ニキビ跡の「炎症後色素沈着」に効く治療方法一覧

ニキビ跡の炎症性色素沈着の画像 ニキビができることの心配の一つが治った後に色素沈着が残ってしまうことです。

にきびが強い炎症を起こすほど、跡はひどくなり、場合によっては改善するまで長い期間を要することもあります。

は放っておいても改善することがありますが、改善が難しい場合は積極的な治療することで劇的な改善が期待できます。今回はを治す方法をご紹介します。

美白剤(化粧品など)

ビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体ローション ビタミンC誘導体とは、ビタミンCを安定性と浸透性を高めた成分をいいます。

ビタミンCには、性質的に不安定で酸化されやすいことや肌に浸透しにくい欠点がありますが、そのビタミンCをリン酸などの別の物質と結合させて安定と吸収を高めたのがビタミンC誘導体です。

ビタミンCには、メラニン色素を合成するチロシナーゼ酸化酵素を阻害する作用や、メラニンそのものを薄く還元する作用などがあり、ニキビによるニキビ跡のしみ・黒ずみといった炎症性の色素沈着の予防や改善に働きます。

また、ビタミンCには抗酸化作用や皮脂を抑制する作用などもあり、肌質を改善してニキビそのものができにくい肌へと導きます。

ビタミンC誘導体はニキビ治療に高い効果を得られることから、ビタミンC誘導体の化粧水の使用を積極的にすすめる皮膚科医も多いです。

ハイドロキノン

ハイドロキノンクリーム ハイドロキノンは強力な美白作用がある成分です。肌の漂白剤ともいわれています。

メラニンの合成を促すチロシナーゼを阻害する作用や、強い還元作用によってメラニンを薄くする作用があります。

短期間で色素沈着を改善したい場合はハイドロキノンは非常に有効です。

ただし、肌質によっては刺激性が強く、赤みやヒリヒリ感が現れることが難点です。また、早めに使い切らないと酸化して刺激の強い物質へと変化してしまいます。

その他美白成分

ビタミンC誘導体やハイドロキノン以外の美白剤でも炎症後色素沈着に効果があります。

例えば、厚生労働省が医薬部外品レベルの効果があるとして認めているアルブチン、プラセンタエキス、トラネキサム酸、カモミラET(カミツレエキス)などもニキビ跡の炎症性の色素沈着に効果が期待できます。

美容治療

イオン導入

イオン導入 イオン導入とは、微弱な電流を使って水溶性の有効成分を肌の奥まで届け、成分の効果を高める美容法です。

人間の皮膚には皮脂膜や角質層などのバリア機能があり、美容成分を単に塗布しただけでは有効成分が肌の深くに浸透しにくい難点がありますが、微弱な電流を使用することで、普通に皮膚に塗布したときと比較して数倍~数十倍もの浸透効果を得られます。

イオン導入で使用される成分は、水溶性ビタミンC誘導体やプラセンタエキスなどが一般的です。

プラセンタエキスは、馬、豚、羊などの胎盤から抽出される成分で、様々な成長因子(細胞増殖因子)とビタミン・アミノ酸などの栄養素を豊富に含みます。

プラセンタには、表皮細胞の増殖を促してターンオーバーを促進させる働きや、色素沈着を引き起こすチロシナーゼという酸化酵素を阻害してメラニンの沈着を改善する作用があります。

ケミカルピーリング

ピーリングの画像 ケミカルピーリングとは、角質剥離作用がある成分を使用して古い角質をはがし、ニキビ予防や肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進させる美容法です。

古い角質がケアされることで毛穴つまりや角質肥厚が解消され、ニキビの芯(皮脂汚れ)の排出が促されます。

そして、この治療によってターンオーバーが促されることでニキビによって皮膚に沈着した表皮性のメラニン色素(色素沈着)の排出が促されます。ニキビの発生から改善、ニキビ跡まで総合的な効果が期待できます。

