難治性ニキビの原因と治し方 「塗り薬・飲み薬」を使った治療法一覧

難治性ニキビの画像 難治性にきびとは、赤く炎症したニキビが次々と多発して、一般的な治療を行っても治りにくい状態をいいます。ニキビが化膿して赤黒くなり、硬くてしこりのような状態になることも多いです。

一度治っても同じ場所に再びニキビが繰り返し発生することも多く、ニキビ跡の赤みや色素沈着がひどく残ったり、皮膚の破壊が進行してクレーター状に凹んだ状態になりやすい傾向があります。

難治性ニキビは自己ケアだけでは治りにくいため、ニキビ痕を予防するためには皮膚科・美容クリニックなどで早期に専門的な治療を受けるのが理想的です。難治性ニキビは、従来は病院治療においても効果を維持するには難しいところがありましたが、近年では様々な美容法・治療方法が確立し、劇的な改善効果を得られるようになっています。

難治性ニキビの原因とは?

体質的に皮脂量が多い

体質的に皮脂分泌が非常に多く、年間を通して肌がベタベタした脂性肌の人はニキビが難治性になりやすい傾向があります。皮脂の増加でニキビが発生する仕組みは以下の通りです。

1毛穴の奥に生息するアクネ菌は細菌性リパーゼを分泌し、皮脂を分解して遊離脂肪酸(オレイン酸やパルミトレイン酸など)を産生します。皮脂の増加に比例して遊離脂肪酸も増加します。
2遊離脂肪酸は皮膚を刺激して炎症を誘発し、その影響で毛穴周辺のターンオーバーが活発になります。そして、皮膚が厚くなり毛穴が塞がってしまうようになります。
3ふさがった毛穴内部(毛包)でアクネ菌が増加し、免疫反応によって本格的に炎症を起こします。これがニキビです。
4免疫反応によって様々な生理活性物質、情報伝達物質が発生し、炎症・腫れを悪化させます。そして、白血球はアクネ菌を飲み込み、活性酸素を発生させて攻撃します。この活性酸素によって肌は大きくダメージを受けます。これらの炎症反応が皮膚の深い部分で発生し、長引いてしまうとニキビが化膿したり、しこりになったりします。

難治性ニキビの原因は、皮脂の増加によってターンオーバーが過剰に進んでしまうことが主な要因です。そのため、皮脂をコントロールするスキンケアが必要です。

皮膚が厚い肌質

一概にはいえませんが、皮脂量が多い肌質と同時に、表皮が厚い肌質の人ほどニキビが多発しやすい傾向があります。表皮が厚くてターンオーバーが活発な人は、皮脂による刺激によって大きく角質肥厚を起こしやすいようです。

ちなみに、加齢によってニキビができなくなるのは皮脂の減少とともにターンオーバーが低下したり、皮膚が薄くなってきたりするためです。ニキビができやすいというのは、それだけ肌が若い証拠であるといえます。

人種的にいえば、白人種の思春期は日本人よりもニキビが難治性になりやすい傾向があります。白人種は日本人よりも20~30%ほど表皮層が厚いといわれ、それがニキビが深刻になりやすい要因かもしれません。

ストレス

女性の肌の悩み ストレスやイライラは男性ホルモンの増加を促します。男性ホルモンは皮脂の増加や角化異常を起こす原因です。また、ストレスは生理活性物質の発生を促し、炎症性サイトカインを発生させてターンオーバーを乱すことがわかっています。女性の大人ニキビが難治化する原因はストレスの影響が大きいといわれています。

化粧品に注意

化粧品の画像 肌質に合わない化粧品を使用することで一気にニキビが多発することがあります。リキッドファンデーションや油分の多い乳液、美容液などはターンオーバーを乱す油脂成分が含まれていることがあります。例えば、エモリエント成分としてよく使用されるオリーブ油やアーモンド油、アボカド油などの油脂や、オレイン酸やリノール酸などの脂肪酸は肌を刺激してターンオーバーを乱す性質があります。

難治性ニキビができやすい場所

大人ニキビ 難治性ニキビができやすい場所は、顔の頬、こめかみ、アゴ、Uゾーン(フェイスライン)、背中、胸などです。皮脂分泌が多い部分やターンオーバーが活発な部分がニキビが繰り返し発生しやすい傾向があります。特に、大人のニキビといわれる思春期以降に発生するにきびは、Uゾーン(フェイスライン)などの顔の下側に多発し、なかなか治りにくいケースがあります。

