美容に良いからとして毎日長い時間をかけて半身浴を行っている女性が多いようです。
半身浴は、雑誌やテレビなどで紹介されていることもあって美肌効果が高いと考えられているようですが、実際には半身浴は通常の入浴と比較してそれほど美肌、美容効果はないと考えられます。
今回は半身浴の本当の効果についていろいろ。
半身浴の効果とは?
半身浴とは、腹部あたりまで湯船につかり、心臓への負担を抑えながら長く入浴する方法です。
長い時間にわたってお湯につかることでたくさんの汗をかくため、老廃物が排出されて美容に良いとされています。
実際に、半身浴によって長く身体を温めることで、汗腺(汗を分泌する腺)が活発になって汗をかきやすくなります。
ところが、長い時間かけて半身浴をしても、全体的な美容効果や健康効果はあまりないことが指摘されています。
実はカロリー消費は低い
半身浴は時間をかけるわりには消費カロリー(エネルギー)が少ないことがわかっています。ある研究によると、半身浴は消費カロリーが1時間あたり16Kcalほどしかないという報告が発表されています。
半身浴1時間あたり16kcalは、歩行運動でいえば3分間くらいの消費エネルギーしかありません。ダイエット効果があるとして半身浴を行っている人もいるようですが、痩せるような効果はほとんどないようです。
半身浴で老廃物は排出される?
半身浴によって大量に汗をかくと、老廃物が排出されてデトックス効果があるといわれています。
ところが、半身浴でかく汗はアンモニアや塩分などの成分が含まれている程度で、体内の老廃物、体内毒素はほとんど汗からは排出されません。
単に汗をかいただけではデトックス効果は低いです。やはり、運動などによって身体を動かすことで、リンパの流れを活発にし、それと共に汗をかくほうが高いデトックス効果があります。
半身浴によって皮膚がふやけてしまう
お湯につかっていると肌が潤ったように感じますが、長い時間お湯につかっていると皮膚がふやけてしまいます。
肌がふやけるとターンオーバーが乱れて、ニキビやブツブツが現れやすくなることがあります。
また、長い時間に渡ってお湯につかっていると、肌の潤いが必要以上に奪われてしまうことがあります。
お風呂から上がった後に肌がカサカサするのは、肌の皮脂膜やセラミド、天然保湿因子などの潤い成分がお湯によって奪われてしまったことが原因です。
リラックス効果が低い
半身浴はリラックス効果が低い欠点があります。
ある研究では、脳がリラックスしている時に発生するα波(アルファー波)の現れ方を、全身浴と半身浴で比べた結果、全身浴の場合はアルファー波が多く発生した一方で、半身浴のアルファー波はあまり出なかったと報告されています。
つまり、半身浴はリラックス効果があまり期待できないことがわかっています。就寝前のお風呂は、よりリラックスしたほうが睡眠に入りやすくなりますが、半身浴には深い眠りを促す効果が低いようです。
美容によい入浴法
「美容には半身浴が良い」といわれていますが、実際には特に半身浴にこだわる必要はありません。代謝をアップして「シミのない美肌になりたい」、「ニキビや肌荒れをなくしたい」などを目的としている人においても通常の入浴で十分です。
一番良い入浴法は、効率的に代謝を高め、さらにリラックスできることだと思います。最も良いお風呂の入り方は、ややぬるい36~38度くらいのお湯の温度で、約10分間、肩までつかることが良いとされます。
人間の体温よりも少し高いくらいのお湯の温度で、深呼吸したりしながら肩までゆっくりつかることで血行が高まり、リラックス効果も高くなるようです。
ただし、熱いお湯(40度以上)で長く入浴することでかえって疲れたり、睡眠の妨げになることがありますので、ほどほどに入浴して下さい。
そして、40度を超えるような熱いお湯に入っていると、逆に肌の保湿成分が溶け出して乾燥をまねくようになることがあります。お湯が熱くなるほど脱脂力が強くなります。肌の乾燥が気になる場合はややぬるめが理想です。
背中ニキビがある場合は熱いお湯が逆効果
背中に大きなニキビなどがある場合、熱いお湯に入っていると炎症を悪化させてしまう可能性があります。にきびは血行を促したり温めたりすることで炎症反応に関係する生理活性物質(プロスタグランジンなど)がたくさん発生し、それによってニキビの腫れが強くなってしまいます。
例えば、日焼けした後やヤケドした後は肌を冷やしたほうがいいといわれますが、にきびにおいても同じように温めるよりは冷やしたほうがいいのです。
背中や胸などにニキビがある場合は、半身浴にしてお湯がニキビにつかないようにしたほうがいいかもしれません。
運動が最もデトックス効果がある
代謝機能を高めるには、半身浴などによって外から温めるよりも、運動のような自分で体温を上げるような方法が理想です。お湯で温めただけではダイエット効果も低いです。
自ら動いて体温を上げることでエネルギーがたくさん消費され、よりカロリー消費につながります。
運動は、1日20~30分くらいを目安に、軽く汗をかくような運動が理想です。早いペースのウォーキングやジョギングが良いと思います。散歩レベルの運動よりも汗をかくレベルが良いとされます。
筋肉を使うことでリンパの流れもよくなり、老廃物の排出が促されます。入浴でも水圧によってリンパの流れが良くなりますが、やはり最もリンパの流れを改善するには筋肉を使うことです。美容のためには運動は欠かさないようにして下さい。
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