ニキビ治療薬アクアチムクリームの効果。使い方や副作用について

アクアチムクリームの画像 アクアチムクリームは皮膚科で処方されるニキビ治療薬。

アクアチムは優れた抗菌作用によってニキビの原因菌を死滅させて腫れを治す効果があります。そして、このお薬の良いところは副作用が少ないところです。

一方で、抗菌薬であるため使い続けると薬が効きにくくなる問題もあります。

今回は、そんなアクアチムクリームの効果と使い方、副作用などをいろいろ詳しく解説していきます。

アクアチムとは?

アクアチムクリームの画像 アクアチムクリームは、ナジフロキサシンというキノロン系抗菌薬を主成分とした塗り薬です。細菌のDNAの複製を阻害して殺菌的に作用します。

皮膚科では、主にニキビやおでき、毛嚢炎、とびひなどの細菌が原因となる炎症性皮膚疾患に処方されます。

ニキビがより早い段階で治ることで、ニキビ跡の赤みやモヤモヤしたシミ(色素沈着)の悪化を予防することができます。また、クレーターやケロイドの予防にもつながるはずです。

中程度のニキビであれば、アクアチムの使用によって2~3日くらいほどで炎症が治まってきます。

ニキビへの効果

以下はアクアチムと他の薬の改善率を比較した画像。わかりやすいように作ってみました。

アクアチムの炎症ニキビ減少率の画像グラフ

アクアチム効果についてですが、治療から12週間後の赤ニキビの減少率を調査した結果では53.3%の減少率と報告されています。(何もしない場合は30%代)

これはディフェリンゲルやベピオゲルなどには劣りますが、他の抗菌薬(ゼビアックスやダラシンTゲルなど)とはほとんど同じレベルの改善率です。

基本的に抗菌薬であればどのお薬を使っても大きな違いはないようです。

なお、現在では皮膚科のニキビ薬というとディフェリンゲルやベピオゲルの処方が増えていて、赤ニキビの減少率はそれぞれ64.1%、72.7%となっています。

なのでそれらが第一選択肢として処方されることが増えています。ところが、それらのお薬は刺激性が強いので肌が弱い人には適していなかったりします。敏感肌の人は使わないほうがいいです。

炎症レベルの強い皮膚疾患に効果的

画像は、炎症ニキビに対してアクアチムクリームを使った4週間後の効果。(ビフォーアフター)

腫れだけならば2週間ほどで治り、1か月くらいすれば赤みも引いていきます。

細菌が原因の炎症が強い症状に使われる

アクアチムクリームのような抗菌薬は、赤ニキビや化膿した毛嚢炎、おでき(せつ)、とびひといった細菌が原因の炎症レベルが強い症状に使用されます。

抗菌薬は長く使ったり、中途半端な使い方になったリすると効きにくくなることがあるため、白にきびや黒ニキビといった軽い状態には用いられません。

なお、皮膚科では軽いニキビに対してはベピオゲルやディフェリンゲル、イオウカンフルローションなどが処方されることが多いです。

また、アクアチムは顔だけではなく炎症性の強い背中ニキビや胸のニキビなどにも使うことができます。腕や脚などにおいても症状がニキビや毛嚢炎などであれば効果があります。

ニキビ跡に効く?

アクアチムクリームはニキビ跡の赤みやモヤモヤしたシミには効きません。クレーターやケロイドなどにも効果はありません。単純にアクネ菌などの細菌を抑制する抗菌薬であるため、それ以上の効果は期待できません。

悪化することもある

女性の肌の悩み アクアチムを使って逆にニキビが悪化したと感じる人がいます。また、かえってニキビが増えたという人もいます。

考えられる原因は、お薬が効きづらいことや、副作用で刺激による赤みが増したこと、添加物の油分がニキビや毛穴詰まりの原因になったことなどがあげられます。

一時的に赤くなったくらいなら問題ありませんが、アクアチムでニキビがはっきりと悪化したら、皮膚科を受診して違うお薬に変えてもらったほうが良いでしょう。

最大のメリットは刺激性がかなり低いこと

刺激性やアレルギーを起こすことも少なく、広く使いやすいメリットがあり、皮膚科で処方されるニキビ治療薬として長く使い続けられてきた歴史があります。

ゼビアックスローションよりも効果は劣る?

ゼビアックスローションの画像 アクアチムと同じキノロン系抗菌薬のニキビ治療薬に、ゼビアックスローションという塗り薬があります。

ゼビアックスは、オゼノキサシンを主成分としたキノロン系抗菌薬で、同じ系統のアクアチムと同じような効果を示しますが、アクアチムよりもゼビアックスのほうが抗菌作用が強いとされます。

さらにゼビアックスローションは1日1回の使用でニキビを治す効果があります。そのため、アクアチムに代わってゼビアックスローションが処方されることも多くなっています。