ニキビを潰したりすると腫れが悪化することがある

ニキビを潰す画像 化膿したニキビを潰す行為は、かえって症状が悪化したりニキビ痕がひどくなってしまうことが多いです。ニキビには早期に潰した方が良い場合もありますが、それは比較的に軽度のニキビ(白ニキビ)で芯が確実に取れる状態です。炎症したニキビに刺激を与え、にきびの芯出しが中途半端になると、かえって腫れが悪化してしまうことがあります。悪化したニキビは潰さずに治すのが基本です。

難治性にきびの治療方法一覧

ケミカルピーリング

ピーリングの画像 ケミカルピーリングとは、角質を剥がす作用がある成分を使用して毛穴つまりを解消する美容法です。ニキビは角質が厚くなることで発生しますが、その角質を穏やかに除去してあげることでニキビの発生を抑えることができます。

難治性ニキビに良く効きますが、やりすぎると皮膚が薄くなってしまう欠点があります。ケミカルピーリングは一般に皮膚科、美容クリニックなどで行われていて、用いられる成分には主に「グリコール酸」や「サリチル酸」などがあります。

グリコール酸ピーリング

グリコール酸は、自然界ではサトウキビなどに含まれる有機酸で、皮膚においては角質を剥がす効果があります。水に溶けやすく肌と馴染みが良いことから角質ケア成分として医療や化粧品などに広く用いられます。

サリチル酸マクロゴールピーリング

サリチル酸マクロゴールは、角質を柔軟にする作用があるサリチル酸にマクロゴールという基剤を組み合わせたもので、非常に安定性の高いピーリングを行うことができます。術後のヒリヒリ感などが少ないメリットがあります。

ケミカルピーリングは2~3週間に1回ペースで行い、併用してフォトフェイシャルやイオン導入などの治療を行うとさらに高い効果を得られます。施術後には保湿や紫外線ケアなどのアフターケアが必要です。

自宅でホームピーリング(角質ケア)

市販されているピーリング化粧品を使用することで自宅でも穏やかな角質ケアを行うことができます。ただし、長く使い続けると、皮膚が薄くなってバリア機能が弱くなってしまう欠点があります。そのため、ニキビが治りにくい時だけ使用しましょう。にきび予防として長々と使ってはいけません。

ピーリング化粧品には、洗顔料、化粧水などがあります。角質ケア成分は、フルーツ酸(AHA)といわれるグリコール酸、乳酸、リンゴ酸などや、サリチル酸(BHA)が良く用いられます。また、パウダー酵素洗顔としてパパイン酵素やプロテアーゼなども角質ケア効果があり、角質肥厚によるニキビや毛穴のつまりに良く効きます。
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ピーリングの際は、強くこするように使用すると逆にニキビを誘発してしまったり色素沈着を起こしやすくなります。肌を刺激しないように優しく使用することがポイントです。また、繰り返しになりますが、やりすぎは禁物です。ニキビが治りにくい場合にのみ使用しましょう。

トレチノイン治療(レチノイン酸)を用いた治療

トレチノインの画像 トレチノイン(レチノイン酸)とは、ビタミンA(レチノール)の誘導体で、ビタミンAの何十倍もの生理活性をもつ成分です。トレチノインは、角質を剥がす作用、皮膚細胞を増殖させてターンオーバーを促進させる作用などがあり、角質肥厚を改善して、毛穴つまりを予防します。

また、角質を剥がれやすくすることでニキビの芯や膿の排出を促します。ニキビ跡の色素沈着にも早い改善が期待できます。他にも、トレチノインには皮脂腺の活動を抑制する働きがあり、皮脂過多による難治性ニキビにも効果があります。

アメリカではニキビ治療に対してトレチノインが積極的に用いられることがありますが、日本では厚生労働省は認可していません。トレチノインは、難治性ニキビに対して即効性があるのですが、使用中に肌の剥離、乾燥、赤み、ヒリヒリ感などの副反応が強く現れることがあり、使い方が難しいところがあるためです。ただし、日本でも一部の皮膚科・美容クリニックにおいてトレチノインを使用したニキビ治療を行っているところがあります。自由診療です。

トレチノインにおいてもピーリングと同様にやりすぎには注意する必要があります。トレチノインには角質を剥がす作用やターンオーバーを促進する作用がありますが、それは肌老化を促す作用があるということです。

ディフェリンゲル(アダパレン)は赤ニキビに効く?

