糸脱毛とは、糸を巧みに操って顔や腕、指などのムダ毛を抜く脱毛法です。基本的に毛を切るのではなく根元から抜いていきます。
糸脱毛は日本ではあまり有名なものではなく、一部の脱毛サロンで行われているくらいですが、東南アジアの一部の国など、海外ではこの糸脱毛が広く行われているところもあります。
上手に操れば、毛抜きピンセットなどを使うよりもよりスピーディーに毛を処理することができますが、やはり肌へのダメージが強い問題があります。
今回は糸脱毛のやり方と肌トラブルの問題を考えていきます。
糸脱毛とは?
糸脱毛は、糸を使って毛を巻きつけて抜いていくという脱毛法です。40~50cmくらいの糸を結んで輪を作り、その輪のままグルグルと5~6回ほど回して中央でねじれさせ、そのねじれを両手で上手に操って毛を巻き込んで抜いていきます。
糸脱毛は、理論的にいえばピンセットを使った毛抜きと同じで、毛根から抜くので脱毛効果が長持ちしますが、それだけダメージが強いともいえます。
糸脱毛の効果
糸脱毛は顔の産毛や腕の細い毛などに対して効果的です。太い毛の場合は糸だけでは抜けないことも多いため、例えば男性の濃い脚の毛やヒゲ脱毛などには適さないです。
上手にやれば眉毛などにも行うことができると思いますが、その部分は皮膚が薄くデリケートであるため、毛抜きピンセットで一本一本確実に抜いていったほうがいいと思います。
他にも、糸脱毛はマッサージ効果をもたらすことで血行促進作用などの美容効果も期待できます。
肌が若干糸でこすられるため、ピーリング効果があるといわれますが、肌が弱い人においてはこするような方法は単に肌を傷つけてしまうこともあります。
いずれにしても、糸脱毛は毛抜きピンセットを使っても炎症を起こしたりしないような肌が強い人に適した方法だと思います。
糸脱毛の動画とやり方の手順
糸脱毛のやり方は、動画を見たほうがわかりやすいと思います。実際に糸脱毛を行っている「RinRin Doll」さんのYouTube動画です。
自分でとても上手に眉毛の脱毛を行っています。十分参考になると思います。
糸脱毛の手順
Step1肌状態を見て、脱毛したい部位にニキビや赤み、乾燥によるガサガサなどがないかなどを確認します。ニキビや赤みがあったり、角質がめくれてるような肌状態の場合は糸脱毛は止めたほうがいいです。
Step2脱毛サロンでは糸脱毛の前にパウダーを皮膚に塗ったりすることがあります。これによって肌へのダメージが抑制できることや、産毛が処理しやすくなるメリットがあります。ただし、別に塗らなくても問題なく行えます。
Step3太めの縫い糸を40~50センチくらいに切って結びます。つまり糸で直径40~50センチくらいの輪を作ります。毛とのコントラストがはっきりしているので白い糸が理想です。
Step4結んだ糸の輪をそのまま5~6回ほど回転させて、中央で糸をねじれさせます。リボン(><)のような状態を作ります。
Step5そして、両手の人さし指、中指、親指などを上手に使って糸を操り、中央部のねじれを毛に巻きつけてそのまま抜いていきます。切るのではなく抜くのです。これを繰り返すだけです。
Step6糸脱毛を行った後はアイスパックなどでクールダウンさせます。冷やした化粧水などで保湿すれば脱毛後に起こりやすいブツブツ(毛嚢炎という皮膚感染症)を抑えることができます。
施術時間
脱毛サロンなどで糸脱毛を行う場合、施術時間は顔全体で10~20分が目安です。腕の産毛などの場合はさらに時間がかかると思います。
副作用と注意点
- ニキビ、肌荒れ、アトピー体質などのトラブルがある方は糸脱毛のような方法は適していません。
- 糸で上手に毛を抜いたとしても、毛穴の内部では出血していたりします。それを何度も行っていると、色素沈着を起こして毛穴が黒ずんでくることがよくあります。抜く脱毛は注意して下さい。
- 糸脱毛は皮膚に対する負担が大きいため、敏感肌や肌が弱い人、老化が進行した肌、日焼け後の肌などには不向きです。
- この糸脱毛という方法は特殊な脱毛法であり、安全で確実性の高いムダ毛処理を行いたい場合はシェーバーやカミソリなどのほうが適しています。
糸脱毛後の毛包炎に注意
糸脱毛のような「毛を抜く」といった処理方法は肌への負担があり、肌トラブルを起こす可能性が高いです。その一つが毛嚢炎(もうのうえん)という皮膚感染症です。
毛嚢炎とは、毛を抜いたりするときに毛穴内部(毛包)に傷ができて、そこから黄色ブドウ球菌などの病原性が高い細菌が感染することで起こる皮膚感染症です。毛包炎(もうほうえん)とも呼ばれます。
見た目の症状としてはニキビと非常に似ていますがニキビとは違います。ニキビの芯のようなものはありません。毛嚢炎は、抜く脱毛だけではなく、カミソリなどで毛穴に傷ができてしまうことでもよく発生します。
毛嚢炎は症状が軽い場合はほったらかしていてもすぐに治りますが、まれに毛穴の深い部分で炎症を起こして強く腫れあがってしまうことがあります。
腫れが強いときは抗生物質
糸脱毛後の毛嚢炎には、抗生物質の塗り薬が効きます。市販薬ではフルコートf軟膏、ベトネベートN軟膏などがあります。それらはステロイドも含んでいますが、短期的な使用なら副作用の問題はないです。
なお、毛嚢炎は白ニキビのように先端に膿をもった状態になることがありますが、症状そのものがニキビとは違うので、それを潰して押し出そうとしてもニキビの芯のような物体は出てきません。
扱わないようにするのが基本です。
おできへと発展することも
糸脱毛後の毛嚢炎が悪化したり、皮膚の深い部分で炎症を起こすと「おでき」といわれる大きく腫れた状態になることがあります。顔にできたおできは面疔(めんちょう)と呼ばれたりします。
特に「抜く」脱毛法は皮膚の深い部分にダメージが及びますので、それだけおできのような強い感染症を起こす可能性が高くなります。当然、炎症後の色素沈着もひどくなりますし、ニキビ跡のようにクレーター状に凹んでしまうこともあります。
また、ケロイドや肥厚性瘢痕という盛り上がった傷痕になってしまうこともあります。
腫れが大きい場合は皮膚科へ
糸脱毛後に皮膚が赤くて分厚く腫れるような症状が現れたら、早めに皮膚科で治療するのが理想です。
病巣が深い場合、塗り薬では成分がターゲットにまで届きにくいので効きにくいので、抗生物質の飲み薬が使用されます。
抗生物質の飲み薬は、ミノサイクリン、ロキシスロマイシン、セフゾン、ファロムなどが処方されます。
また、抗生物質の量や服用期間を減らすために他の消炎薬の飲み薬(例えばイブプロフェンなど)と組み合わせて処方されることがあります。
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