細かなニキビが多発する原因と治し方。にきびとは違う皮膚病の可能性も

Tゾーンのニキビの画像 細かなニキビが顔にたくさんできてしまうと、とても肌が荒れた印象を与えてしまいます。ファンデーションで隠しても不自然な仕上がりになってしまいますよね。

細かなニキビはまだ本格的な炎症が起こっていない段階ですので、適切なスキンケアをして、それ以上ニキビの悪化を防ぎたいところです。

今回は細かなニキビの原因と治し方をご紹介していきます。

細かいニキビ発生の仕組み

皮膚の構造 ニキビは毛穴が塞がることが原因となって発生しますが、毛穴がふさがってしまう主な要因が皮脂増加による角化異常(ターンオーバー異常)です。

皮膚細胞は基底層で作られて表面へと押し上げられ、最終的には角質となり、最後は古い角質(垢)となって剥がれていくという現象を繰り返しています。

この現象をターンオーバーといいますが、これが乱れてターンオーバーが過剰に進行してしまうことで皮膚が厚くなり、毛穴が詰まるようになってしまいます。そのターンオーバーを乱す原因が皮脂の増加です。

毛穴のつまりは皮脂増加と常在菌が原因?

ニキビのメカニズム 皮膚にはアクネ菌、ブドウ球菌、真菌(カビ)などの様々な微生物が生息しています。それらの微生物の中には皮脂を分解して遊離脂肪酸という物質を作り出す微生物がいます。

遊離脂肪酸とは、グリセリンとの結合がない脂肪酸で、肌を健康的な弱酸性に導く働きがありますが、一方で時間の経過と比例して刺激性が増大して炎症を誘発する原因になってしまいます。

遊離脂肪酸が皮膚に刺激を与えることでターンオーバーが必要以上に進行し、角栓を発生・拡大させ、さらに毛穴周辺の皮膚を厚くしてしまいます。その結果、毛穴が詰まってニキビが発生してしまうのです。

遊離脂肪酸は皮脂量と比例して増加するため、皮脂の増加がニキビにつながるのです。細かいニキビはこの現象が小規模で起こった状態だといえます。

細かいニキビの原因は?

Tゾーンのニキビの画像 腫れが大きなニキビができてしまう人は、基本的に皮脂量も多いです。皮脂が多ければそれと比例してニキビの芯(角栓)や角質肥厚も発生しやすいためです。

また、ニキビの原因菌アクネ菌は皮脂をエサにして増加するため、皮脂が多い人はニキビが悪化しやすいのです。

一方、細かいニキビばかりできてしまうという人は、もともと皮脂もそれほど多い肌質ではないと思います。

オイリー肌ではないですが比較的皮脂が多い額や眉間、頬などに発生しやすいようです。皮脂が多くなく、ターンオーバーの進行も軽度であるため、ひどい跡が残るような炎症を起こすことなく治ることが多いです。

細かなニキビばかりできてしまうといった場合は、洗顔によって皮脂をケアすることで治っていく事が多いです。また、皮脂量が原因というよりも違う要因で毛穴つまりを起こしていることも多いようです。

細かいニキビはお化粧が原因?

小さくて細かいニキビがたくさんできる場合はお化粧が原因である可能性があります。

お化粧は、一時的に毛穴を詰まらせてしまうため、皮脂がそこまで多くなくてもアクネ菌のような皮膚常在菌が増加して小さなニキビができることがあります。

ニキビの原因となるアクネ菌は、嫌気性という空気(酸素)がない環境を好み、皮脂をエサにして増加するため、ファンデーションなどで毛穴を埋めてしまうとアクネ菌は増加するようになってしまいます。

化粧品がニキビの原因の可能性もある

皮脂が少ないのに細かなニキビができてしまうという場合、使用している化粧品に原因がある可能性があります。

化粧水、乳液、クリーム、ファンデーションなどは様々な成分が配合されていますが、ニキビを誘発してしまう成分が配合されていたりします。

例えば、保湿成分としてオリーブ油、ホホバ油、アーモンド油、オレイン酸などの油脂などが配合されることがありますが、それらは時間の経過とともに皮膚に対する刺激性が増してターンオーバー異常を引き起こす要因となります。

植物油は、ほとんどが不飽和脂肪酸で構成されていますが、不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸と比較して酸化されやすく、時間の経過とともに肌のキメを乱したり、炎症を誘発する原因になると考えられています。(ニキビの原因も皮脂中に含まれる不飽和脂肪酸が主な原因です)。

また、保湿成分として多用されるグリセリンなどにおいてもアクネ菌の増加を促してしまう性質があります。ほかにも、ソルビトールなども若干アクネ菌を増やしやすいとされる成分です。

そういった化粧品の配合成分がターンオーバーが進行させて一気に細かなニキビが多発してしまう原因になることがあります。特に乳液やクリーム、リキッドファンデーションなどには注意して下さい。

ファンデーションは肌への密着性や仕上がりを向上させるために油分を多く含んだものがあります。リキッドファンーデーションはもちろん、パウダータイプでも油分が多いものがあり、それによってニキビができてしまうことがあるようです。

