ニキビの芯(角栓)の臭いの原因成分は何?

ニキビの芯の正体は、毛穴内部で古い角質と皮脂が混ざって固まったもので、「角栓」や「コメド」などとも呼ばれます。

このニキビの芯が毛穴に詰まることでニキビが強い炎症を起こす原因となってしまいます。

そして、ニキビの芯はとても臭いです。この独特の臭いはどのような成分によるものなのでしょうか?

まずはニキビの芯の発生の仕組みからみていきましょう。

ニキビの芯の発生メカニズム

ニキビのメカニズム ニキビの芯が形成される原因は皮脂の増加が大きく関与します。

皮脂が増加すると、皮膚に生息するアクネ菌などの常在細菌などが細菌性リパーゼという脂肪分解酵素を分泌して皮脂中のトリグリセリド(中性脂肪)を分解し、遊離脂肪酸を産生します。

遊離脂肪酸とはグリセリンとの結合がない脂肪酸で、主にパルミトレイン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸などがあります。

この遊離脂肪酸は、肌を健康的な弱酸性に保つ働きがある一方で、皮膚に対して刺激性があり、炎症を起こして肌のターンオーバーを乱す要因と考えられています。

黒ニキビの芯 ターンオーバーの異常によって角質が過剰に作られることで、毛穴内部に古い角質(垢:あか)が溜まるようになります。

その古い角質と皮脂が混ざり合って固まったのがニキビの芯です。そして、ニキビの芯が酸化して黒色化したのが黒ニキビです。

また、ターンオーバーが亢進することで皮膚が厚くなると毛穴が塞がりやすくなり、通常の洗顔でも毛穴汚れを落とすのは難しくなります。その結果、ニキビの芯がしだいに大きくなっていきます。

そして、塞がった毛穴の中でアクネ菌が増加すると、免疫反応により赤く炎症を起こして腫れるようになるります。これが白ニキビや赤ニキビです。

ニキビの芯の臭いについて

にきびの芯の匂いは酪酸やイソ吉草酸によるもの

ニキビの芯はとても臭い匂いを放つことがありますが、それは主に「酪酸(らくさん)」や「イソ吉草酸(いそきっそうさん)」などの低級脂肪酸(短鎖脂肪酸)によってもたらされます。

酢酸はバターやチーズなどの臭いをもたらす成分で、酪酸はバターから得られたことからこの名で呼ばれるようになったとされます。ニキビの芯も酪酸が含まれるためバターと似た匂いがします。また、銀杏(ぎんなん)の臭いも主に酪酸によるものです。

ほかには、足底の臭いの原因も主に酪酸やイソ吉草酸などの低級脂肪酸によるものと考えられています。

酪酸やイソ吉草酸が作られるまで

ニキビの芯の臭いの成分である酪酸やイソ吉草酸は、古い角質と皮脂が混ざり合ってニキビの芯を形成し、皮膚に生息する微生物(常在菌)が皮脂・有機物などを分解して酪酸やイソ吉草酸が作られます。

ニキビの芯(角栓)そのものが酪酸などを含むことで不快な臭いをもつようになります。

酪酸やイソ吉草酸などの低級脂肪酸は臭いを感知できる最低濃度が低く、極微量でも強い臭気として感知することができます。

そのため、ニキビに芯に極微量しか存在しない酪酸やイソ吉草酸でもとても臭く感じることがあります。

異臭を放つ低級脂肪酸

低級脂肪酸のうち、イソ吉草酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、プロピオン酸は特に強い悪臭を放つ物質として認識されており、それらは人体や身近なものにおいても臭いの原因物質となることがあります。

  • イソ吉草酸・・・むれた足裏のようなにおい。汗の臭い、ワキガ、加齢臭、口臭、足裏臭、ペットの臭い、生乾きの洗濯物の臭い、濡れ雑巾などの臭いの原因。
  • ノルマル酪酸・・・汗臭いにおい。汗の臭い、ワキガ、加齢臭、口臭、足裏臭、ペットの臭い、生乾きの洗濯物の臭い、濡れ雑巾などの臭いの原因。
  • ノルマル吉草酸・・・むれた足裏のようなにおい。生乾きの洗濯物の臭い、濡れ雑巾などの臭いの原因。
  • プロピオン酸・・・刺激的な酸っぱいにおい。生ゴミ腐敗臭などのにおいの原因。

体臭も皮脂が原因で発生する?

体臭・加齢臭なども皮脂が関係して発生します。体臭の原因物質の代表的なものがノネナールという成分です。

ノネナールは皮脂の酸化的分解反応によって産生される物質で、年齢を重ねることで強くなる加齢臭の原因物質と考えられています。

ノネナール発生メカニズム

皮脂中には遊離脂肪酸を約20~30%ほど含み、その遊離脂肪酸にはパルミトレイン酸という不飽和脂肪酸を約20%ほど含みます。

不飽和脂肪酸は酸化されやすく過酸化脂質に変化しやすい性質があります。(皮脂中の遊離脂肪酸のうち、約半分程度は不飽和脂肪酸で、パルミトレイン酸以外には主にオレイン酸、リノール酸などがあります)。

このパルミトレイン酸は時間の経過や紫外線などによって過酸化脂質に変化します。このときの酸化的分解反応によって産生されるのがノネナール(不飽和アルデヒドの一種)です。簡単に言えば、皮脂の酸化がノネナール発生の原因ということです。

ノネナールは特に耳の後ろから首筋にかけてに多く発生し、40代以降から増加して60代以上の高齢者でピークなるとされます。女性よりも男性に多く発生しますが、それは皮脂量などの分泌物が多いためです。