ストレスやイライラによってニキビ肌荒れが悪化することがあります。
ストレスやイライラが男性ホルモンを増加させて皮脂を促すことはわかっていましたが、その他にもストレスが自律神経を乱すことでニキビの炎症反応を悪化させることがわかっています。
今回は自律神経とニキビ肌荒れの関係を解説していきます。
自律神経とは?
自律神経とは、脳から背骨を通って全身に広がって各器官に影響をもたらす神経です。
自律神経は主に循環、呼吸、消化、発汗、体温調節、ホルモン分泌、生殖機能、代謝機能などをコントロールしています。自ら意識することなく働くことから「自律神経」と呼ばれます。
その自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類で構成され、それらの神経が各器官に働きかけることで生理機能を保ち、人間の恒常性(ホメオスタシス)を保っています。
その2種類の自律神経にはそれぞれ以下のような性質があります。
交感神経
交感神経は、運動、仕事、勉強などの身体が活動的になっている時に活発になる自律神経です。
主に太陽が昇って明るい日中に活動的になる神経ですが、夜においても人間が活動的になっていれば活発に働きます。また、イライラやストレス、プレッシャーを受けている時などにも交感神経は活性化します。
副交感神経
副交感神経は、身体が休息している時に活発になる自律神経です。主に睡眠中、食事中、リラックスしている時などに活発になります。基本的に日が沈んで暗くなり、休息に向かう夜に活発に働きます。
自律神経の乱れと肌荒れの関係
自律神経は人間の様々な生理機能を維持するために意思とは関係なく活動する神経ですが、そのバランスが乱れると内分泌系などの生理機能にも乱れが生じます。
そして、自律神経の乱れが最終的には肌の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、性ホルモン分泌の乱れ、便秘、睡眠不足などはニキビ肌荒れの原因になるといわれますが、それらは自律神経が乱れることで引き起こされることがあります。
自律神経は交感神経と副交感神経で成り立ち、その2種類の自律神経が一日のうちにバランスよく働くことで身体の恒常性が維持されます。
ところが、ストレスなどによってどちらか一方が継続的に働きすぎたり、活動が低下したりすると、しだいに身体に様々な異常が現れることもあります。当然、肌の調子が悪化することもあるのです。
ストレスとサブスタンスPの関係
ストレスやイライラを感じると自律神経のうち、交感神経が活性化しますが、その時に交感神経節からサブスタンスPという伝達物質の放出が促されるようになります。
サブスタンスPとは、交感神経節の神経線維の末端から放出される11個のアミノ酸からなる伝達物質で、神経ペプチドの一種です。
痛覚、炎症、かゆみなどの皮膚病変の発現に関与し、炎症反応を悪化させる原因となってしまいます。
サブスタンスPはヒスタミン放出を促す
ストレスによって発生したサブスタンスPは、肥満細胞(マスト細胞)を刺激してヒスタミンの放出を促します。
ヒスタミンとは、アレルギー反応や炎症反応に関与する生理活性物質の一つで、主に皮膚のかゆみとして現れやすいのが特徴です。
過剰に発生したヒスタミンは知覚神経に作用し、その刺激が脳に伝わることでかゆみを感じるようになるのですが、問題はその刺激によってサブスタンスPの放出が促され、さらにヒスタミンの放出が促されるという増強サイクルをつくってしまうことです。つまり炎症やかゆみの悪循環に陥るのです。
例えば、ストレスやイライラによって皮膚が一時的にかゆくなったり、アトピー性皮膚炎がストレスで炎症やかゆみが増強したりすることがありますが、その原因の一つがストレスによって発生したサブスタンスPによるものです。
サブスタンスPがヒスタミンの遊離を促してかゆみをもたらしていると考えられます。
サブスタンスPは炎症性サイトカインの放出を促す
交感神経節から放出されるサブスタンスPは、表皮内のケラチノサイト(表皮細胞)に作用して炎症性サイトカインの放出を促します。
その結果、正常なターンオーバー(肌の生まれ変わり)が乱れるようになり、毛穴がつまってニキビができやすくなることがあります。
また、サブスタンスPによって発生した炎症性サイトカインの働きによってニキビ肌荒れが悪化することもあります。
ある実験においてサブスタンスPを皮内投与したところ、病変が悪化して肌のバリア機能が乱れ、皮膚炎の回復が大幅に遅れたという結果が報告されています。
毛細血管拡張と血管透過性亢進作用がある
サブスタンスPは炎症反応に関与します。ニキビが発生すると、まず毛細血管拡張作用により血管を広げます。
そして血管透過性を高めて血中に存在する白血球が血管を通過してターゲットに届きやすい状態に導きます。
この免疫システムによって白血球がニキビの原因菌であるアクネ菌を攻撃することができるようになり、最終的にニキビが自然に治っていきます。
ところが、この毛細血管拡張と血管透過性亢進作用によってニキビの腫れが大きくなり、炎症やニキビ跡の赤みを悪化させる原因にもなります。
炎症反応における血管拡張や血管透過性亢進はサブスタンスP以外にも様々な物質が働いています。プロスタグランジン、ヒスタミン、ブラジキニンなども血管拡張や血管透過性亢進作用があります。
サブスタンスPは皮脂分泌を促す
イライラやストレスを感じると自律神経のうち交感神経が活発に働きますが、皮膚においては皮脂腺周辺に存在する交感神経節からサブスタンスPの放出が促され、それが皮脂腺に作用して皮脂の分泌を促すといわれています。
皮脂の増加はニキビの大きな原因の一つです。皮脂の増加によって皮脂中に含まれる遊離脂肪酸も増加し、それが皮膚を刺激することで毛穴が塞がってニキビができやすい環境を作ってしまいます。皮脂が増える思春期にニキビが多発するのも、皮脂の増加が主な原因です。
ストレス解消法
ストレスは様々な炎症物質を発生させて肌荒れを悪化させてしまいます。
また、ストレスが皮脂を促したり、ターンオーバーを乱してニキビの原因になることがあります。そのため、ニキビ肌荒れを治すにはストレス対策が必要だといえます。
ストレスをゼロにするのは難しいですが、できる限りいろいろ行動して発散するようにしましょう。
本人は気づいていなくても意外とストレスは溜まっているものです。ストレス解消法は主に以下のようなものがあります。
- 汗をかくような運動がストレス解消につながります。爽快感がある運動がストレスホルモンを消失してくれます。ゆっくりとした散歩程度よりもジョギングが適しています。
- 友達とおしゃべりすることでかなりストレスが軽減されるようです。1~2時間ほどの会話で良いようです。
- カラオケなどで大きな声を出すとストレスが解消されます。ドライブ中、車の中で大きな声で歌ったりしても良いです。
- 好きな音楽を聴いてリズムにのることでストレスが軽減します。
- 嫌なことを忘れて趣味や好きなコトに集中することでストレスが解消されます。
- お風呂に肩までゆっくりつかることでもストレス解消につながります。湯船につかってゆっくりと深呼吸してみましょう。
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