気温や湿度、季節の違いによる皮脂量の変化の画像グラフ

一般に皮脂の量が多くなるほどニキビができやすくなります。

また、毛穴が目立つようになる原因の一つも皮脂の増加によるもの。

これは、皮脂中の遊離脂肪酸などが皮膚を刺激してターンオーバーを乱すためです。

皮脂量と比例して肌への刺激が増加します。

その皮脂の分泌量はホルモンバランスや食生活によって影響されますが、気温や湿度の変化といった季節や環境の変化によっても大きく影響を受けます。

夏は冬の約1.4倍の皮脂量

皮脂量の変化(月別)の画像グラフ 夏は冬と比較して皮脂量が約1.4倍程度になるといわれています。(画像グラフ参考)

一説によると場所によっては2倍の皮脂量になるのだそう。

これは、温かくなる季節になると新陳代謝が活発になり、それによって皮脂の合成が活発になるためです。

一方、冬は気温が下がるので新陳代謝が下がり、それと比例して皮脂量も低下します。

皮脂が作られる仕組み

皮脂は皮脂腺という器官で皮脂腺細胞によって作られます。

その皮脂腺細胞は温かくなるほど活発になります。

寒い季節よりも温かい季節のほうが新陳代謝が活発になるように、皮脂腺細胞においても同様のことがいえるのです。

皮脂腺細胞が活発に働くことで、皮脂の合成が活発になり、その結果、毛穴から出てくる皮脂量も多くなります。

夏場にニキビができやすくなるのは、気温が高くなることであらゆる生理機能が活性化したことによるものだといえます。

年齢によって皮脂腺細胞の活動が低下する

年齢別の皮脂量の変化の画像グラフ 年齢を重ねるほど皮脂分泌が減少していきます。

20歳と60歳の男性を比較すると、約30~40%も皮脂が減少します。(画像グラフ参考)

これは男性ホルモンなどの性ホルモンの低下や、新陳代謝の低下などが関係しています。

一般に年齢を重ねるほど細胞分裂が低下しますが、例外なく皮脂を合成する「皮脂腺細胞」の働きも低下していきます。

年齢によって脂浮き、テカリ、化粧崩れといった現象がなくなってくるのは、皮脂を作り出す能力そのものが低下しているためです。

そして、年齢とともにしだいに肌が乾燥するようになります。

なお、高齢になると皮脂が不足することによって慢性的な皮膚炎をまねくことがありますが、決して珍しい症状ではありません。年齢とともに誰にでも起こる可能性があります。

男性ホルモンの分泌低下による皮脂の減少

男性ホルモン 皮脂分泌量を大きく左右するのが男性ホルモン(主にテストステロン)です。

男性ホルモンは皮脂腺に働きかけて、皮脂腺を発達させたり、皮脂分泌を促したりする作用があります。

そのため、男性ホルモンの分泌が活発になる思春期(第二次性徴期)から皮脂が増加してニキビ、毛穴のブツブツができやすくなります。

これは男性と女性、どちらにおいてもいえることです。(女性においても男性の10%くらいの男性ホルモンが分泌されています)。

そして、一般に男性ホルモンは20歳ごろをピークに年々減少していきます。

20歳と60歳の男性を比べると、平均で約30%ほど男性ホルモンが減少します。(画像グラフ参考)

男性ホルモンの減少と比例して皮脂も減少してき、年齢とともに脂浮き、肌のテカリ、ニキビなども落ち着いていきます。

湿度と皮脂量は関係あるのか?

夏の蒸し暑さで汗をふく画像 一般に気温が高くて湿度が高いほど蒸し暑くなり、皮脂が増えるようなイメージがあります。

気温の高さと皮脂量は比例しますが、一方で湿度の高さと皮脂の分泌量は比例するのでしょうか。

実際には皮脂と湿度の高さはあまり関係ないようです。

ただ、一般に気温も湿度も高くなると、いろいろな皮膚トラブルを起こしやすくなります。

汗をかいたまま放置すると黄色ブドウ球菌が増える

夏は汗をかきやすくなり、さらにその汗が皮膚にこもりやすくなります。これは空気中に湿気が多いので汗が発散しないのが原因です。

その汗をずっと放置していると雑菌の分解により汗がアルカリ性に傾きます。

そして皮膚も弱酸性からアルカリ性に傾きます。(通常の肌は弱酸性に保たれています)。

肌がアルカリ性に傾くと、それまで繁殖が抑えられていた菌が極端に増加するようになります。その一つが黄色ブドウ球菌です。

黄色ブドウ球菌の画像 黄色ブドウ球菌とは、どんな人にも皮膚に存在する常在細菌です。

その菌は通常は大きな問題とはなりませんが、皮膚に入り込むと毒素を出して強い炎症をもたらす原因となります。感染した場合は病原性が高いのです。

症状でいえば、強い毛嚢炎やおでき、めんちょうなどの症状を引き起こすことがあります。

また、黄色ブドウ球菌はニキビやアトピーの炎症をさらに悪化させてしまうこともあります。

汗でマラセチア毛包炎を発生することもある

腕のマラセチア毛包炎の画像 汗をかきやすくなる夏には、マラセチア毛包炎というニキビのような症状を引き起こすことがあります。

その症状はマラセチア菌というカビが原因となる炎症性の低いできものです。

一般にカビは湿気を好みますが、この症状においても蒸れると発生しやすくなります。

放置すると、自然に治るまで2~4週間もかかってしまうことも。そして、炎症が長引くのでシミになってしまうこともよくあります。

アトピーの悪化要因に

湿度が高いと汗をかきやすくなりますが、汗をかくとマラセチア菌というカビが増えやすくなります。

アトピー性皮膚炎の画像 問題は、そのマラセチア菌の代謝産物が汗と共に皮膚に入り込むとアレルギーを起こす可能性があることです。

ヒジやヒザの裏側にアトピーが出やすい人は、汗とカビが影響しているケースが多いようです。

夏場は皮脂と汗をケアしよう

日本の夏は太平洋高気圧による湿った空気に覆われて、気温も湿度もかなり高くなります。

それに比例して皮脂や汗も多くなります。そのため、夏場には何かと肌トラブルがおきやすいです。

特に背中や胸にニキビができやすい人やアトピーの人は、汗の放置によってニキビが悪化しやすくなるので、できるだけ早くシャワーを浴びて健康な肌を維持して下さい。