脱毛やムダ毛処理後のブツブツ「毛嚢炎(毛包炎)」の対処法

ムダ毛処理後の毛嚢炎の画像 画像は、カミソリを使って脚毛を処理した後の毛嚢炎。

カミソリや毛抜きなどでムダ毛処理をしていると、皮膚がニキビのように赤くブツブツした状態になってしまうことがあります。

これはニキビではなく毛嚢炎(もうのうえん)、または毛包炎(もうほうえん)といわれる症状で、細菌感染によって引き起こされるものです。

今回は、ムダ毛処理後の毛嚢炎の対処と、予防するやり方について。

毛嚢炎とは?

ムダ毛処理後の毛嚢炎の画像 毛嚢炎(毛包炎)は、毛穴の内部(毛包)が何らかの原因によって傷つき、そこから表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入して炎症を引き起こす皮膚感染症です。

見た目だけでいえばニキビのように見えますが違う症状です。

一般的なムダ毛処理によるものでは、ほとんどは赤くて小さなブツブツが発生します。そして白ニキビのように膿が現れることもあります。かゆみは基本的にありません。

ひどく悪化することもある

化膿したおできの画像 毛嚢炎は、病原菌が皮膚の深い層にまで及ぶと、「おでき」や「せつ」といわれるレベルにまで悪化することがあります。(画像参考)

その強い炎症は黄色ブドウ球菌と、それが作る毒素によるもの。

腫れによって皮膚が分厚くなり、痛みがでたりします。また治っても色素沈着が強く現れ、しこりのように残ってしまうことも。

ニキビ跡のようにクレーターになったり、体質によってはケロイド(肥厚性瘢痕)になったりすることもあります。

発生原因は?

