AHAフルーツ酸ピーリング化粧品でニキビが治る?副作用と注意点

過剰な皮脂による刺激でターンオーバーが乱れ、角質が厚くなってくると、皮脂の出口がふさがれて毛穴の汚れが溜まりやすくなります。そして、毛穴のつまりがニキビへと発展する可能性もあります。

そういった「毛穴汚れがたまりやすい」、「ニキビができやすい」といった肌質の場合は、「フルーツ酸(AHA)」という成分が配合された洗顔料や化粧水などを使って古い角質をケアすると、ニキビや角栓の発生を予防することが期待できます。

今回は、フルーツ酸という成分の効能や欠点を詳しく解説していきます。

フルーツ酸(AHA)とは?

フルーツ酸とは、アルファヒドロキシ酸(AHA)の総称のことで、そのAHAは主にフルーツに多く含まれる酸であることからフルーツ酸と呼ばれます。「フルーツ酸=AHA」ということです。

例えば、化粧品に「AHA配合」と表記されていたら、何らかのフルーツ酸が配合されているということです。

フルーツ酸は、皮膚の最も表面にある角質を剥がす作用があることから、ピーリング成分として角質ケア化粧品やニキビケア化粧品に多用されます。

なお、ピーリングとは、「はがす」「剥離する」という意味があり、角質を剥がすスキンケアを言います。

角質を剥がす成分にはフルーツ酸(AHA)以外にもBHAや酵素、スクラブなどいくつかの種類がありますが、フルーツ酸はピーリング成分として最も使用される成分です。

化粧品に含まれるフルーツ酸は、日本人が日常的に食べている食品にも含まれる天然の酸であり、極端な使い方をしなければ極めて安全性は高いといえます。

フルーツ酸ピーリング化粧品にはどんなタイプがある?

AHAフルーツ酸を配合したピーリングコスメには主に以下のような種類があります。

  • 洗顔料・洗顔フォーム
  • 固形石鹸
  • ピーリングジェル
  • 化粧水・ふき取り化粧水

フルーツ酸の効果とは?

フルーツ酸によるピーリングにはどのような効果があるのでしょうか?簡単にまとめます。

ニキビへのメリット

  • フルーツ酸ピーリングによって角質を剥がれやすくすることで、毛穴がつまった黒ずみ汚れ、角栓が解消される。毛穴のブツブツやザラザラした感触がすぐ解消できます。
  • 毛穴をふさいでしまう角質を剥がすことでニキビ予防につながる。続けることでニキビ肌が治ってきます。ニキビそのものを治すというよりも、予防効果のほうが高いです。
  • 角質を剥がし、ターンオーバーを早めることで、すでにあるニキビの芯や膿を出しやすい状態に導いてくれます。ニキビの治りが早くなりますし、(炎症後のモヤモヤしたシミのこと)が薄くなるスピードも早くなります。
  • 顔のニキビだけではなく、背中や胸元(デコルテ)のニキビなどにも有効です。ただし、背中や胸は角質層が厚いので一般的な市販のフルーツ酸ピーリングコスメでは効果が弱いかもしれません。
  • 角質ケアを行うと、わずかにコラーゲンの合成も活発になります。その結果、ニキビ跡のごく浅いクレーター状の凹みにも若干の効果が期待できます。(ただし、深い凹みはフルーツ酸ピーリングでは改善は難しいです)

その他の美肌へのメリット

  • フルーツ酸が角質を柔らかくしてくれることで、化粧水の有効成分の浸透を高めてくれる。
  • 古い角質を除去することで、ターンオーバーが活性化され、肌のくすみがとれて透明感が生まれる。
  • ヒアルロン酸の分泌を高め、潤いがでてきます。

市販ピーリング化粧品に使用されるフルーツ酸の種類

ニキビケアを目的とした市販ピーリング化粧品に配合されるフルーツ酸にはいくつかの種類があります。主に「グリコール酸」、「乳酸」、「クエン酸」、「リンゴ酸」などが使用されていることが多いです。

