サプリメントの過剰摂取によってニキビ肌荒れを引き起こすことがあります。その一つが亜鉛によるものです。
亜鉛は必須ミネラルの一つで、多くの酵素の主要構成成分として体内で重要な働きをしていますが、必要以上に摂りすぎると皮脂分泌を促してニキビや毛穴トラブルなどを引き起こすことがあります。
亜鉛の性質
亜鉛とは、DNAやたんぱく質の合成に働く新陳代謝には不可欠な必須ミネラルです。主に以下のような働きがあります。
- 亜鉛は300種類もの酵素の主要成分として働く。
- 特に細胞、組織の代謝に不可欠な多くの酵素の主要構成成分で、正常な新陳代謝に重要な役割を担う。
- 成長を促進して、傷の治りを高める。
- 亜鉛はDNAの合成に関与して細胞分裂を促し、新陳代謝を高める。
- コラーゲンの合成に関与する。コラーゲンの分解にも関与する。
- 免疫を強化する働きがある。感染症を予防する。
- 味覚を正常に保つ。
- 生殖能力を高める。
- アレルギーを抑制する。
亜鉛は男性ホルモンの分泌を促す
亜鉛にはテストステロンという男性ホルモンの分泌を促す働きがあります。
このテストステロンは男性ホルモンの中で最も生理活性が高く、皮脂腺に作用して皮脂分泌を活発に促してしまう作用があります。思春期にニキビが増加するのもテストステロンの影響が大きいといわれています。
男性ホルモンの分泌が減少している人には亜鉛の積極的な摂取は有効ですが、男性ホルモンの分泌が活発な思春期から20代にかけて亜鉛を摂取していると、かえって肌が脂っぽくなってニキビの要因になってしまうことが考えられます。
男女共にテストステロンは分泌されています。個人差が大きいですが平均的に女性は男性の10%ほど分泌されているといいます。
亜鉛は傷ついた肌細胞の再生を促す
細胞の再生・修復が活発に行われているところには多くの亜鉛を必要とします。
にきび、肌荒れ、湿疹などによって皮膚が炎症を起こすと、肌細胞や真皮層のコラーゲンやエラスチンなどの組織が大きくダメージを受けますが、亜鉛はそういった傷ついた皮膚の修復を促す働きがあります。傷を治すためには亜鉛は不可欠な存在です。
亜鉛は肥厚性瘢痕(ケロイド)を予防、改善する
ニキビの炎症がひどくなったり化膿したりすると、治った後の皮膚が盛り上がって硬いしこりのような状態として残ってしまうことがあります。
これを肥厚性瘢痕(またはケロイド)といったりしますが、これは肌が強いダメージを受けたことで、その皮膚を修復するためにコラーゲンが過剰増生されることによることが原因です。アレルギーが関係していると考えられています。
亜鉛はコラーゲンを分解する「コラゲナーゼ」という酵素の主要構成成分であり、コラーゲン代謝を促して盛り上がった瘢痕組織の代謝を促し、傷跡を正常化する作用があります。
このコラゲナーゼという酵素がなければ、皮膚にいつまでも古くて硬くなったコラーゲンが残ってしまうようになります。
亜鉛摂取のポイント
亜鉛の一日の所要量(必要量)
成人男性:10~12mg、成人女性:9~10mg、上限摂取量:30mg。
亜鉛は、所要量と上限摂取量の差が狭いミネラルです。サプリメントなどによる慢性的な過剰摂取には注意しましょう。
亜鉛を多く含む食品(可食部100gあたり)
亜鉛を多く含む食品は主に以下のようなものがあります。全部、食べれる部分100gあたりの含有量です。
牡蠣(かき):14.0mg、ほたて貝:2.4mg、あさり貝:1.4mg、牛肉赤身:5.1mg、豚肩ロース:2.9mg、鶏むね肉:1.8mg、牛レバー:3.8mg、豚レバー:7.0mg、鶏レバー:3.4mg、うなぎ蒲焼き:2.7mg、納豆:1.9mg、全卵(鶏):1.5mg
亜鉛は肉、魚、貝類などの動物性食品に多く含まれます。そのため、ベジタリアンの人は不足しがちになる可能性があります。また、たんぱく質やビタミンCなどとの相性が良く、それらと同時に摂取することで吸収を高めることができます。
豆類などに含まれるフィチン酸という成分が亜鉛の吸収を阻害するといわれていますが、フィチン酸の摂取が慢性的でそれほど多い摂取量でなければあまり気にする必要はありません。
亜鉛は現代の食生活では不足しやすい?
偏食のないバランスの良い食生活をおくっていれば、亜鉛が不足することはまれです。ただし、亜鉛は、加工食品、お菓子、ジュースなどを摂取する機会が多い現代の食生活では不足しやすい傾向があるといわれています。
また、ストレス、過度な労働、アスリート、ベジタリアン、ダイエットなどによって亜鉛が不足する可能性もあります。
亜鉛は身体の成長や新陳代謝に深く関わるミネラルであるため、成長期に不足すると成長障害を引き起こす可能性もあります。
サプリメントで亜鉛を摂取する際の注意点
亜鉛をサプリメントで摂取する場合は、過剰摂取に注意しなければいけません。サプリメントに含まれる亜鉛は吸収されやすいように加工されており(主にグルコン酸亜鉛)、適用量を超えて長く摂取しているとなんらかの副作用が現れる可能性があります。
常に一日に必要量である男性10mg、女性8mg、そして上限摂取量である30mgを意識して摂取しましょう。
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