大人のニキビの原因の一つが化粧によるものといわれますので化粧品の成分には注意して下さい。

角質を取りすぎることでも細かなニキビができる

ゴシゴシ洗いをしたり、過度にピーリングを行ったりすると、細かなニキビができることがあります。また、湿疹をともなうこともあります。角質を取りすぎることで肌のバリア機能を補おうとしてかえって表皮が厚くなったり、皮脂量が多くなったりすることが要因です。

にきびとは違う皮膚病の場合もある

毛嚢炎である可能性もある

毛嚢炎の画像 細かなニキビは毛嚢炎(もうのうえん)というニキビとは違う疾患であるケースもあります。

毛嚢炎は毛穴内部が傷つくことでブドウ球菌による感染を起こして炎症を起こす症状です。毛包炎(もうほうえん)とも呼ばれますが、見た目では非常にニキビと似ています。

ニキビとは違って毛嚢炎の場合はにきびの芯(角栓)のようなものがないため、あまり炎症が大きくなりません。多くの症状では数日で改善することが多いですが、まれに腫れが進行して化膿してしまうこともあります。(おでき・せつ)。

毛嚢炎はカミソリや毛抜きといった体毛処理によって発生しやすいので注意して下さい。また、ステロイド外用薬の使用によっても発生することがあります。

マラセチア毛包炎の可能性もある

マラセチア毛包炎の画像 細かなニキビが多発したら、マラセチア毛包炎という症状である可能性もあります。

マラセチア毛包炎は、皮膚に常在菌として生息するマラセチア菌というカビの一種が増加することで発生します。見た目は、赤くて細かいニキビがたくさん発生したように見えます。

マラセチア菌は皮脂や湿気が多い環境で増加します。蒸し暑い時期に発生しやすいです。カビが原因であるため、抗真菌薬で治療します。ケトコナゾール(製品名:ニゾラール)が良く効きます。

細かなニキビを作らないお化粧のポイント

肌が不安定な時はパウダータイプのファンデーション

パウダーファンデーション 肌が脂っぽくてニキビができやすい時期は、パウダータイプのファンデーションのみの簡単なメイクで済ませましょう。

特に生理前は黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で皮脂量が多くなるので、簡単なメイクにしたほうがニキビ予防につながるはずです。細かなニキビはお化粧を控えるだけで劇的に治っていくことが多いといいます。

お化粧は必要なくなったらすぐに落とす

メイクは時間の経過によって皮脂と共に酸化し、肌に刺激を与えるようになっていきます。

夕方ごろに肌がくすんで見えるようになるのも、皮脂やファンデーションが変質したことによるものです。そのため、メイクは必要がなくなったらできるだけ早く落とすようにこころがけましょう。

肌に合ったメイク落としを使用する

ファンデーションが肌に残ってしまうことで細かなニキビが多発することがあります。

お化粧を毛穴に残さないためには、お化粧レベルにあった肌に負担のないメイク落としを使う必要があります。日常的に使用するならクリームタイプや乳液タイプ、水溶性ジェルタイプなどのメイク落としが理想です。

なお、オイルタイプのクレンジング料は、落ちにくいメイクでも素早く馴染んで簡単に落とすことができますが、肌の潤いを極端に奪ってしまうため乾燥肌・敏感肌には不向きです。

また、シートタイプのふきとりメイク落としや、メイクも落とせる洗顔料などでは毛穴の奥までの汚れは落としきれてないことが多いです。

細かなニキビの効果的な治し方

細かなニキビは洗顔によって治していくのが基本ですが、すでに発生したニキビには以下のような治療薬が効果があります。

ディフェリンゲルが良く効く

ディフェリンゲルの画像 細かなニキビにはディフェリンゲルが良く効きます。

ディフェリンゲルはアダパレンを主成分とした保険適応のニキビ治療薬で、肌に塗るとターンオーバーを抑制して、毛穴が塞がりやすくなる現象やニキビの芯(角栓)が拡大していく現象を抑える効果があります。

即効性はありませんが、使い続けると細かなニキビが治っていきます。使用後に薬が効いてくると正常な反応として、赤みやかゆみ、ヒリヒリ感が現れるのが欠点です。

ベピオゲル

ベピオゲルの画像 ベピオゲルは過酸化ベンゾイルという酸化物を主成分とした保険適応のにきび治療薬です。過酸化ベンゾイルはアクネ菌を殺菌し、さらにピーリング作用によって角質肥厚を解消する効果があります。

ベピオゲルは細かなニキビにも良く効きますが、やや刺激感が強いのが欠点です。

日本では医師の処方箋が必要ですが、海外では一般薬にも配合可能でああるため、例えば海外版プロアクティブなどにも含まれています。

イオウ配合のニキビ治療薬

イオウカンフルローションの画像 細かなニキビはイオウ配合のニキビ治療薬で治すことができます。

イオウには殺菌作用と角質を剥がす効果があり、ニキビ菌を殺菌して細かなニキビが腫れニキビへと進行するのを予防しながら、角質ケア効果によって毛穴つまりを解消していきます。

市販薬ではピンプリット、クレアラシル、ビフナイトなどがイオウを配合します。また、皮膚科ではイオウカンフルローションという塗り薬が処方されたりします。