カミソリと毛抜きによる毛嚢炎発生仕組み 毛嚢炎の原因はいろいろありますが、主にカミソリや毛抜きなどで毛穴が傷ついてしまうことで引き起こされることが多いです。

女性の場合は、ワキ毛を中心に、腕や脚、アンダーヘアの処理で発生しやすく、男性の場合はヒゲ剃りが原因となることが多いです。

なお、カミソリによる毛嚢炎の場合は、症状が軽いことが多いです。

毛を抜くと炎症が強い毛嚢炎が起こりやすい

毛抜き 毛抜きやワックス脱毛、テープ脱毛といった「毛を抜く」方法になると、毛穴深くにダメージが及ぶので、それだけ皮膚の深い部分で細菌感染しやすくなります。

つまりそれは悪化した毛嚢炎が発生しやすいということです。

抜く脱毛は、実際にはかなりのダメージが及んでいるものです。キレイに抜けたように見えても毛穴の中は軽い出血を起こしていたりします。

それを繰り返すと色素沈着を起こし、毛穴が黒ずんでくることも珍しくないです。

毛嚢炎が発生しやすいケースいろいろ

毛嚢炎はムダ毛処理とは関係ない要因で発生することもあります。

肌が乾燥している

皮膚が乾燥していると肌のバリア機能が低下して感染症を起こしやすくなります。ムダ毛処理を行う場合はしっかりと保湿して行ってください。

ストレスが多い

ストレスをかかえる画像 ストレスによって免疫が低下すると、毛嚢炎を起こしやすくなります。そして悪化しやすくなります。

強いストレスや不安を抱えているときは、肌に負担をかけるようなスキンケアはしないほうがいいような気もします。

甘い食べ物の摂取が多い人

甘い食べ物の画像 砂糖が多く含まれるようなスイーツ、お菓子などの摂取が多く、そしてそれが頻繁である人ほど、毛嚢炎が起きやすい傾向があります。

これは、糖分の過剰摂取が免疫バランスを乱す要因になるためです。糖尿病と似たような現象が起こるのです。

また、甘い食べ物の過剰摂取は腸内でカンジダ菌を増加させる要因になります。

カンジダ菌はプロスタグランジンという物質を作り出して身体全体を炎症体質にしてしまいます。

ムダ毛処理によるブツブツに悩む人は、お菓子の摂取を減らし、バランスの良い食事をこころがけましょう。

病気の影響も考えられる

毛嚢炎は細菌感染によるものなので、免疫低下をもたらす病気で発症しやすくなります。

例えば、糖尿病やエイズなどがあげられます。そういった病気をもつ人はムダ毛処理後に毛嚢炎になりやすいです。

そして、悪化して化膿してしまう可能性も高くなります。

ステロイドの使用

ステロイドニキビの画像 ステロイド外用薬によって免疫が抑えらることで、毛嚢炎のような感染症を起こしやすくなります。

ステロイドによるブツブツを「ステロイドニキビ」といったりしますが、ほとんどは毛嚢炎のことだったりします。(ほかはマラセチア毛包炎も多い)

毛嚢炎の対処について

毛嚢炎の治療は、症状が小さければ特に何も治療しなくても数日で治ることが多いです。

ニキビのように角栓(角質と皮脂の塊)が毛穴に詰まっているのではなく、単に一時的な細菌感染によるものなので、何もしなくてもわりと早く治ることがほとんどです。

シミや色素沈着もあまり心配しなくて良いでしょう。

ただし、まれに症状が悪化しそうな腫れ方をすることがあります。病原菌が皮膚の奥へと広がった状態です。

その場合は、オロナイン軟膏や抗生物質(細菌の増加を抑える薬)が入った塗り薬を早めに使ったほうがいいです。

なお、筆者の場合は症状が軽くてもすぐ薬を塗るタイプです。

オロナインH軟膏は毛嚢炎にも効く

オロナインH軟膏の画像 家庭のニキビ薬みたいなイメージがあるオロナインH軟膏。

その主成分のクロルヘキシジングルコン酸塩には毛嚢炎の原因となる黄色ブドウ球菌にもよく効きます。

刺激が低いのも利点。にきびと同じように薄く伸ばして使いましょう。

市販の抗生物質も効く

市販の抗生物質の塗り薬の写真 市販薬で毛嚢炎に効く薬といえば、テラマイシン軟膏、クロマイN軟膏、ドルマイシン軟膏などが有名です。

それらは2種類の抗生物質を含んでいて、黄色ブドウ球菌のような細菌に良く効きます。そしてステロイドが配合されないので副作用の心配も少ないです。

女性の場合、頻繁にムダ毛処理することで炎症を起こす機会が多いので、一つくらい塗り薬を持っておいたほうがいいかもしれません。

病院の処方薬

皮膚科を受診すると、毛嚢炎に対して以下のようなお薬が処方されると思います。

皮膚科で処方される抗生物質の塗り薬
  • アクアチムクリーム
  • ゼビアックスローション
  • ダラシンTゲル
  • ゲンタシン軟膏

なお、ステロイドと抗生物質の合剤であるリンデロンVG軟膏や、デルモゾール軟膏なども毛嚢炎に処方されることがあります。

ただし、ステロイド配合剤は使った期間が長くなるほど回復力を遅らせたりするので、いろいろ使い方が難しいです。

個人的には、毛嚢炎くらいならば皮膚科を受診しなくてもオロナイン軟膏で充分のような気がします。

強い腫れを起こした場合の理想的な治療は?

大きく腫れたような毛嚢炎の場合、塗り薬を使っても効果が低い問題があります。

皮膚の奥で炎症を起こしているので、薬の成分が病巣に届きにくいのです。ただ、何もしないよりは塗り薬は使ったほうがいいです。

そして、悪化したおできをより早く治したいのならば抗生物質の内服薬が最も効きます。それは市販されてないので皮膚科を受診しないといけません。

注意しないといけないのは、抗生物質の飲み薬の場合、塗り薬と違って作用が全身に及ぶことです。

関係ないところに耐性菌が生じたり、腸内細菌が消失してしまう問題があるので、毛嚢炎が多発していなければ使用しないほうがいいと医師に言われるかもしれません。

この場合、使うかどうかは患者さんの判断にゆだねられると思います。

ニキビのように潰してはいけない

ニキビを潰す画像 毛嚢炎はニキビではありません。なので、自分で潰して押し出そうとしてもニキビの芯は出てきません。むしろ腫れが悪化するだけです。

細菌感染なので殺菌薬や抗生剤で地道に治していくしかありません。

体調を整えることも重要!

