ナジフロキサシンクリームはニキビや毛嚢炎に効果大。使い方、副作用について

ナジフロキサシンクリームの画像 ナジフロキサシンクリーム1%は皮膚科で処方される抗菌薬を主成分とした塗り薬。

クリームタイプの他にナジフロキサシンローション1%の2種類があります。

この塗り薬は様々な細菌に対して優れた抗菌作用を示します。一般的に強い炎症を起こした症状(ニキビ、毛嚢炎、おでき、とびひなど)の治療に使用されます。

ニキビ治療薬の中でも刺激感やアレルギーなどの副作用が少ないお薬なので、古くから使用されてきた歴史があります。ところが、抗菌薬であるためニキビ体質の人においては長く使いづらい問題もあります。

ここでは、ナジフロキサシンのニキビへの効果や使い方、薬が効かなくなる問題、副作用などを詳しく解説してきます。

効果

ナジフロキサシンクリームの主成分「ナジフロキサシン」はキノロン系抗菌薬です。薬1gあたり10mg配合します。

その系統の成分は炎症の原因となる細菌のDNAの複製を妨げて殺菌し、より早く炎症をしずめます。

幅広い細菌に対して殺菌効果があり、ニキビの原因菌であるアクネ菌や強い炎症をもたらす黄色ブドウ球菌などにも良く効きます。

また、ひどい化膿性皮膚疾患はレンサ球菌という細菌が関与していることがありますが、そのレンサ球菌にも効果があります。

効果的な症状

ニキビと毛嚢炎の画像 ナジフロキサシンクリームは、ニキビ、毛嚢炎、おでき(せつ)、耳せつ、とひびなどに効果があります。それらはすべて「細菌」が原因となる皮膚炎で、炎症が強い症状、化膿した皮膚病に効果的です。

一方で真菌(カビ)が原因となるカンジダ症、マラセチア毛包炎、水虫、脂漏性皮膚炎などや、ヘルペス、帯状疱疹などのウイルスが原因となる皮膚病には効果がありません。アトピーにも効きません。

ただし、それらの症状が悪化して二次感染症を起こし、それが化膿した場合はナジフロキサシンが効く可能性があります。

抗菌薬というと、微生物が原因となるあらゆる皮膚病に効くように思えますが、細菌と真菌(カビ)とウイルスは性質に違いがあるので、効く症状と効かない症状があるのです。

炎症が強いニキビや毛嚢炎に使用する

赤ニキビの画像 ナジフロキサシンはニキビや毛嚢炎などに使用されることが多いのですが、一般に炎症が強い症状、化膿した皮膚病変に使用して下さい。

抗菌薬は使い続けると耐性菌(抵抗性をもった菌)が生まれて成分が効きにくくなることがあるため、安易に使わないことが原則です。白ニキビの場合は市販薬でも治ります。毛嚢炎においても軽いものは放っておけば数日で治ります。

また、炎症性が強いニキビであれば、背中や胸(デコルテ)、腕や脚、お尻などのニキビにも使用できます。

4週間後の効果

炎症ニキビに対してナジフロキサシンを使った4週間後の画像。

キレイに炎症は引いています。色素沈着は残ってますが日焼けをさければ時間の経過と共に薄くなります。

赤ニキビの減少率

このお薬の効果をわかりやすく示すため、以下のような画像を作ってみました。

ナジフロキサシンの炎症ニキビ減少率の画像グラフ

上のグラフは、皮膚科のニキビ薬における、使用開始から12週間後の炎症にきびの減少率を表したもの。

それぞれのお薬を使い続けると3か月後にはどれくらい赤ニキビが減ってるのかを調査してもので、それぞれの薬の結果をまとめました。

  • 角化抑制薬アダパレンゲル(先発品:ディフェリンゲル)が約64%
  • 酸化殺菌薬ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)が約72%
  • 抗生物質クリンダマイシン(先発品:ダラシンTゲル)が53%
  • 抗菌薬ナジフロキサシン(先発品:アクアチム)が約53%
  • 抗菌薬オゼノキサシン(先発:ゼビアックス)が約54%

最も効果が高いのはベピオゲルやアダパレンゲルです。そのため、その2つのニキビ薬が処方されることが多くなっています。

ただし、その2つのお薬は肌への刺激性が強い欠点があります。

そして、ナジフロキサシンはクリンダマイシンやオゼノキサシンなどとほぼ同じレベルの効果があります。だいたい53~54%くらいの数値結果であり、抗菌薬はどれも効能に大きな違いがないことがわかります。

ナジフロキサシンはアダパレンゲルやベピオゲルなどと比べれば効果は低いのですが、刺激性が極めて低いので、肌が弱い人や薬でかぶれやすい人などにおいても安心して使えるメリットがあります。

ニキビ跡の改善効果はある?

ニキビ跡の赤みの画像 ニキビが悪化するほど赤みや炎症後色素沈着(ぼやけたシミ)が強く残ってしまうことがありますが、ナジフロキサシンはそういったニキビ跡には全く効果はないです。

クレーター状の陥没凹みやケロイドなどにも効果は期待できません。

かえって悪化することがある?

ナジフロキサシンクリームを使って逆にニキビが悪化してしまったと感じる人もいます。副作用の他に考えられる可能性は添加物です。この薬の添加物には、

ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリソルベート60、グリセリン、プロピレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリルアルコール、セタノール、パラフィン、流動パラフィン、カルボキシビニルポリマー、ミリスチン酸イソプロピル、スクワラン、pH調整剤(水酸化Na)、エデト酸Na

を含みますが、そのうちの「パラフィン」、「流動パラフィン」、「スクワラン」などの油脂成分が毛穴をふさいでニキビを悪化させてしまう可能性があります。

また、ニキビは単にストレスや食生活で悪化することもあります。ニキビ治療の場合は、塗り薬と共に生活習慣を見直すようにして下さい。

耐性菌が多い?