ディフェリンゲル(アダパレン)の画像 皮膚科で処方されるニキビ治療薬の一つにディフェリンゲル(一般名:アダパレン)があります。これはレチノイド(ビタミンA誘導体)に似た作用をもつ「ナフトエ酸(ナフタレンカルボン酸)誘導体」を主成分とした塗り薬で、トレチノインと似た働きを持ちます。ただし、トレチノインが角質を剥がして毛穴つまりを予防する働きがあるのに対し、ディフェリンゲルの場合はターンオーバーを抑制することで毛穴がふさがってしまうことを予防します。皮膚が厚くなってしまう現象を抑えてニキビを改善します。

効果としてはディフェリンゲルは炎症が進行した難治性ニキビにはあまり効果が得られないことが多いです。日本で認可されているレベルの濃度では進行したニキビを治すには不向きで、トレチノインよりも効果や即効性は劣ります。

抗生物質による治療

ニキビの炎症が強くなった場合は、抗生物質・抗菌薬が使用されることがあります。抗生物質には耐性菌を生むリスクがあるため、安易な使用は避けられる傾向がありますが、赤く炎症したニキビが多発した場合は積極的に用いられることが多いです。抗生物質には内服薬と外用薬があり、皮膚科医の判断によって適切な種類のお薬が処方されます。

抗生物質・抗菌薬の「塗り薬」

ニキビ治療で処方される抗菌薬(抗生物質)の塗り薬の画像
  • ダラシンTゲル、ダラシンTローション・・・クリンダマイシンというリンコマイシン系抗生物質で、炎症が強いニキビによく使用されます。ゲルタイプがよく処方されます。
  • アクアチムクリーム、アクアチムローション、アクアチム軟膏・・・ナジフロキサシンというニューキノロン系抗菌剤で、炎症したニキビに有効です。クリームタイプがよく処方されます。
  • ゼビアックスローション・・・オゼノキサシンというニューキノロン系抗菌薬を主成分としたお薬です。アクアチムと同じように刺激性などの副作用が少ないので、敏感肌にも使いやすいです。

抗生物質・抗菌薬の「飲み薬」

抗生物質ファロム(ファロペネム)の画像
  • ミノマイシン、ビブラマイシン・・・テトラサイクリン系抗生物質。
  • ルリッド、クラリス・・・マクロライド系抗生物質。
  • フロモックス、セフゾン、バナン・・・セフェム系抗生物質。
  • ファロム・・・ペネム系抗生物質。
  • クラビット・・・ニューキノロン系抗菌薬。

抗生物質を使用する場合は、耐性菌を生じないために炎症が治まるまで一定のペースで飲み続けます。使用期間は1~3か月ほどになることがあります。

化膿ニキビに効く漢方薬

清上防風湯 難治性ニキビには、漢方薬を利用するのも一つの方法です。漢方の考え方では、「気・熱(エネルギー)」が多すぎることが赤ニキビが多発する原因だと考えます。炎症したニキビ治療に使用される漢方薬は、その過剰な気を抑える生薬や、腫れや炎症を抑える生薬が配合され、ニキビ体質の改善に導きます。抗生物質に抵抗がある場合は一度試してみるとよいかもしれません。

  • 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)・・・エネルギーを作り出す力が強く、ニキビが多発して化膿しやすい人に有効です。ニキビ治療によく使用されます。
  • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)・・・化膿性の疾患に使用される漢方薬です。特に女性の大人ニキビに効果的です。
  • 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)・・・顔や身体のどこにでも化膿ニキビができやすい人に効果的です。
  • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)・・・体力が中程度以上で、ニキビが慢性的に化膿しやすいという人に向いています。

上記の漢方薬にはいずれも「甘草(かんぞう)」という生薬を含みます。甘草は、優れた消炎作用がありニキビの腫れを治す効果が期待できます。

女性の場合はピルを使用した治療

マーベロン(ピル) 女性の難治性ニキビの治療にピルが使用されることがあります。ピルとは女性ホルモンがバランスよく配合されたお薬です。ピルを使用すると、体内の女性ホルモンが一定のレベルになり生理前ニキビを予防します。また、ピルには男性ホルモンを抑制する作用がり、皮脂分泌や角化異常を抑える効果が期待できます。ニキビ治療におけるピルの改善率は70%というデータがあります。ニキビ治療には、マーベロンというピルがよく使用されます。

スピロノラクトン

スピロノラクトン 女性の難治性ニキビにはスピロノラクトン(製品名:アルダクトンA)という飲み薬で劇的な改善が期待できます。スピロノラクトンには男性ホルモンのレセプターをブロックする働きがあり、男性ホルモンがもたらす皮脂増加を軽減させることができます。成人女性のニキビ治療にとても効果があり、ピルと併用して使用されることもあります。短所は副作用が多く、例えば高い確率で月経不順を起こしたりします。また、男性ではスピロノラクトンで乳房が大きくなったりする副作用が現れるため、基本的にこの治療は行いません。