吹き出物がクレーターになる原因と治療法。特に効果的な治療は?

こめかみのニキビ跡クレーターの画像 吹き出物は炎症が進行して腫れが大きくなったりすると、治った後でも皮膚の赤みやモヤモヤした黒ずみが強く残ってしまうようになります。

そして、肌質や体質などの影響によっては皮膚がクレーター状に凹んでしまうこともあります。

今回は吹き出物によるクレーターの原因と治療法をご紹介します。

吹き出物の原因とクレーター状に凹むメカニズム

皮膚構造とニキビ発生の仕組み 吹き出物は、主に皮脂の増加などの影響でターンオーバー乱れ、毛穴がつまってしまうことで発生します。

そして、ふさがった毛穴の中でアクネ菌やマラセチア菌、また悪化した時は黄色ブドウ球菌が増殖することで発生します。黄色ブドウ球菌による強い腫れをもったものを「おでき(せつ)」といったりします。

アクネ菌などの菌が塞がった毛穴で増加すると、皮膚細胞は異常事態だと判断して炎症性サイトカインを放出します。

そして、プロスタグランジンやサブスタンスPなどの様々な伝達物質が発生し、本格的に炎症反応を起こすようになります。

毛細血管拡張などによって吹き出物が赤く腫れるようになるのも、様々な伝達物質の影響による炎症反応の一つです。

その後、ターゲットに到着した好中球(白血球の一つ)はアクネ菌を食べて活性酸素(過酸化水素)を発生させて攻撃し、さらにヒドロキシラジカルなどの強力な活性酸素も発生して最終的にはアクネ菌の増加は抑えられます。

この免疫反応の働きによって最終的にアクネ菌は死滅して吹き出物の腫れが治っていきます。

皮膚ダメージがクレーターの原因?

炎症メカニズム アクネ菌の増加によって吹き出物が赤く腫れを起こすのは免疫反応のひとつですが、この時の免疫反応や白血球による活性酸素の発生によって、皮膚が強いダメージを受けるようになります。

そのダメージの影響を受けやすいのが真皮層です。真皮層は約7割がコラーゲンで構成される厚みがある層で、この部分が活性酸素の影響で破壊され、コラーゲン組織が癒着して瘢痕化し、クレーター状に凹んだ状態になってしまうことがあります。

皮膚が厚い肌質がクレーターになりやすい

ニキビ跡クレーターの画像 吹き出物によるクレーターは、皮膚が厚くてゴワゴワした肌質の人に発生しやすいです。そして、基本的に皮膚が薄い部分よりも、頬などの皮膚が厚い部分に目立ちやすいです。

クレーターは真皮層が部分的に萎縮することで発生するため、真皮層が厚い部分のクレーターが目立ちやすいのです。その他にもアレルギー体質で炎症が長引いて悪化しやすい場合なども吹き出物によって皮膚が凹んだりしやすいようです。

クレーター治療法

吹き出物による皮膚のクレーターは真皮のコラーゲンが硬く萎縮した瘢痕という状態であるため、単にコラーゲンを増加させるだけの治療法では効果は不十分です。

その理由は加齢によってコラーゲンが減少するとクレーターも再び目立ってくるようになるためです。

持続的な効果を得るには、コラーゲンの増加と共に真皮層のコラーゲンを新たな組織と入れ替えて再構築し、瘢痕を解消するような治療が有効です。そういった治療は主に以下のような治療があります。

フラクショナルエルビウムヤグレーザー

エルビウムヤグレーザーの画像 エルビウムヤグレーザーは波長2940nmのレーザーです。CO2レーザーの10倍もの水分吸収性があり、その特性により肌に含まれる水分に吸収されて皮膚をスパっと削ることができます。

フラクショナルエルビウムヤグレーザーは、2940nmの波長のレーザー光線を点状に照射していき、等間隔に微細な穴をあけていきます。すると、微細な穴を回復させるために発生するサイトカインが発生し、コラーゲンの合成や分解を担う線維芽細胞の増殖を促します。

線維芽細胞が活性化することでクレーターの原因である硬く結集した瘢痕の分解が進み、新しいコラーゲンとの入れ替えが促されるというわけです。

しっかりと皮膚を削ることができるため、特に高い効果が期待できます。また、余計な熱が発生しないため、赤みや炎症も抑えられ、ダウンタイムも軽減されています。肌が強い人に適した治療で、肌が薄い人には向いていません。

フラクショナルCO2レーザー

スマートサイドドット(CO2フラクショナルレーザー) CO2レーザーは波長10600nmのレーザーです。

エルビウムヤグレーザーと同じように水分に吸収される働きがり、肌に含まれる水分に吸収されて皮膚を削ることができます。イボ取りやホクロ取り治療にも良く使用されます。

それをフラクショナルエルビウムヤグレーザーと同じように分散的に照射し、回復の過程で線維芽細胞の活性化を促すことで若返り効果をもたらします。

ただし、エルビウムヤグレーザーと比較すると余計な熱が発生しやすく、赤みやヒリヒリ感、ほてりといったダウンタイムが長くなる可能性があります。

パールフラクショナル

パールフラクショナル パールフラクショナルは、波長2790nmのレーザーです。この波長もエルビウムヤグレーザーなどと同じように水分吸収性が高い性質があります。

それを照射して分散的に微細な穴をあけて、回復時に発生する細胞増殖因子によって若返り効果をもたらします。

ダーマスタンプ

ダーマスタンプ ダーマスタンプは極細針をクレーター部分に刺して穴をあけ、その穴を修復される過程で発生する成長因子によって線維芽細胞の活性化を促し、コラーゲンの入れ替えと増加をもたらします。

ダーマスタンプは器具を購入すれば自分でも行うことができます。針の長さはクレーター治療では1~2ミリが理想です。

ただし、針が長くなるほど、出血してダウンタイムも長くなるので仕事や生活に余裕がある時に行ってください。最初は1ミリほどから試してみましょう。

ダーマペン

ダーマペンで針を垂直に刺す ダーマペンは、極細針を電動ピストンによって皮膚に穴をあけ、若返り効果をもたらす治療です。電動ピストンによって何度も針を刺すことでクレーターの改善が期待できます。

ところが、肌への負担が強いことや、別に電動ではなくてもダーマスタンプで代用ができます。ダーマペンは治療法としては確立していますが、あまり一般的な治療ではありません。

ダーマローラー

ダーマローラーの治療写真 ダーマローラーは、ステンレス製の極細針がついたローラーを肌で転がし、意図的に小さな点状の傷を作り、その傷を修復するときに発生するサイトカインによって線維芽細胞の増加を促し、コラーゲンの再構築をもたらします。

ダーマローラーはクレーター治療だけに限らず肌全体の若返りをもたらす美容法です。器具を購入すれば自分でも行える方法ですが、やはり痛みが強いのと、出血や赤みを起こしたりするのが何点です。

また、ローリングの時に表皮が傷ついて色素沈着を起こしてしまうこともあります。