ナジフロキサシンの販売は1993年から始まりましたが、わりと長く使われているので耐性菌が多いとされます。過去に使ったことがある人は、この薬が効きにくいかもしれません。

使い方と注意点

薬を塗る画像 ナジフロキサシンクリームの使い方は、洗顔やクレンジングをして皮脂汚れを落とし、化粧水で肌を整えた後にニキビや毛嚢炎などに塗って下さい。使用回数は朝と夜の1日2回の使用が目安です。

そして、治療期間中は紫外線対策をして下さい。まれに光線過敏症を起こす可能性があるため紫外線そのものを浴びないようにするのが理想です。

そして、使用期間は、1つのニキビあたり1~2週間以内が目安です。炎症が治るまで集中的に使い続けて治療を終了するのが基本です。抗菌薬ですので、使ったり使わなかったりすると耐性菌が出現して薬が効きづらくなることがあります。

ベピオゲルと組み合わせる場合の塗る順番

ベピオゲルの画像 ニキビ治療の場合、皮膚科で処方されるベピオゲルという殺菌薬と併用することでより高い効果を得られます。

使う順番は、ベピオゲルを先に塗ってからナジフロキサシンクリームを塗って下さい。

ディフェリンと合わせて使える

ディフェリンゲルの画像 皮膚科ではニキビ治療にディフェリンゲルという薬が良く使用されます。その薬とナジフロキサシンを組み合わせることで相乗効果を得られます。

塗る順番はディフェリンゲルを塗って落ち着いた後にナジフロキサシンを塗ります。

保管方法

ナジフロキサシンの保管については、日光や気温や湿度が高くなる環境を避けて常温で保管します。冷蔵庫保管は必要ないです。

使用上の注意点

ナジフロキサシンは抗菌薬ですので長期にわたって使い続けることは好ましくありません。そして、ニキビ治療の場合は4週間使用して効果のない場合は中止して違う薬に変更すべきとされます。

処方してもらうには?

薬剤師が薬を処方する画像 ナジフロキサシンクリーム(ローション)は、医師の処方箋が必要です。皮膚科などを受診してニキビや毛嚢炎などの症状があれば処方してもらえると思います。薬価は、1gあたり約29円、製品10gで290円くらいです。

ニキビ治療の場合はローションタイプが処方されることも多いと思いますが、クリームタイプでもベトベトせずにサラッと使えます。

なお、ニキビ治療の場合はベピオゲルやディフェリンゲル、エピデュオゲルなどの抗菌薬ではない塗り薬が処方されることが多くなっていて、ナジフロキサシンが処方されることは従来より少なくなりました。

重症の場合は内服治療も

ミノマイシン 重度ニキビの場合、皮膚科ではナジフロキサシンなどの外用薬と共に抗生物質の内服治療をすすめられることがあります。

主に、ミノマイシン(ミノサイクリン)、ビブラマイシン、ルリッド(ロキシスロマイシン)、ファロムなどが良く処方されます。

抗生物質の飲み薬には耐性菌の発生や下痢などの副作用が現われる問題もありますが、ほとんどの人が赤ニキビの改善に向かいます。

清上防風湯 また、ニキビ体質の人(炎症体質の人)は医師から漢方薬がすすめられることもあるかもしれません。

悪化したニキビには、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)などが良く処方されます。保険適応です。

薬の形状

「ナジフロキサシンクリーム1%」と「ナジフロキサシンローション1%」の2種類があります。先発品のアクアチムには軟膏タイプ(アクアチム軟膏1%)もあります。

副作用

ナジフロキサシンによる副作用の発現率は1.44%(4174例中)と報告されています。

そして、主な副作用は、あかみ、ほてり、刺激感、かゆみ、乾燥などです。

なお、この副作用の発生レベルはニキビ薬の中でもかなり低いです。刺激性が低いことを理由にこのお薬を処方する医師も多いです。

とても刺激性の低いお薬なので、ほとんどの人は問題なく使えると思います。ほんのり赤みがでても症状が軽くて一時的なものであれば使い続けて大丈夫です。

そして、そういった一時的な副作用は肌が薄い敏感肌の人に現われやすいです。加齢によっても肌が薄くなってくるため、30代や40代以降は赤みが現われやすいかもしれません。

赤みやかゆみが強い場合は?

どんな塗り薬でも少なからず刺激性があるものなので、少しくらいの違和感であれば継続しても問題ないと思いますが、ニキビがはっきりと悪化したり、赤みやかゆみが強くなった場合は必ず使用中止しましょう。

特にかゆくなった場合は、かぶれを起こしている可能性があります。かぶれとはアレルギーによる接触皮膚炎のことです。

ニキビがかゆくなったりすると炎症が長引いてニキビ跡がひどくなってしまうことがありますので、絶対に使い続けたりしないで下さい。跡が悪化してクレーターやケロイドのリスクが高くなります。

そして、かぶれたら医師に診てもらいましょう。病院では非ステロイド系の消炎薬(スタデルム軟膏やベシカム軟膏)などの塗り薬が処方されたりします。

ただ、アクアチムのような安全性が高いお薬でかぶれてしまうような人は、使う外用薬の選択肢が限られることもあると思います。

また、かぶれの治療に、ロコイド軟膏やキンダベート、リンデロンVGといったステロイドを使う皮膚科医もいると思います。

ただし、ステロイドはニキビの回復力を悪化させてしまう欠点もあるので、判断が難しいところです。