ムダ毛を処理するたびにトラブルを起こしてしまっては日に日に肌が汚くなってしまうだけ。

肌トラブルを起こさないためにできる事は、バランスの良い食事、ストレスをためない、運動をする、睡眠を十分にとる、などの理想的な生活をおくり、細菌感染に負けない強い肌を維持するようにしましょう。

毛嚢炎を予防するムダ毛処理の手順

Step1ムダ毛処理する場合は皮膚を温めてから行う

女性の身体の写真 ムダ毛処理をする前に、温水シャワーや蒸しタオルで皮膚を温めることで毛嚢炎の予防につながります。

メリットは以下の3つ。

  • 毛が柔らかくなることでカミソリで処理しやすくなる
  • 抜く場合においても肌を温めることで毛が抜けやすくなります。
  • 温水シャワーにより、肌の水分量が高くなることで皮膚が損傷しにくくなる。

Step2ムダ毛処理前に保護クリームを塗る

脚のカミソリ カミソリなどで体毛処理する前には保護クリームを塗ってから行うと皮膚へのダメージを抑制できます。

シェービングクリームを塗って処理しましょう。それがない場合は、保湿クリームでも大丈夫です。

皮膚の水分量を高めてあげると、肌への負担が少なくなります。

なお、泡立てた石鹸を肌に付けてカミソリを使う人もいますが、石鹸は洗浄剤なので肌を傷つけてしまう可能性があります。

Step3カミソリ使用の場合、深剃り、逆剃りはしない

脚のムダ毛処理 カミソリなどを使用する場合、深剃りすることで毛穴はより強くダメージを受けるようになります。

特に毛の流れと逆に剃ると毛穴に対して負担がとても大きくなります。一般にムダ毛処理は毛の流れにそって優しく剃るのが基本です。

Step4体毛処理後はシャワーなどを使って皮膚を冷やす

脚をシャワーで冷やす写真 体毛処理後は冷水シャワーやアイスパックなどで2~3分ほど皮膚を冷やします。

冷やす行為そのものが消炎効果をもたらします。これはヤケドをした後に皮膚を冷やすのと同じ理論です。

これをやるだけで毛嚢炎のリスクをかなり軽減できます。

脚や腕の処理後は冷水シャワー。ワキやアンダーヘアにはアイスパックが理想です。

冬場は冷たいかもしれませんが、頑張って冷やしましょう。

なお、化粧水を冷蔵庫で冷やし、それを使って保湿パックしてもいいと思います。

そのやり方は保湿にもなりますし、皮膚を冷やす(炎症予防)ことにもなります。

Step5ムダ毛処理後は保湿する

脚のスキンケアの画像 ムダ毛処理後には必ず化粧水などで保湿しましょう。

保湿することで肌のバリア機能が整い、毛嚢炎のような細菌感染を予防できます。

特に女性のワキやアンダーへア処理後は絶対に化粧水を使って下さい。

なお、グリチルリチン酸やカミツレエキスなどの消炎作用が含まれた化粧品を使えば、さらに炎症予防につながるはずです。

どんな化粧水においても肌を清潔にする働きがあるので、積極的に使ったほうがいいです。

Step6汗をかいてそのままにしない

汗をふく画像 ムダ毛処理後は、汗をかくことに注意しないといけません。

汗をかいてそのままにすると肌がアルカリ性に傾き、毛嚢炎の原因となる黄色ブドウ球菌が急激に増加する環境を作ってしまいます。

なので、例えば運動して汗をかいた後はすぐにシャワーを浴びて清潔にして下さい。

また、夏場には寝汗をかいてしまいますので、エアコンなどで温度や湿度をコントロールして下さい。