絶縁針脱毛の治療効果、施術回数や料金、肌荒れのリスクを解説

絶縁針脱毛の治療風景 絶縁針脱毛とは、絶縁針を毛穴の一つ一つに挿入して高出力の電流を流して毛根を破壊し、完全な永久脱毛効果を得られる脱毛方法です。

絶縁針脱毛は単なる電気を通すことができる「電気針」ではなく、皮膚と接触する部分を「絶縁」した絶縁針を使用し、皮膚への余計なダメージを抑え、ヤケド、瘢痕、色素沈着などの肌トラブルが起こるリスクを大きく軽減した脱毛法です。

現在では永久脱毛・減毛方法としてレーザー脱毛が主流となっていますが、確実な脱毛効果を得るにはレーザーよりも絶縁針を使った方法がとても有効なケースがあります。

絶縁針脱毛は、「ETL脱毛」ともよばれています。ETLとは、「Electro(電気) Thermo(熱) Lysis(融解)」の略で、電気の熱によって脱毛効果を得るということを意味します。レーザーによる脱毛方法が確立されていなかった頃は電気針脱毛が唯一の永久脱毛法として認識されていました。

レーザー脱毛と絶縁針脱毛の違い

使用する絶縁針はこういうモノ

使用する絶縁針は以下のようなものです。針の根本部分がコーティングされ、皮膚を傷つけないようになっています。 絶縁針の写真 先端の針は、実際に見ると写真よりもかなり細いです。

効果の違い

レーザー脱毛では、レーザーの性質上、メラニンが少ない毛(細い毛や産毛)、毛根が深い部分、肌色(色素)が濃い部分などは難しい傾向があります。

一方、絶縁針脱毛では基本的にどういった部分においても基本的に永久脱毛効果を得られます。レーザー脱毛が困難な部分や状態、細かい部分、ピンポイントに行いたい場合に絶縁針脱毛は有効です。

痛みの違い

レーザー脱毛は太く濃い毛ほど痛みが強くなります。これはレーザーが黒い部分に吸収されやすくて熱が多く発生するためです。また、色素が濃い部分(例えば陰部など)ほど強い痛みがあります。

一方、絶縁針脱毛では毛の太さや濃さ、肌の濃さなどの関わらず針を刺す時や電気を流すときに一定の痛みがあります。レーザーのように毛や肌の濃さによって痛みが大きく左右されることはありません。

施術時間と治療回数の違い

レーザー脱毛は一度に広い範囲を処理できるため、劇的に施術時間を抑えることができます。目安としてワキ脱毛では両ワキで5~10分ほどです。

施術回数はヘアサイクル(毛の成長期や休止期があること)があるため、3~5回ほど必要です。一方、絶縁針脱毛は、毛穴一本一本を処理しないといけないため非常に時間がかかります。

ワキ脱毛で1時間以上かかります。治療回数はレーザーと同じようにヘアサイクルがあるため、やはり3~5回必要です。

費用の違い

レーザー脱毛の場合、レーザー脱毛を行う病院が劇的に増加したことで従来よりもとても安い価格で受けられるようになっています。目安として両ワキで1回あたり1~2万円くらいです。(もっと安いクリニックもあります)。

一方、絶縁針脱毛は、両ワキで1回あたり5~10万円程度、ビキニラインで10~20万円程度が目安です。ただし、処理する本数や処理時間によっても料金は大きく異なります。

術後の肌トラブルの違い

レーザー脱毛の場合は、基本的に毛とその周辺に熱ダメージが及びます。そのため、ダメージはある程度限定されます。一方、絶縁針脱毛は、余計な部分にまで熱ダメージが及びやすくヤケドを起こしやすい傾向があります。

施術内容

カウンセリング当日

病院でカウンセリング Step1カウンセリングによって希望の脱毛部位を確認し、肌質、毛量、毛質などを診断する。

また、施術日を決め予約する。カウンセリング時に危険性や肌トラブルのリスクも説明してもらいましょう。疑問をもったり、納得がいかない場合は施術を受けるべきではありません。

Step2カウンセリング時に血液検査を行う病院もあります。これは、肝炎、HIVウイルスなどを調べるため。

Step3施術日に向かって最低でも3mm以上は毛を伸ばしておく。

施術当日

Step1脱毛部分を消毒して清潔にする。

Step2局所麻酔をかける。

Step3皮膚をアイスパックなどで冷やす。(麻酔と共に皮膚を冷やすことで痛みに対する感覚が和らぎます)。

Step4毛穴に絶縁針を刺して電流を流し、毛根周囲を破壊していく。これをアイスパックなどで皮膚を冷やしながら行います。

Step5施術後は皮膚を冷やしてクールダウンさせ、消炎剤の軟膏を塗布する。これによって肌の炎症、化膿が抑制されます。

Step6施術後は患部を安静にして帰宅です。

施術内容を動画で確認!