ただし、実際に使用した場合のニキビ改善効果に大きな違いはないようです。

使い方

薬を塗る写真 アクアチムクリームの使い方は、1日2回、朝と夜、洗顔をして肌を清潔にし、化粧水で肌を整えた後にニキビに適量塗ります。

ニキビからはみ出さないように塗りましょう。分厚く塗ったりする必要はありません。

予防のためとしてニキビがない部分など、広範囲に塗ってはいけません。そして、使った後は紫外線対策をして下さい。できるだけ紫外線そのものを浴びないようにしましょう。

注意点

アレルギー体質の人や、過去にお薬でアレルギーを起こしたことがある人は医師や薬剤師に伝えてください。

ディフェリンゲルと組み合わせる場合の使う順番

ディフェリンゲルの画像 ニキビで皮膚科を受診すると、アクアチムクリームと共にディフェリンゲルやベピオゲルという塗り薬が一緒に処方されることがあります。

それらを組み合わせて使うときの塗る順番は、ディフェリンゲルやベピオゲルを塗った後にアクアチムクリームを塗って下さい。

保管方法

アクアチムクリームの保管方法は、日光や高温になりにくい冷暗所に保存するのが原則です。保管方法が悪いと製品が劣化してしまう可能性があります。また、特に冷蔵庫に保存する必要はありませんが、保管してもかまいません。

処方してもらうには?

アクアチムクリームは医師の処方箋が必要です。一般的な市販薬として購入できるものではありません。皮膚科などを受診して処方してもらって下さい。ニキビ治療の場合は保険適応です。

薬の形状

アクアチムクリームの画像 アクアチムの形状には、アクアチムクリーム1%、アクアチム軟膏1%、アクアチムローション1%の3種類があります。

皮膚科ではクリームタイプがよく処方されますが、クリームタイプはワセリンなどの油分を含んでいるため、脂性肌のニキビ治療にはローションタイプが理想です。クリームタイプでもサラッとしていて使いやすいと思います。

使用期間の目安

アクアチムクリームは2~4週間ほどの使用期間が目安です。アクアチムのような抗菌薬は、長く使い続けると細菌が耐性を獲得してしまって、お薬が効きにくくなる問題があるため、限定的な使用に留めます。

全成分(主成分と添加物)の効能や役割

アクアチムクリームに含まれる主成分と添加物を含む全成分の効能は以下の通りです。

    主成分
  • ナジフロキサシン1%・・・アクアチムクリームの主成分。細菌のDNAの複製を阻害して殺菌的に作用し、ニキビの治りを早めます。
  • 添加物
  • ステアリルアルコール・・・乳化の安定を高める成分です。
  • セタノール・・・乳化の安定性を高める成分です。また、肌に馴染んで保護膜を作り、肌のバリアを高めます。市販の保湿クリームや乳液などにもよく配合されます。
  • ジエタノールアミン・・・製品のテクスチャー(質感)をもたらす成分です。
  • エデト酸ナトリウム水和物・・・品質を安定させる成分です。
  • 白色ワセリン・・・基剤として使用されます。また皮膚を保護する働きもあります。
  • 軽質流動パラフィン・・・ミネラルオイルのことです。保湿作用や若干の乳化作用があります。
  • ポリオキシエチレンセチルエーテル・・・アクアチムクリームの乳化作用を高める成分です。
  • 水酸化ナトリウム・・・アクアチムクリームの乳化を高める成分です。
  • 濃グリセリン・・・保湿作用やクリームの粘性を高めるために配合されます。市販の保湿化粧品にも良く使用されています。

アクアチムクリームは乳化剤を含んでいるため、肌が乾燥する人や、敏感肌で肌のバリア機能が弱い人はやや刺激性が強いかもしれません。

アクアチムクリームの副作用

アクアチムクリームの臨床試験においては、4174例中1.44%に副作用が現われたと報告されています。

これはニキビ薬の中でも副作用の発現率がとても低いレベルです。

副作用は主に、赤み、ほてり、刺激感、かゆみ、乾燥、接触皮膚炎などです。

肌が薄くて敏感な人ほど、アクアチムによる副作用が起こりやすいですが、軽度のもので一時的な現象であれば使い続けて問題ありません。

ただし、強いかゆみやヒリヒリ感が現れたらかぶれ(接触皮膚炎)を起こしている可能性があるため、異常が現れたら使用中止して皮膚科を受診して下さい。

特に、かゆみの場合はアレルギーを起こしている可能性があり、そうなるとニキビが極端に悪化してしまうため注意が必要です。

副作用は最も低いレベル

ちなみに、皮膚科でよく処方されるディフェリンゲルやベピオゲル、デュアック配合ゲル、ダラシンTゲルなどの外用薬と比べると、アクアチムの副作用はとても少ないです。

安全性が高い塗り薬であり、敏感肌でも使いやすいはずです。なお、敏感肌には軟膏タイプが適しています。

アクアチムの耐性菌の問題

細菌のイラスト アクアチムクリームのような抗菌薬を使い続けると、細菌が抵抗性を獲得した薬剤耐性菌を生じるリスクがあります。

耐性菌が現れると薬が効きにくくなることがあります。

耐性菌は中途半端な使い方によって発現しやすくなります。例えば、ニキビの腫れが治っていないのに途中で使用中止したりすると耐性菌が出現しやすくなります。

耐性菌を予防するには、アクネ菌が死滅して炎症が治るまでしっかりと使い続けてから治療を終了するのがポイントです。また、長期使用にならないことも重要です。

長く使われてきたから耐性菌が多い

アクアチムはニキビや毛嚢炎、とびひなど細菌が原因となるいろいろな症状に長く使われてきた歴史があります。

そのため、この成分に対してすでに耐性菌をもつ人も多いと考えられます。もし使い続けて「薬が効かない」、「効果ない」と感じる場合は他のお薬に変えたほうが良いでしょう。