なお、このケミカルピーリングという治療方法の確立によって、繰り返し引き起こされる難治性のニキビにも大きな効果が得られるようになりました。

ケミカルピーリングで使用される成分は「グリコール酸」と「サリチル酸」が使用されることがほとんどです。

グリコール酸(AHA)

グリコール酸は、角質層を柔軟にして剥がす作用があり、角質ケア成分として化粧品にも多用されるフルーツ酸(AHA)の一つです。グリコール酸は肌と馴染みが良く、安全性が高いのが特徴です。

サリチル酸(BHA)

サリチル酸は、角質剥離作用や殺菌作用がある成分です。サリチル酸は濃度によって作用が変わり、濃度が低いものは角質ケアやニキビケアを目的とした化粧品に用いられ、高い濃度のものはケミカルピーリングに用いられます。

サリチル酸は濃度が高くなると刺激性が非常に高くなる欠点がありますが、マクロゴールという基剤と組み合わせることで安定したピーリングを実現できます。「サリチル酸マクロゴールピーリング」という名称で治療が行われています。

ただし、ケミカルピーリングをやりすぎると肌老化を促してしまうことになります。ニキビができやすい時期に限定的に行うのが理想です。

光治療やレーザー治療

IPL治療・フォトフェイシャル

フォトフェイシャル フォトフェイシャルとは、IPL(インテンス・パルス・ライト)といわれる特殊な光を使用した光治療法です。

フォトフェイシャルは、アメリカの医療機器メーカーのルミナス社が提供している機器を使用した治療名称で、IPL機器を使用した光治療であれば単に「IPL治療」といわれたりします。

IPLは、広範囲の波長の光を照射することが可能で、赤い部分や黒い部分に吸収され、にきび跡の赤みや色素沈着などの様々な肌トラブルを同時に改善していくことができます。

他にも、開いた毛穴、たるんだ毛穴、皮膚の引き締め、しわ、小じわ、オイリー肌などにも有効です。フォトフェイシャルはニキビ跡治療に多用される治療で、効果や安全性が高いことから多くの美容クリニックで導入されています。

フォトフェイシャルは光治療(レーザーとは違う)であり、穏やかに作用するため、通常は複数回の治療を重ねる必要があります。治療回数は3~5回ほどが目安です。

レーザートーニング

レーザートーニング レーザートーニングとは、優しいレーザーによってじょじょにメラニンや赤みをとっていく治療です。

このレーザー治療は、トップハット型といわれる皮膚に対して均一に照射されるQスイッチ・ヤグレーザー(波長が長い1064nm)を低出力で照射し、肌への負担を抑えながらメラニン性の色素性病変や、毛穴の開き、乱れた肌のキメなどを改善していくことができます。

従来のレーザーでは照射中央部分のダメージが強くなり、それによってかえって色素沈着をまねくことがありましたが、レーザートーニングではレーザー光線が皮膚に対して均等に照射されて部分的にダメージが強くなる欠点を解消しています。

そして、波長が長くて皮膚の深い層にまで届くQスイッチ・YAGレーザーをナノ秒単位で照射していくことで、ほとんど肌へのダメージがありません。

は、炎症によって様々なメラニン色素の生成を促す物質が放出され、非常にデリケートな状態になっていますので、レーザー治療がかえって色素沈着の悪化をまねいてしまうことがあります。

レーザートーニングの場合は、肌への刺激性がほとんどないため、ニキビ跡の炎症性色素沈着といったデリケートな肌においても非常に有効です。

レーザートーニングは、広範囲に行えるメリットがあり、顔だけではなく背中や胸元のニキビ跡の赤みやシミ・色素沈着を改善することができます。

レーザートーニングは、女性特有のシミである肝斑に対して用いられることが多く、ダウンタイムがなく安全に使用できることから導入するクリニックも増えています。

レーザートーニングは弱い出力で行うため、一度の治療でははっきりとした効果が得られないことが多く、通常は複数回の治療を重ねる必要があります。

治療継続によってしだいに肌の悩みが改善されていくはずです。治療回数は、まずは5~10回が目安です。