額の毛穴が開く原因、「おでこ」の毛穴が目立つ仕組み。

毛穴の開きと不飽和脂肪酸の関係 毛穴の開きは皮脂量が多いほど発生しやすくなります。

皮脂が増加すると皮脂をエサにする微生物(アクネ菌など)が増加し、細菌性リパーゼという脂肪分解酵素を分泌して皮脂を分解し、遊離脂肪酸という物質を作り出します。

遊離脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がありますが、このうち不飽和脂肪酸(オレイン酸やパルミトレイン酸など)は特に皮膚に対して刺激性があり、時間の経過と共に皮膚に炎症を起こす原因物質と考えられています。

遊離脂肪酸によって毛穴周辺が刺激を受けると、ターンオーバーが過剰に亢進して表皮細胞をたくさん作り出そうとします。(角化異常)。これによって毛穴周辺の皮膚が厚くなって毛穴がすり鉢状に広がって見えるようになります。これが毛穴の開きです。

また、不飽和脂肪酸の影響を長年受け続けると、毛穴周辺が慢性的に炎症を起こして変形してしまうこともあるといわれています。他にも、単にコラーゲンなどのハリや弾力を担う物質が減少・変性したことで毛穴が目立ってくる場合もあります。

額の毛穴トラブルについて

おでこは皮脂分泌が多い

ひたいの毛穴の開き 皮脂量は身体の中では顔や頭皮に多いことで知られていますが、顔の中では額や鼻といったTゾーンに多く分泌されています。これは、額や鼻などの部分の皮脂腺が非常に発達しているためです。

額は皮脂量と比例して皮脂中の遊離脂肪酸も多いことがわかっています。遊離脂肪酸のうち特に不飽和脂肪酸は毛穴に刺激を与えて角化異常を引き起こし、表皮を厚くしてしまいます。

これによって毛穴が開いたように見えます。また、表皮が厚くなることで毛穴がふさがれるようになり、毛穴内部に皮脂や古い角質が溜まってしまうとニキビの芯(角栓)が形成され、塞がった毛穴内部でアクネ菌が増加するとニキビが発生します。

額は紫外線の影響を受けやすい

額は紫外線の影響を大きく受けやすい部分です。紫外線は強力な酸化力があり、肌にダメージを与えてシミ・しわ・たるみなどの老化現象を引き起こす要因と考えられています。

さらに、紫外線は皮脂の酸化も促します。皮脂が酸化されると皮膚にも刺激を与えるようになり、角化異常を起こして毛穴の開きを悪化させてしまいます。

紫外線や不飽和脂肪酸による毛穴の黒ずみ

毛穴の黒ずみ 皮脂中に含まれる不飽和脂肪酸は時間の経過とともに刺激性が増して炎症を起こすようになります。

また、紫外線などの影響で皮脂が酸化され、それが皮膚に刺激を与えることで炎症を起こします。

毛穴周辺の炎症によってメラニン色素がたくさん産生され、それが慢性的になると色素沈着を起こすようになります。これが毛穴の黒ずみです。

毛穴の黒ずみはメラニンの沈着によるものなので、美白剤の使用やレーザー治療・光治療などを受けなければ改善しないこともあります。

額のニキビと毛穴の開き対策

洗顔と保湿

毛穴トラブルを改善するには、やはり洗顔と保湿が最も重要です。思春期などの皮脂分泌が多い時期は特に洗顔で皮脂を取り除くスキンケアしか方法はありません。

キメ細かい泡をたくさん作って肌に負担をかけないように洗い、洗顔後は化粧水などで潤いを補いましょう。

ゴシゴシ洗いといった肌に刺激を与えるような洗い方をしていると、肌を保護するために余計に皮脂分泌が増加したりします。また、保湿を怠ることでも皮脂が余計に増加してしまうこともあります。

ビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体ローション ビタミンC誘導体は、ビタミンC(アスコルビン酸)に別の物質を結合させて安定性と吸収性を高めた成分です。

そのままのビタミンC(アスコルビン酸)では不安定で皮膚に吸収されにくい欠点がありますが、主にリン酸などの物質と結合させることで安定性と皮膚浸透性を劇的に高めることができます。ビタミンC誘導体には以下のような効果・メリットがあります。

  • 皮脂分泌を抑制する。それによって毛穴開きやニキビを引き起こす遊離脂肪酸も抑制できる。
  • 抗酸化作用があり、皮脂の酸化(スクワレンや不飽和脂肪酸の酸化)を抑制する。
  • メラニン色素を合成するチロシナーゼ酵素を阻害する。(美白作用)
  • メラニン色素そのものを淡色化する還元作用がある。(美白作用)

ビタミンC誘導体には、水溶性と脂溶性(油溶性)の2タイプがありますが、皮脂分泌が多くて毛穴の開きが目立つ肌やニキビケア目的においては、水溶性ビタミンC誘導体が有効です。

「リン酸アスコルビルMg」「リン酸アスコルビルNa」などの「リン酸」と表記しているビタミンC誘導体を選びましょう。

グリシルグリシン

グリシルグリシンの粉末 グリシルグリシンとは、グリシンというアミノ酸が2つつながった構造をしている成分で、炎症性サイトカインを抑制し、皮膚細胞内のグリシン受容体に作用して乱れたイオンバランスを整え、ターンオーバーを正常化する働きがあります。

それによってオイリー肌による毛穴の開きを改善する働きがあります。

水溶性成分であるグリシルグリシンは相性の悪い成分がほとんどないため、市販されている原料を一般的な化粧水に混ぜて使用することができます。配合濃度は2~3%が目安です。

グリシルグリシンは水溶性成分であるためイオン導入の有効成分として使用できます。美容皮膚科やエステサロンなどにおいても毛穴開き治療に多用されています。