毛包炎を起こさない毛抜きによるムダ毛処理のポイント

毛抜き ムダ毛を処理するために一般的に行われている方法の一つがピンセットを使った「毛抜き」です。

毛抜きのような体毛を根っこから抜く方法は、毛の再生を大幅に遅らせることができ、仕上がりもキレイであるため、頻繁に行っている人も多いと思います。

ところが体毛を無理やり抜いてしまう方法には、様々なトラブルを起こすリスクがあります。

今回は毛抜きによる肌トラブルと理想的な処理方法をまとめました。

毛抜きでの皮膚トラブル一覧

毛嚢炎が一番の問題!

ムダ毛処理後の毛嚢炎 毛抜きによってよく起こるのが毛嚢炎(もうのうえん)という症状です。

毛嚢炎(毛包炎)とは、カミソリや毛抜きなどによって毛穴が傷つき、そこからばい菌が感染して引き起こされる皮膚の感染症の一つ。

体毛は皮膚とつながっており、それを無理やり抜いてしまうと、毛穴の底が出血してしまうくらい傷ついてしまいます。

そこからブドウ球菌などの細菌が感染してしまうと、赤くブツブツした皮膚炎が引き起こされますが、それが毛嚢炎です。

毛嚢炎は症状の見た目はニキビと似ていますが、ニキビの芯(皮脂や角質の塊)などはありません。

単なるブドウ球菌の感染による炎症ですので、症状が軽い場合は炎症もそこまでひどくなることはなく数日すれば跡もなく治ってしまいます。

ただし、回復力が落ちている場合や、皮膚の深い部分で悪化した場合、ボコっと大きく腫れた状態になることがあります。

おできといわれるレベルまで悪化することも多い

化膿したおできの画像 毛抜きによって「おでき」といわれる症状を起こすことも珍しくないです。おできは毛嚢炎が悪化したものと考えて下さい。

毛抜きは皮膚の深い部分を傷つけてしまうので、そこから病原性が強い黄色ブドウ球菌が感染すると、とても大きな炎症を起こしてしまいます。

炎症が真皮層や皮下脂肪がある層までおよび、大きく腫れてしまいます。

そして、おできの問題は塗り薬が効きにくいことです。病原菌が皮膚の深い部分で猛威をふるっているので、薬を塗っても成分が届きにくいのです。

悪化したおできには抗生物質の飲み薬がよく効くのですが、抗生物質には耐性菌の問題や腸内細菌を崩してしまう問題があるので、使うかどうかの判断が難しいです。

しだいに色素沈着を起こす

毛抜きは思ったよりも肌へのダメージが大きいもの。目に見えなくても毛穴の内部で出血していたりします。

過剰な脱毛による毛穴の色素沈着の画像 皮膚の損傷が続くとメラニン色素が定着し、色素沈着を起こしてしまうことがあります。毛穴一つ一つが黒ずんでシミのようになってしまうのです。

若い時期はターンオーバーが活発なので、繰り返し毛抜きをやってもシミになりにくいのですが、年齢を重ねるほど色素沈着を起こしやすくなるので注意しないといけません。

毛抜きで引き起こされる埋没毛とは?

埋没毛の写真 埋没毛(まいぼつもう)とは、毛が正常に毛穴から出てくることなく皮膚に埋もれてしまう状態をいいます。

ピンセットで無理に毛を抜いてしまえば肌がダメージを受けますが、同時に防御反応として皮膚が厚くなってしまうことがあり、それによって毛が皮膚内に埋もれてしまうのです。

また、毛根部の毛が途中で切れてしまうことでも発生します。途中で切れた毛が毛穴の中でうず巻き状に伸びて正常に毛穴から出られなり、皮膚内で伸びてしまうのです。

埋没毛は、そのまま放っておいても特に問題はありません。しだいに皮膚の表面に出てきます。

取り除く場合は針を使って慎重に皮膚から出すのですが、慣れていないと肌を傷つけてしまい跡が残ってしまうことも考えられます。

毛抜きで皮膚が鳥肌状になってしまうことも

ブツブツした成熟瘢痕 長年にわたって毛抜きや脱毛テープなどで無理に体毛を抜いていると、皮膚が鳥皮のようにブツブツ浮き上がってくることがあります。

これは、毛を抜くときに皮膚も一緒に引っ張られてそのままの状態になってしまうためと考えられています。

また、毛を抜くことで皮膚がダメージを受け、ボツボツとした瘢痕組織(成熟瘢痕や肥厚性瘢痕)を作ってしまうこともあるようです。(ただし、瘢痕ができるのは肌質や体質が大きく影響します)。