絶縁針脱毛の治療内容は動画を見たほうがわかりやすいと思います。ビューティースキンクリニックのYouTube映像。

以下のように毛穴一つ一つに針を刺していきます。 絶縁針脱毛の治療風景

アフターケア

皮膚を冷やす画像
  • 施術後から数日は、炎症を抑えるために処方された軟膏を塗り続けましょう。保湿することで回復も早くなります。
  • 絶縁針脱毛後は、氷水などで肌を冷やすようにしましょう。ただし、皮膚を強く冷やし続けるとかえって肌に負担になるため、冷やしすぎないことも重要です。アイスパックやビニール袋に入れた氷水をタオルに包んで冷やすような方法が理想的です。
  • 絶縁針脱毛後は必ず紫外線対策をしましょう。ただし、日焼け止めを塗ると肌に負担になるため、紫外線そのものを浴びないような工夫が必要です。
  • 施術後の皮膚は軽いヤケド状態となっています。そのため、お風呂やシャワーなどで皮膚を温めたりしてはいけませんお風呂は施術後から3日ほどは控えましょう。
  • 施術後は患部を石けんで洗ったり、こすったりしないようにしましょう。(施術から3日くらいは石けんなどによるスキンケアは控えましょう)。
  • 施術後はスポーツなどの身体が温まる行為や、エネルギーを消費する行為は控えましょう。

治療時間の目安

絶縁針脱毛の一回当たりの治療は、ワキ毛やアンダーヘアの場合1~2時間以内ほどが目安です。ただし、脱毛する毛量や部位によって異なります。

治療回数の目安

絶縁針脱毛の治療回数は、完全な永久脱毛を希望する場合は複数回(3~5回)重ねる必要があります。これは、毛には毛周期(ヘアーサイクル)があり、施術時には休止期で生えていなかった毛が成長期に入って伸びてくるため、1回の施術では完璧に脱毛することができないためです。

治療料金

絶縁針脱毛の治療費用は、ワキの脱毛では1回あたり10~20万円が目安です。血液検査の費用が3000~5000円ほどです。保険適応外です。

絶縁針が3000~5000円ほどします。病院によっては施術費用に含まれていることがあります。感染症の予防のため、他の人に針を使い回すことができません。

絶縁針脱毛を行えない人

  • 体調が悪い人。血液検査で免疫バランスが悪い人。
  • ダイエットなどで極端な食事制限を行っている人。
  • 妊娠中。(妊娠期は女性ホルモンのバランスが大きく変化することで色素沈着が起きやすくなります)。
  • 中学生や高校生。(思春期はまだ体毛が生え揃っておらず、さらに肥厚性瘢痕、ケロイドなどの症状が現れやすい傾向があります)。
  • にきび、吹き出物、アトピー性皮膚炎、肌荒れ、湿疹、切り傷、擦り傷などがある場合、治療を受けられないこともあります。
  • ケロイド体質の人は電気針による脱毛そのものが理想的な方法ではありません。

絶縁針脱毛の注意点

  • 絶縁針脱毛はヤケドや毛嚢炎を起こしやすい治療です。そのため熟練した医師に行ってもらいましょう。
  • 痛い時は我慢せずに医師に告げましょう。痛さの度合いで加減する必要があります。

絶縁針脱毛が理想的な身体の部位や状態は?

  • 眉毛を数本間引いて薄くしたい、整えたい場合。
  • レーザーで効果が得られにくい男性の濃いヒゲ。
  • レーザー脱毛を行っても残ってしまったワキ毛やアンダーヘア(VIOライン)など。
  • レーザーでは施術が難しい色黒肌、色素が濃い部分。
  • 茶色い毛、白髪。(毛が薄いほどレーザーが吸収されにくいため)。

絶縁針脱毛が適している身体のパーツは、主に男性のヒゲ脱毛、眉毛、ワキ脱毛、陰毛(VIOライン)が一般的です。男性のヒゲの場合は再生力が高いことや毛根が深い部分にあるため、思うような効果が得られないことがあります。

また、陰部はメラニン(色素)が多い部分であるため、レーザーが毛だけではなく皮膚に吸収されて強いダメージが及ぶことがあります。

そもそも陰部の色素が濃い場合はレーザー治療が難しいことがあります。そういったレーザー脱毛では難しいケースに絶縁針脱毛が有効です。

絶縁針脱毛の副作用「肌トラブルのリスク」

ブツブツした成熟瘢痕 絶縁針脱毛は肌へのダメージが抑えられているといっても、やはり余計な熱エネルギーが皮膚に触れたりするので、トラブルを起こす可能性が高くなります。以下は副作用です。

火傷(ヤケド)

絶縁針脱毛は発毛機能を破綻するレベルまで熱ダメージを与えるわけですから、ヤケドのリスクは当然あります。これは医師の熟練度にも左右されます。

赤み、腫れ

毛根を破壊するほどの電気を通すため、少なからず赤みや腫れはおきます。これを抑えるためには皮膚を冷やして安静にする、消炎剤、軟膏を塗布するなどのアフターケアが必要です。

かゆみ

電気凝固された皮膚が修復されるときに痒みを感じることがあります。脱毛後2~4週間後くらいに発生することが多く、通常は痒みは1週間ほどで治まります。

内出血

絶縁針を刺すことで毛細血管から出血するために起こります。その部分が赤紫色に変色します。1~2週間ほど経過すれば内出血は改善します。これも医師の経験によって左右されます。

肥厚性瘢痕・ケロイド

皮膚が損傷し、ケロイドや肥厚性瘢痕(進行性のない瘢痕)、成熟瘢痕という盛り上がった傷が形成されることがあります。これはアレルギーが要因となって起きやすいとされ、傷を修復する際にコラーゲンが異常に増生されてしまうことが原因です。こういった体質の人は、絶縁針脱毛という方法そのものが適していません。

皮膚の知覚障害

皮膚に電気を流すことで神経まで損傷され、知覚が鈍く感じることがあります。これは一時的なもので、しだいに回復していきます。