は?

脂漏性湿疹の原因は、まだ明らかになってないことも多いですが、主に皮膚に常在菌として生息するマラセチア真菌(カビの一種)が遊離脂肪酸を生じ、その遊離脂肪酸が皮膚を刺激することで発生すると考えられています。詳しくは以下の通りです。

1誰の肌にも皮膚常在菌として存在するマラセチア真菌は、皮脂や汗が多い環境を好みます。

2皮脂や汗の増加によってマラセチア真菌も増加します。

3増加したマラセチア真菌が細菌性リパーゼを分泌し、皮脂中のトリグリセリド(中性脂肪)を分解し、遊離脂肪酸を産生します。(中性脂肪はグリセリンと脂肪酸が3つ結合したもので、細菌性リパーゼはその分解を解きます)。

4マラセチア菌が分解して生じる遊離脂肪酸には、オレイン酸やパルミトレイン酸などがありますが、それらの脂肪酸は増加したり酸化したりすると刺激性が増し、炎症を誘発するようになります。

5皮脂の増加によって遊離脂肪酸も増加しますが、その増加した遊離脂肪酸による刺激によって皮膚のバリア機能が乱れ、その刺激によって接触皮膚炎を起こすのが脂漏性湿疹と考えられています。

接触皮膚炎は、刺激を受け続けると誰にでも発生する可能性があります。洗剤かぶれによる手湿疹なども接触皮膚炎の一つです。

他にも、ビタミン不足、ストレス、過度なアルコール、過剰な皮脂、紫外線、お化粧なども脂漏性湿疹の悪化要因です。

お化粧で脂漏性皮膚炎が発生する?

お化粧によって脂漏性皮膚炎を起こす可能性が高くなることがあります。それはファンデーションに含まれる成分に問題があることが多いです。

ファンデーションに含まれる油分が問題

ファンデーションには基本的に油脂が含まれています。リキッドタイプのファンデは油脂がとても多く含まれていることは予想はつきますが、パウダータイプのファンデーションにおいても、基本的にある程度は油脂が含まれています。

油分がある程度含まれないと仕上がりが粉っぽくなることや、製品の形状をしっかりと固形状にするため油脂が必要になります。

そのファンデーションの油脂の酸化によって脂漏性皮膚炎を起こす可能性があります。特に、エモリエント成分としてオリーブ油やオレイン酸などの油脂が含まれていることがありますが、それらは接触皮膚炎を起こす原因そのものです。

オリーブ油の主成分はオレイン酸という不飽和脂肪酸で、それは時間の経過と共に酸化して皮膚に刺激を与えるようになります。

どんな油脂でも時間が経過すれば酸化は進行します。そのため、肌に付着した状態が続けば過酸化脂質に変化し、それが皮膚に対して刺激を与えることになれば脂漏性湿疹を起こす可能性はあります。

ファンデーションは皮脂と混ざって皮膚に炎症をもたらしてしまうため、必要がなくなったらすぐにクレンジングするのが理想です。

グリセリンなども接触皮膚炎の原因になる

化粧品によく配合されるグリセリンという成分は優れた保湿力がありますが、一方でアクネ菌などの皮膚常在菌の増加を促す欠点があります。通常の4倍もアクネ菌の増加を促してしまうとう研究結果もあります。

アクネ菌もマラセチア真菌と同じように遊離脂肪酸を産生するため、それが増加すればニキビや脂漏性皮膚炎の原因になります。

糖由来の保湿成分も皮膚の菌を増やす

グルコース(ブドウ糖)やソルビトール(糖アルコール)、白糖など糖由来の成分が保湿成分として化粧品に含まれることがありますが、それらもアクネ菌などの細菌やマラセチア真菌などのカビの増加を促してしまう欠点があります。

例えば、グルコースは粉体を維持する安定剤としてメイクアップ製品に配合されることがあります。ソルビトールは乳液やクリーム、ファンデーションなどの幅広い化粧品に多用されます。

ファンデーションが古いと炎症を起こしやすい

購入してから長い期間たったファンデーションは品質が劣化している可能性があります。油脂は時間の経過と共に酸化が進行するため、できるだけ早く使い切るようにしましょう。買ってから半年までのものを使用しましょう。

パフに雑菌が付着している

パウダーファンデーションでお化粧 何度も使い続けているパフには雑菌が多く付着していたりします。特に、パフが一度濡れて、しばらく時間がたてば劇的に雑菌が増加するようになります。パフは常に清潔にしておきましょう。

紫外線などで酸化が進行する

紫外線が多い環境 通常は、油脂は酸素に触れると酸化が進行しますが、さらに紫外線に当たることでも酸化が劇的に進行します。

そのため、リキッドファンデーションなどを塗ったまま、長時間紫外線にあたることは控えましょう。紫外線による脂漏性皮膚炎は、鼻や鼻周囲、眉毛あたりに湿疹が発生することが多いです。