毛抜きによるムダ毛処理のポイント

基本的には毛抜きという方法は美肌のためにはあまり良い方法ではないです。

それをわかった上で「どうしても毛を抜きたい!」という場合には以下のようなポイントを守って下さい。

Step1抜くときに皮膚を温める

ピンセットなどを使って毛抜きを行う場合は、皮膚を温めてから行いましょう。肌を温めると毛がスッと抜けやすくなります。

毛抜きを使う部分は、ワキ毛や眉毛の処理がほとんどだと思いますが、その部分を蒸しタオルを当てたリ、シャワーを浴びたりして温めてから行って下さい。

Step2毛の流れに沿って抜く

カミソリと同様に、毛抜きにおいても体毛は毛が生える方向に沿って抜きましょう。

毛の向きと逆の方向に抜いていると、出血がひどくなることが多くなります。つまり皮膚の損傷が大きくなるということです。

Step3毛は優しく一本ずつ抜く

面倒だからとして複数の毛をまとめて抜くような行為はしないようにしましょう。一本一本、毛の流れに沿って丁寧に抜きます。

Step4毛抜き後は皮膚を冷やす

毛を抜いた後の肌はダメージを受けていて、様々な炎症物質が発生しています。

炎症性サイトカイン発生→プロスタグランジン発生というように免疫反応が起こりますが、それによって皮膚炎をおこしやすい状態となっています。

そこでアイスパックなどで皮膚をクールダウンさせてあげると毛嚢炎などのトラブルを抑えることができます。

また、脚の毛を抜いた場合は、冷水シャワーなどを使用して皮膚を冷やすのも効果的です。

ヤケドや打撲した後のケアでも同じですが、ダメージを受けた肌は冷やすと炎症悪化を予防できます。

Step5処理後は必ず保湿する

無駄毛処理後の肌は不安定な状態になっています。化粧水などで保湿することで皮膚の炎症を抑えることができます。

化粧水には元々肌を清潔にするような成分が含まれています。エタノールやパラベン(防腐剤)などもその一つです。


女性の場合、生理後1週間に行う

毛抜きなどの皮膚への負担が大きいムダ毛処理は、月経(生理)後から1週間に行うのが理想です。

その理由は、生理後から1週間は卵胞期といわれるエストロゲンという女性ホルモンの分泌が高まることで肌トラブルを起こしにくくなるためです。

一方、生理前には黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が高まる影響で、色素沈着を起こしやすくなります。

妊娠中は毛抜きはしない

また、妊娠中も女性ホルモンが不安定になることで肌も不安定になるので、毛抜きは止めたほうがいいです。

毛抜きによる脱毛法の長所と短所まとめ

毛抜きのメリット

  • 毛を根本から抜いて毛の再生を大きく遅らせることができるため、処理の回数が軽減される。
  • カミソリなどと比較して仕上がりが綺麗になる。黒いボツボツがない。
  • 仕上がりの肌触りが良い。カミソリ使用後のチクチク感やザラザラ感がない。

毛抜きのデメリット

  • 一本一本毛を抜く方法であるため、広範囲になるほど時間がかかる。
  • 痛みが強い場合がある。
  • 毛を抜くと毛穴内部が損傷し、毛嚢炎という赤いブツブツを引き起こすことがある。
  • 毛抜きで抜こうとした毛が途中で切れてしまうと、埋没毛ができてしまうことがある。
  • 何度も繰り返していると、皮膚のダメージが蓄積されて色素沈着を起こすことがある。

最後に

毛抜きはウマくいけば短期的にはメリットが多いですが、長期的にやると色素沈着やブツブツの問題があります。

なので、「どうしてもキレイに処理したい」という時だけにして、普段はカミソリなどの違う方法で処理したほうがいいです。