皮脂中スクワレン酸化がニキビや毛穴開きの原因になる仕組み

キレイな肌 スクワレン(スクアレン)とは、人間の生体内で合成されている不飽和脂肪酸の一つです。深海サメの肝油の9割を占める油脂として有名で、サプリメントなどにも配合されていたりします。

そのスクワレンは皮脂中にも約10~12%ほど含まれており、保湿作用や皮膚を柔軟にして滑らかにする働きなどがあります。ただし、スクアレンは非常に酸化されやすい性質があり、その酸化の影響によってニキビや毛穴の開きが悪化してしまうことがあります。

今回はスクワレンの酸化とニキビの関係についてです。

皮脂の成分とスクワレンの割合

皮脂は以下のような物質で構成されています。スクワレンは皮脂中に約12%ほど含まれています。

  • トリグリセリド(中性脂肪)・・・約60%
  • ワックスエステル・・・約25%
  • スクワレン・・・約12%
  • コレステロールエステル・・・約1.0%
  • その他・・・約5%

皮脂は一日に約1000~2000mgほど分泌されているといわれています。その皮脂中の約12%が酸化しやすいスクワレンです。そのため、皮脂が多い人ほどスクワレンの酸化の影響も強く受け、ニキビや毛穴開きが発生しやすくなります。

皮脂膜の成分の一覧

皮脂腺から分泌された皮脂は、表皮に存在する脂質と交じり合ったり、皮膚に生息する常在菌が皮脂の分解を促したりすると、以下のような成分構造になっていきます。

  • トリグリセリド(中性脂肪)・・・約20~30%
  • ジグリセリド・モノグリセリド・・・約10%
  • 遊離脂肪酸・・・約20~30%
  • ワックスエステル・・・約20%
  • スクワレン・・・約10%
  • コレステロール・・・約1.5%
  • コレステロールエステル・・・約2.5%
  • その他・・・約4%

このうち、ニキビや毛穴の開きの原因になりやすいのは主に遊離脂肪酸やスクワレンと考えられています。

スクアレンの酸化とニキビ毛穴トラブルの関係

スクワレンの酸化は皮膚を刺激する

毛穴の黒ずみ 油脂は空気に触れたり紫外線に当たることで必ず酸化が進行します。例外なく皮脂も酸素によって酸化が進行しますが、皮脂の中で特に酸化されやすいのがスクワレンです。

そのスクワレンの酸化が進行して「スクワレン過酸化脂質」に変化すると、皮膚に対して刺激性が高くなり、炎症を誘発するようになります。

スクワレンが皮脂を酸化させてニキビを発生させる

ニキビ発生の仕組み 皮脂中スクワレンが酸化すると、連鎖的に他の皮脂中成分の酸化を促すようになります。スクワレン過酸化物の影響を受けやすいのが皮膚常在菌が皮脂を分解して生じる遊離脂肪酸です。

遊離脂肪酸は、皮膚に生息するアクネ菌などの常在菌が細菌性リパーゼ(脂肪分解酵素)を分泌して皮脂中のトリグリセリド(中性脂肪)を分解することで生じる脂肪酸です。

皮脂に含まれる遊離脂肪酸にはオレイン酸やパルミトレイン酸、パルミチン酸などが多く含まれますが、そのうち、オレイン酸やパルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸は特に酸化されやすい性質があります。

もともと酸化しやすいオレイン酸やパルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸がスクワレン過酸化物の影響でさらに酸化が進行し、刺激性の高い物質へと変化していきます。そして、不飽和脂肪酸が皮膚を刺激し続けることでターンオーバーが進行し、皮膚が厚くなって毛穴がふさがりやすくなり、ニキビやブツブツの原因になることがあります。

スクワレンの酸化が毛穴の開きの原因?

