成人しても腫れが大きな吹き出物ができたりすることがあります。その場合は一般的な治療薬で治していくのが基本ですが、かゆみや痛みが現れることがあります。
かゆみがある吹き出物はひどく悪化して長期化し、赤みや色素沈着などの痕もひどくなってしまうことが多いです。今回は吹き出物にかゆみが現れる原因と、その対処法をご紹介していきます。
アレルギーによって皮膚がかゆくなる?
アレルギー体質の人が吹き出物を発生すると、その吹き出物にかゆみが現れることがあります。
例えば、アトピー性皮膚炎の人に吹き出物ができたりするとかゆみが現れることが多いです。吹き出物のかゆみはヒスタミンという物質によってもたらされます。
ヒスタミンがかゆみをもたらす
吹き出物は、アクネ菌や黄色ブドウ球菌などの菌が毛包内で増加し、それによって免疫反応が起こり、様々な生理活性物質が発生することで赤く腫れるようになりますが、その様々な生理活性物質の一つがヒスタミンという物質です。
ヒスタミンは肌のかゆみをもたらす物質として知られています。アトピー性皮膚炎のかゆみもヒスタミンの過剰放出が原因といわれています。
そのヒスタミンは炎症反応に関与し、毛細血管拡張作用や血管透過性亢進作用により、白血球が患部に到達するようにサポートする働きがあります。
どんな炎症反応にも少なからずヒスタミンが発生するものですが、アレルギー体質の人はそのヒスタミンが過剰に発生しやすいとされます。
そのため、吹き出物のような症状においてもヒスタミンが過剰に発生してかゆくなったりするようです。
かゆみが現れるとなぜ悪化するのか?
かゆい吹き出物は必ず悪化するようになります。それはヒスタミンが炎症反応に関与し、腫れを悪化させてしまう働きがあるためです。
ヒスタミンは、毛細血管を拡張して吹き出物の赤みを悪化させたり、炎症を悪化させる他の伝達物質の発生を促したりします。
そのため、かゆみがある吹き出物は、炎症が長引いたり、ニキビ跡の赤みや色素沈着がひどくなる傾向があるのです。
アレルギーによってニキビ跡がデコボコになる?
吹き出物にかゆみが現れた状態は、通常よりも免疫反応が活性化している状態で、腫れも酷いものになります。その結果、跡もひどく悪化してしまうことがあります。
赤みやモヤモヤしたシミ(炎症後色素沈着)の悪化や、クレーターやケロイドになってしまう可能性も高くなります。
アレルギーによってケロイドを形成しやすくなる
吹き出物が強く炎症を起こすほど、皮膚に対して強いダメージが及びます。
通常はそういった皮膚の損傷は時間の経過とともに修復されていきますが、この時に免疫が過剰に働いてしまうアレルギーをもつ人は、傷を修復するためにコラーゲンが過剰に増生されてしまい、盛り上がった傷跡、つまりケロイドを形成してしまうことがあります。
吹き出物にかゆみが現れるような場合は、ケロイドを起こしやすい傾向があります。
ケロイドは、厳密には肥厚性瘢痕と真性ケロイドに分けられます。肥厚性瘢痕は進行性がなく、元の範囲を大きく拡大していくことはありませんが、真性のケロイドは進行性があるもので、いびつな形をしながらしだいに元の範囲を超えて拡大していきます。
たいていの場合は進行性のない肥厚性瘢痕であり、進行性があるケロイドであるケースは極めてまれです。
ケロイドの予防にはトラニラスト
ケロイド体質で吹き出物にかゆみが現れた場合、トラニラスト(商品名:リザベン、トラニラストカプセル)という抗アレルギー薬がケロイドの形成予防に効果があります。トラニラストはケロイドをもたらすサイトカインを抑制します。
治し方
かゆい吹き出物を治すには、原因菌を抑制して免疫反応を素早く抑える必要があります。主に以下のような方法があります。
治療薬
皮膚科のニキビ治療薬には、ベピオゲル、ダラシンTゲル、デュアック配合ゲル、アクアチムクリームなどがあります。
それらは素早く吹き出物の原因菌を殺菌・抑制する働きがあります。ただし、吹き出物にかゆみがある場合は塗り薬そのものがかゆみを悪化させる原因になることがあります。その場合は使用中止して下さい。
ベピオゲルやデュアック配合ゲルには刺激性があり、それによってかゆみが悪化することがあります。
また、ダラシンTゲルそのものにアレルギーを起こすことも少なくないです。アクアチムクリームは比較的アレルギーの心配が少ないですが、それでもかゆみが現れることがあります。
抗生物質の内服治療
抗生物質の内服によって内側から吹き出物の原因菌を抑制することができます。
ロキシスロマイシン(商品名:ルリッド錠)、ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)などがよく処方されます。処方された分はしっかり飲むようにしましょう。自己判断で中断してはいけません。
抗アレルギー薬
もともとアレルギー体質でその疾患がある人の場合は、吹き出物のかゆみを抑える方法として抗アレルギー剤を使用しても良いかもしれません。
抗アレルギー薬は、かゆみをもたらすヒスタミンの発生を抑制して炎症の拡大を予防します。
抗アレルギー薬は、フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)がよく処方されます。フェキソフェナジンはヒスタミンだけではなく、炎症に関与する伝達物質の発生を抑制する働きがあります。
つまり、炎症そのものが起きにくい状態へと導きます。眠気などの副作用もなく使いやすいお薬です。
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