「ニキビは絶対に潰してはダメ!!」 なんてことはよく言われること。
皮膚科のお医者さんでも、ニキビの芯出しについては考え方にいろいろ違いがありますが、一般的には「知識がないまま自己判断で潰さないこと」というのがコンセンサスのようです。
もし芯出しが上手くいかなかった場合、色素沈着や凹みといった跡が悪化したりすることがあるので、お医者さんは積極的にすすめないのかもしれませんね。
でも、ニキビは早めに潰して芯を出してあげたほうがよりキレイに治ることがあるのも事実です。
そこで今回は、ニキビを潰す動画をもとに、芯の出し方や問題点、失敗例、潰してはいけないニキビなどを解説していきます。ぜひ参考にして下さい。
皮膚を削って穴をあけ、ニキビの芯を押し出す動画
この映像は、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を使ってニキビを潰している動画です。再生回数も非常に多く、ひそかに話題となっています。
まず、炭酸ガスレーザーはアブレーションタイプという皮膚を削るタイプのレーザーで、水分に吸収されやすい性質をもちます。
そして、レーザーが皮膚に含まれる水分に吸収されて皮膚を蒸散させ、穴をあけることができます。(なお、ホクロを削る治療などにおいても炭酸ガスレーザーが使われます)。
この動画ではその炭酸ガスレーザーでこもったニキビの先端に穴をあけ、その後に皮膚をつまんでニキビの芯(角栓汚れ)を押し出しています。
この方法の問題点は、まずニキビが炎症を起こしていない状態でレーザーで削っているところです。炎症もしてないこもったニキビに穴をあけるという治療は、リスクを考えれば基本的に間違いだといえます。
また、炭酸ガスレーザーは皮膚へのダメージが強い欠点があります。照射している時に熱が発生するので、ニキビの炎症反応をより大きくしてしまうことがあるのです。
そして、この動画の最大の問題点は、炭酸ガスレーザーを照射している時に照射部分がぶれてしまっていることです。
皮膚を削りながら手元がぶれているのでより大きな穴が開き、アイスピックを突き刺したような鋭い凹みができてしまうことがあります。
将来的に跡を残さないために芯出しを行っているのに、レーザーそのもので皮膚が凹んでしまうということもありえる映像です。(この患者さんのその後の肌がどうなったかが知りたい!)。
なお、日本でも炭酸ガスレーザーを使ったニキビの芯出しを行っている皮膚科もありますが、そういった病院は極めて少なく、ほとんどの皮膚科では炭酸ガスレーザーよりも針で穴を開けて行うのが一般的です。
また、炭酸ガスレーザーの他にエルビウムヤグレーザーという機器を使ってニキビに穴を開ける病院もあります。エルビウムのほうがスパッと穴があく性質があります。
そして、動画のようにつまんでニキビを押し出すという方法も一般的ではありません。
炎症がある部分の皮膚をつまんだりするとさらに腫れがひどくなって、色素沈着を起こしやすくなります。また、上手にニキビの芯がでてこないというケースもあるでしょう。
そのため、ニキビにはコメドプッシャー(ニキビ圧出器)という専用の器具を使うのが一般的です。Amazonのようなネット通販サイトでも買えます。
メラニンが少ない欧米人(白人種)では色素沈着を起こしにくいかもしれませんが、比較的メラニン色素が多い日本人の場合は、皮膚をつまんで押し出すような方法では逆に色素沈着などの跡が残りやすいです。
なのでコメドプッシャーを使って、より確実で刺激を与えにくい方法でニキビを潰してください。
ニキビではない??背中の粉瘤を潰す動画
背中にできた大きなニキビを友人がつまんで押し出している動画。外国の素人さんの投稿だと思います。
一言でいえば「症状もひどいし、治し方もひどい!」
映像では腫れたニキビのように見えますが、実はこれはニキビではなく粉瘤(ふんりゅう)という症状です。アテローマともいわれます。
粉瘤とは、皮膚の構造に異常がおきて皮膚の内部で角質(老廃物)が溜まってしまうものです。普通なら角質は垢となって剥がれていくものですが、皮膚の中に蓄積されてしまうのが粉瘤です。
放置しているとだんだんと大きくなっていき、触ると硬いしこりのような状態になります。
動画のように粉瘤は大きくなりすぎると、黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌などの細菌感染症を起こしてとても強い炎症を起こすことがあります。
その粉瘤を友人が潰して指圧で押し出し、膿や老廃物を出してあげています。映像ではおろしニンニクのように膿がドバドバと出てきていますね。
この治し方の問題点は、動画のように老廃物や膿を出すだけではこの症状は治らないことです。むしろ刺激を与えることで炎症がひどくなることがあります。
粉瘤という症状は、皮膚の構造そのものが普通とは違う状態になっているので、手術によってその構造そのものを取り除かないと治らないのです。
小さい粉瘤ならば、定期的に押し出して老廃物を出してあげれば炎症を起こすことがなくなるので、治療の必要はないかもしれませんが、動画のような粉瘤が大きく腫れて化膿したような場合は、病院へ行き、抗生物質を服用しながら手術をしないといけません。
そして、そういう状態にならないために早めに治療すべきです。炎症が悪化するほどケロイドになったり、色素沈着が一生残ってしまうようになるためです。
一般的なコメドプッシャーで黒ニキビを押し出す動画
これはコメドプッシャーを使って黒ニキビを排出している映像。黒ニキビとは毛穴に角栓がつまっただけの状態。毛穴は開いていますので、その段階では炎症しにくいとされます。
そして、動画のようにコメドプッシャーを使えば肌への負担を抑えながらより確実に黒ニキビを排出することができます。ただし、ニキビ跡に残らないように上手に行う必要がありますね。
注意したいのが、この方法を何度も繰り返し行うことで皮膚を傷つけてしまい、長期的には肌が凹んでしまったり、色素沈着を起こしたりすることがあることです。
炎症ニキビへと発展するのを恐れて、まだ炎症してない黒ニキビを積極的にケアしたほうが良いかどうかは判断が難しいところです。
そもそも、一般にニキビの芯を押し出すのは、表面に膿が現れている「白ニキビ」に対して行うのもで、黒ニキビの場合は洗顔によって自然に取れる場合があるので、あまり下手に扱わないほうが良いかもしれません。
老人性ニキビを潰す動画
老人性面皰(ろうじんせいめんぽう)といわれる高齢者に発生する黒ニキビの芯を排出する動画です。
老人性面皰とは、高齢者に発現するニキビで、毛穴の中に古い角質と皮脂が混ざり、固まって溜まったもの。毛穴が開いたまま酸化して黒く変色した状態です。
特に鼻や頬、額に汚れが溜まりやすい傾向がありますが、この動画ではそういった部分に対してコメドプッシャーを使い、大量に角栓汚れを取り出しています。
実は、老人の肌に対してこのような強引なやり方は理想的ではありません。それは以下のような理由があります。
- 老人性のニキビは炎症を起こすことがないこと。(肌老化が進んでいるので毛穴がふさがってしまうようなターンオーバーの亢進が起こりません)。
- 肌老化が進行していますので、押し出す刺激によって跡が残りやすい問題がある。
以上の理由により、高齢者の黒ニキビは特に見た目を気にしなければ積極的に治療する必要はないです。
この症状に対して皮膚科医はディフェリンゲルという塗り薬を処方することがありますが、副作用が起こることを考慮すれば不要だと思います。
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