その4つの成分の特徴を詳しく解説していきます。

グリコール酸

ピーリング成分のグリコール酸の画像
  • 自然界ではサトウキビなどに多く含まれる有機酸です。
  • 化粧品原料としては、クロロ酢酸かアミノ酸のグリシンをもとに化学処理して生成されます。
  • グリコール酸は水に溶けやすく、分子量が小さい性質から、肌への浸透に優れます。この点が角質ケアに優れるポイントです。
  • グリコール酸は水溶性でコスト的にも安いのでニキビケア化粧品にもよく使用されます。ふき取り化粧水などにもグリコール酸が配合されることが多いです。
  • 使い勝手がよく、価格も安いことから皮膚科のケミカルピーリングにおいて使用されることが多いです。
  • グリコール酸の欠点としては、濃度が高くなると刺激性が強くなることです。また、皮膚への浸透性が高いので濃度が高いとヒリヒリ感を感じることがあります。(特に敏感肌)

このグリコール酸は角質を柔らかくする成分、ピーリング成分として最も使われる成分だと思います。

乳酸

  • 乳酸は生物界に幅広く含まれる有機酸です。
  • 化粧品原料としてはデンプンをもとに発酵させたり化学処理させて生成されています。
  • 配合量によって作用に違いがあり、例えば配合量が少ない場合は角質柔軟剤として、また、配合量が多い場合は角質ケア成分として使用されます。

乳酸は、化粧品にはピーリング成分というよりも角質柔軟成分として配合されることが多いです。肌が硬くてゴワゴワしたような肌質をなめらかに改善する目的でよく配合されます。

なお、この乳酸という成分は、乳酸Na(ナトリウム)という保湿成分とは肌への作用が違います。別物として区別して下さい。

クエン酸

  • クエン酸は、自然界ではみかん、オレンジ、レモンといった柑橘類の果物に多く含まれる有機酸です。
  • 化粧品の原料としてはデンプンを発酵させて作られています。
  • 角質柔軟効果の他に、収れん効果、化粧品のpH調整剤などとして、幅広く用いられます。(pH調整とは、肌が弱酸性でできているため、化粧水などを弱酸性にする目的でクエン酸が配合されるのです。とても多くの化粧品がクエン酸を使って弱酸性で作られています)。

リンゴ酸

  • リンゴ酸は、自然界では果物に多く含まれる有機酸です。リンゴだけに限らず、ぶどう、梨、バナナなどに多く含まれます。
  • 化粧品原料としてはフマル酸やブドウ糖などから合成して作られます。
  • 角質柔軟成分効果の他に、pH調整成分としても使用されます。

上記のほかにもシトラス酸、酒石酸などのフルーツ酸(AHA)の一種であり、毛穴ケアやニキビケアを目的としたピーリング系の化粧品に使用されたりします。

ピーリング化粧品の使用方法について

肌のコンディションを見ながら「週に1~2回」、「月に数回」など、間隔をあけて行いましょう。ピーリングは少なからず肌に負担がある行為なので、毎日のように行うのはよくありません。また、何年も続けて行ってはいけません。

そして、ピーリング洗顔料を使う場合は、こすったりしないようにして下さい。肌が弱い人は血がでたりします。一度に強い酸の刺激を受けると色素沈着を起こしたり、赤みが残ったりすることがあります。

使用後は保湿する

ピーリング後は肌がデリケートな状態になっているため、しっかりとした保湿と紫外線対策が必要です。

ゴシゴシ洗いはしない

ピーリング洗顔料でゴシゴシ洗いは厳禁です。ただでさえ肌への刺激性が強いので、優しく使って下さい。また、ニキビを刺激しないようにしましょう。にきびは刺激するほど免疫反応が活性化して悪化しやすくなります。

敏感肌は注意して下さい

ピーリング後、肌質によっては赤みやヒリヒリしたりすることがあります。(特に敏感肌は注意が必要です)

アトピー肌、湿疹がある肌は使用しない

アトピー性皮膚炎や皮膚に湿疹などの皮膚病がある場合は使用してはいけません。

使いすぎで肌が薄くなってくる

ニキビができやすい若い時期にはピーリングは有効ですが、年齢を重ねて頻繁に使用していると肌老化が進行してしまう可能性があります。角質を削る行為であることを理解しておきましょう。

肌に合わない場合は中止する

肌に合わないと思ったら使用を中止しましょう。まれにフルーツ酸に対してアレルギーを起こす人もいるといいます。