毛穴が開く仕組み オレイン酸やパルミトレイン酸などの遊離脂肪酸が長時間肌に触れていると、酸化が進行して炎症をもたらすようになります。それが結果的にニキビの原因になることがありますが、ニキビだけではなく毛穴の開きの原因になることがあります。

遊離脂肪酸による刺激によって毛穴周辺のターンオーバーが進行して、毛穴周囲が盛り上がったように見えるようになり、それが毛穴の開きにつながることがあります。また、長期的に炎症を起こすことで毛穴がすり鉢状にすり減って、毛穴が大きく開いたように見えることもあります。

毛穴の黒ずみを起こすことも

毛穴の黒ずみと色素沈着発生の仕組み 遊離脂肪酸による刺激によって毛穴の黒ずみが発生することがあります。その現象はメラニンが過剰に作られ、遊離脂肪酸による細かな炎症が続くことでターンオーバーに異常が現れ、メラニンが毛穴周辺に残ってしまうのです。

スクワレンを改良したスクワラン

スクワレンはエモリエント効果があり、保湿作用や肌を柔らかくする働きなどがありますが、非常に酸化されやすい欠点があります。非常に良い成分ですが酸化の問題があるため、化粧品などに配合することが難しい問題がありました。実際にスクワレンを配合した化粧品は品質の劣化が早くなる問題があります。

そのスクワレンの問題点を解消したのが「スクワラン」です。スクワランは、スクワレンに水素を添加し、酸化しにくいように安定させた物質です。スクワランはスクワレンと似た性質を持ちながら酸化しにくい利点があることから、エモリエント成分として美容液、美容クリーム、リップクリームなどの化粧品に多用されています。

スクワレンの酸化対策

洗顔で皮脂ケア

皮脂は時間の経過と共に刺激性が増します。そのため、1日1~2回は洗顔によって皮脂を取り除かなければいけません。肌に優しい固形石鹸などをたくさん泡立てて刺激を与えないように洗います。刺激を与えるとかえって皮脂が増加することがあります。

紫外線を浴びない

強い紫外線 紫外線は皮脂を酸化させる大きな要因です。紫外線によって皮脂中のスクワレンが真っ先に酸化してしまいます。スクワレンや遊離脂肪酸が酸化することでニキビや脂漏性皮膚炎の原因になってしまうことがあります。にきび予防には紫外線ケアをしましょう。特に皮脂が多い人は注意して下さい。

ストレスを溜めない

女性のストレス発散の画像 ストレスを感じることが多い人の皮脂を調べると、スクワレン過酸化物質が多く、皮脂の酸化が進行している傾向があることがわかっています。それがニキビや毛穴の開きにつながることがあります。

実際に大人ニキビが発生しやすい人はストレスを感じていることが多いという調査結果があります。現代社会でストレスをゼロになくすことは難しいかもしれませんが、自分なりに上手にストレス発散できるような方法を見つけましょう。

軽く汗をかけるような運動、おしゃべり、カラオケなどで大声を出す、ショッピング、音楽を聴く、入浴、睡眠などがストレス発散に効果があります。

ビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体ローション 皮脂を抑制するスキンケアの一つにビタミンC誘導体の化粧水を使った方法があります。ビタミンC誘導体とは、ビタミンCを別の物質と結合させて「誘導体」という形にし、皮膚吸収性と安定性を高めた成分です。ビタミンCには抗酸化作用、皮脂抑制作用などがあり、過剰な皮脂が原因となるニキビに対して非常に効果があります。

また、メラニン抑制作用、メラニン還元作用などもあることから、ニキビ跡の炎症後色素沈着にも非常に有効です。ビタミンC誘導体には、水溶性と脂溶性(油溶性)がありますが、皮脂型ニキビに対してはリン酸型の水溶性ビタミンC誘導体が理想的です。
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ビタミン不足にならないようにする

ビタミン ビタミン不足は肌トラブルを引き起こす大きな要因です。特にビタミンB群は、肌の代謝にとって重要な働きをしているため不足してはいけません。その中でもビタミンB2とビタミンB6は皮脂分泌を抑制する効果があるため、皮脂やスクワレンの悪影響を抑えてニキビや毛穴トラブルを防ぐことができます。

ビタミンB2が不足すると、皮脂が増加して肌が脂っぽくなり、スクワレン過酸化物も増加してニキビや毛穴開きが悪化するようになります。他にも、口内炎、脂漏性皮膚炎などもビタミンB2の不足が原因になることがあります。

一方、ビタミンB6が不足すると、皮膚炎を起こしたり、肌が脂っぽくなってニキビが発生しやすくなることがあります。皮脂分泌を抑制してニキビを予防するにはビタミンB2とともにビタミンB6も不足しないようにする必要があります。