カビに効く抗真菌薬は耐性菌の問題はない?例外もあるので注意が必要

カビ(真菌)が原因となる皮膚病はなかなか治りにくいことで知られています。

通常は塗り薬で治療するのですが、やはりカビの性質的な問題により、治療が長期に及んだり、いっこうに良くならないこともあります。

そこで、塗り薬だけでは効きにくいときは抗真菌薬の内服薬がすすめられることもあるのですが、カビが耐性を獲得して薬が効きにくくなったりするような問題はないのでしょうか。

通常は耐性菌の心配をしなくていい

内服の抗カビ薬として一般的に使用されるアゾール系のお薬は通常の治療をしていれば耐性菌がうまれる問題はないと考えられています。

アゾール系とは、シトクロムP450という酵素を阻害し、カビの細胞膜成分であるエルゴステロールの合成を阻害してカビの増殖の抑制作用を有するお薬です。

アゾール系は抗カビ薬として一般的によく使用される系統。

具体的にはイミダゾール系やトリアゾール系があります。

アゾール系の抗カビ剤

イミダゾール系

  • ミコナゾール(商品名フロリードF)

トリアゾール系

  • フルコナゾール(商品名ジフルカン)
  • イトラコナゾール(商品名イトリゾール)
  • ボリコナゾール (商品名ブイフェンド)
  • ホスフルコナゾール(商品名プロジフ)

よく使用されるイトラコナゾールには耐性はない

内服の抗カビ薬としてはイトラコナゾールがよく処方されます。製品名ではイトリゾール。ジェネリックもあります。(イトラコナゾール錠など)

そのお薬は治りにくいカンジダやでんぷう菌、マラセチア毛包炎、水虫、爪白癬などに対して処方されるのですが、そのイトラコナゾールには耐性菌の心配はないとされます。

パルス療法といって「高用量を服用→休薬」というような治療を何度も繰り返すこともあるのですが、そういった使い方でも耐性菌の問題はないとされます。

抗生物質の場合は、「飲んだり休んだり」を繰り返すと細菌が耐性をもちやすくなるのですが、抗カビ薬の場合は神経質になる必要はないです。

エイズなどの免疫不全の場合は耐性菌の問題がある

アゾール系の抗カビ薬では耐性菌がうまれる心配がないと考えられています。

ただし、アゾール系の中でもフルコナゾールというお薬に対しては耐性をもつカンジダの報告があがっています。

カンジダにはいろいろな種類があるのですが、代表的なカンジダ・アルビカンスや、低感受性のカンジダ・クルセイ、カンジダ・グラブラータなどの耐性菌が海外から報告されているようです。

そして、その報告はエイズなどの免疫不全患者で起こっているようです。

通常の免疫機能を有していれば耐性菌の出現は起こりにくいようですが、免疫不全の場合は菌がカラダの中で増加しやすい環境になっていますので、必然的に菌が耐性を獲得しやすくなるようです。

フルシトシンだけは免疫不全関係なく耐性菌の問題がある

抗真菌薬の種類の一つにフルシトシンというお薬があります。そのお薬はフロロピリミジン系に分類されるもの。(アゾール系ではない)。

そのフルシトシンはエイズなどの免疫不全と関係なく耐性菌の問題が多く確認されています。

特にカンジダ菌の耐性菌が増えているとされ、特に単独で使用するとカンジダが耐性を獲得しやすいようです。

なお、内服の抗カビ薬というとイトラコナゾールなどのアゾール系が使用されるのが一般的で、フルシトシンがカビによる病気に対して使われることはほとんどないです。